Oct 16, 2021

婦人の肖像画

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若い女性の肖像画と婦人の肖像画って。
どこで区別するの。
この「女の肖像」も含まれるのかな。

目安は絵の印象や作品のタイトルかな。
かなり恣意的な区別です。


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「CD夫人」(1916)

このモデルは、
CDというイニシャル以外、
何も知られていないという。

「束ねられた髪や、きちんと整えられた髪型から
察するに、おそらくこの絵は注文を
受けて制作されたものだろう。」
(「モディリアーニ展」作品解説P122)


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「ミノウチャ」(1917)

若い人なのかもしれないね。


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「ジョルジュ・ヴァン・ムイデン夫人の肖像」(1917)

「正面向きに座っているが、
右側にのばされた両腕の表現が面白い。」
(「アサヒグラフ別冊モディリアーニ」解説P93)

たしかに。
距離をおいて見ると、
ドジョウすくいのような動きが。
たまきさん、その形容はどうでしょう。


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「黒い瞳の女」(1918)

「モディリアーニ展」作品解説では、
「このモデルのみせる表情はすこし厳しく」、
ジャン=ポール・クレスペルの
『モディリアーニ、女性、友人、作品』の
中の言葉を思わせる、として引用している。

「モデルが気に入らないとき、
他の多くの画家たちのように不平をこぼすかわりに、
彼はモデルに見てとったブルジョワ風の
威厳あふれる表情を誇張することで復讐するのだった。」

またこの作品は「モディリアーニの多様性を
最もよく伝えてくれる作品である。」とも記している。

見方はいろいろだね。


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「アメデ夫人」(1918)

この作品もモデルに不満があったのかな。
腰に当てた手は存在感を主張してるみたいだけど、
顔はどことなく悲しげにもみえる。


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「美しいスペイン人」(1918)

まなざしから表情に注意が向いて、
忘れられない印象をのこす作品。

ちょっと目を黒く塗りつぶしてみて。
そんなことを。


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絵の印象が、表情より、全体にむかう。
色調の調和や構成がすごく
しっかりした作品だってわかるね。


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「ピンクのブラウス」(1919)

自分がiいま描かれているっていうことへの
自意識みたいなものがでてるのかな。
なにか別のことを思案してるようにもみえる。


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「イタリアの女」(1918)

「、、、モデルは、モンパルナスの
カンパーニュ=プルミエ街にあった
簡易食堂「ロザリアの店」の
女主人ロザリア・トビアだと言われている。
モディリアーニはイタリア出身の彼女の店に
足繁く通っていた。彼女の方もモディリアーニに
親近感を抱いており、ときどき彼の絵を受け取っていた。」
(「アサヒグラフ別冊モディリアーニ」解説P93)

アンドレ・サルマンの評伝「モディリアニの生涯」には、
モディリアーニたちのいきつけの店だったらしい、
この店や女主人のことが親しみをこめて描写されています。

「 ロザリーの店で芸術家たちは自分の家にいるような
気分になった。そう言っているのは彼女自身だが。」
「、、、。ちょうどその時太ったおしゃべり女は、
棚の白い皿に出しておいたチーズを
試食しようと地下倉から這い登ってきた鼠を、
雑巾を大きく振り回して追い出そうとしている
ところだった。」(p172-173)

評伝では気さくで人情家だった人みたいだけど、
この絵では神妙にしてる感じだね。


解説)
婦人の肖像、というより、
表情にそのひとの性格や特徴が
でている作品を集めた感じになりました。
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