Nov 21, 2025
魔術劇場で

アイスとシモーヌは
扉を抜けて魔術劇場にやってきた。
部屋ではフェルミーネが
花をいけていた。

ここはいつも変わらないわね。
お客様をお連れしたの。
ハリーさんはいらっしゃる?

今、あいにく散歩にお出かけなんですよ。
そろそろ戻られると思いますので、
お隣の部屋でお待ちください。

二人は応接間で
ハリーの帰りを待つことにした。
どうぞごゆっくり。
と言われている。

シモーヌさんは、
どちらから来られたの?
古い美術品や工芸品に興味があって、
パリでアンティークを売るお店をやってるの。
でもお店はほとんどスタッフに任せきり。
世界のあちこちに旅行して、
いろんな古道具を仕入れたり、
頼まれて鑑定したりもする。
ふーん。
それでフィギアに宿っている精霊なんて、
すぐに見分けられるわけね。

その時、カーミラが入室してきた。

魔術劇場にようこそ。
私はハリーの妻のカーミラです。

あなたは魔族の方ですね。
同族の仲間が訪ねてきてくれたなんて、
きっとハリーも喜ぶわ。
私もお目にかかれるのを
楽しみにしていました。
今でも生き残っている人たちは、
どのくらいいるのかしら。
実態は本当にわかりませんね。
魔族は絶滅危惧種とも言われていますが、
ほとんどネットワークもないし、
人間社会にカミングアウトする者はいませんから。
ヨーロッパでは、
わずかにネットワークが残っていますけど、
私は参加していませんでした。
みんな魔族であることを隠して生きているのが実情。
私も幼い頃に祖母に言われるまで、
自分が魔族だということを知らなかったんです。
とシモーヌが言った。

そこにハリーが入室してきた。
やあ。散歩していて
お待たせしちゃったようですね。
近くの林の銀杏の黄葉が見事なんで、
ついつい見惚れていました。

ハリー、こちらはシモーヌさん。
魔族の方ですって。
とカーミラが言った。
ハリーは、
ほー、と言っている。
解説)
続きます。
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