Apr 28, 2024

春たけなわの日々 そのろく

a1

広場は平穏を取り戻している。


a2

大道芸人たちの演奏も
始まったようだ。


a3

ドミノ、その楽器はなあに?
サズって言うトルコの民族楽器よ。
ドルフィンの倉庫の隅で見つけたの。


a4

あのからくり人形はどこに?
郊外に向かったみたい。
子供たちもついていったわ。


a5

ジルさん、助かりました。
森林公園に設置していただけるなんて。
皆さんの評判が良かったし、
ギルダも僕もあのフォルムが気に入っちゃったのでね。


a6

その頃、茶運び人形は、
郊外の森林公園に向かっていた。
公園管理を任されている、
ソローと権太が付き添っている。


a7

時々ゼンマイ巻かないと止まるけど、
これよく動くね。
公園に飾るなんてジルさんも酔狂だなあ。
いやいや案外
観光の目玉になるかもしれないよ。


a8

その頃広場のベランダでは、
トマソンとサルバドールが話していた。

今回の作品は随分作風が変わりましたな。
夢の世界で、これというモデルが見つからなくて、
戻りぎわに見かけた人形をモデルにしたのです。
でも作っていて、こういうものこそ自分は
作りたかったのだと思いました。


a9

なるほどなあ。
もう私の力は必要ないのかも。

え、サルバドールさんは、
すごい夢魔だって噂で聞いたんですけど、
やっぱり本当だったんですか?
とうたが尋ねた。

うーん。そう呼ぶ人もいますが、
私は芸術を愛する芸術家の味方なのです。
ただし人の夢の中に入り込んで、
想像力や創造力を増強する力を持っている。
それを当人や周囲が囚われた状態と思えば、
そんなふうに呼ばれることもあるだけなのですよ。

僕もハリーさんたちが話しているのを聞いて、
なんとなく気がついてはいました。
迷いの森でサルバドールさんとお会いして以来、
あの世界の夢ばかり見るようになったのだし。
でもたとえ操られていたのだとしても
とても感謝していますよ。
とトマソンが言った。

サルバドールはちょっと
うるっとしているようだ。


a91

その頃、茶運び人形は
森林公園に到着していた。


a92

やがて、茶運び人形は、
花壇の中央に設置されたのだった。


天使の彫像の方が良かった気がするなあ。
これはこれでユニークだよ。
などと言っている。



解説)
前回の続きのような展開に。

サズは遥か昔に製作した楽器アイテムで、
2006年2月3日「剣と魔法の国 その5」
に一度だけ登場しています。
Posted at 20:32 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Mar 28, 2024

春の誘い そのご

a1

今日は雨模様。


a2

今朝は鶯の声で目覚めたけど、
雨が降り始めて、鳴き止んじゃった。
とジェニーが言っている。


a3

堤防近くの公園で桜祭りやってるけど、
雨の日が続いているよ。
月に叢雲、花に嵐だね。
などと言っている。


a4

まだ曇天の広場には
ジープが停車していた。


a5

ユーリシアとルビーが話している。
私たち、郊外のキサラとシオンの家に
泊まってたんだけど、
ビストロで知り合った軍人さんから
このジープ借りてきちゃった。
ロンメルさんかな。
免許証持ってるの?
それは当然みんな持ってるのよ。


a6

郊外にはバービーたちも住んでるのよ。
とリナがロベリアに報告している。


a7

随分賑やかですね。
ジェニーのお友達が大勢来てるから。
サルバドールさんも、
観光で見えたんですか?
いえ。私はトマソン氏の作品の
追っかけみたいなもので。


a8

バルは子供達と水遊びをしている。
バルが手をかざすと、
バケツの中の水が
喜んで波立つのだった。


a9

マンゴー亭の椅子席では、
ヴィヴィアンと局長たちが話している。

さっき広場でサルバドールに出会ったわ。
自分が夢魔であることを
トマソンさんには黙っていてほしいって、
頼まれちゃった。

芸術家本人が気づかないままに
夢食いや夢魔に取り憑かれているっていうのは
よくあるケースね。
と局長が言った。


a91

そうそう。夢食いっていえば、
あなたにぜひ聞きたいことがあったの。
去年の7月頃に、
何百年も隠されていた封印が解かれて、
メイヴっていう魔物が現れてね。
成り行きで私と対決したんだけど、
結果は痛みわけで、メイヴは、
迷いの森に行くって言って去っていった。
あれは何者で、管理局との関係は
どうなってるのかということ。


a92

うーん。その件については、
情報管理部のミラから報告があったわ。
多分メイヴは今も森に住んでるんじゃないかな。
あれはここの世界の言い方をすれば、
古い神々の時代に活躍した特異な夢食い。
強大な力を持っているけど、怒らせなければ、
普段はおとなしいものよ。
迷いの森は、さまざまな異世界から
ああいう連中がやってきて住み着いたり、
別世界に旅立つための交差点のようなところなの。
さらに深淵な力があって、管理局はそこと
繋がっているけど、一般的な意味で、
世界で生起する出来事全てを管理してるわけじゃない。
むしろ共存してるって言った方がいいかなあ。
ああ、仕事のことを忘れるために来たのに。


a93

私にはよくわからない話ですけど。
別世界があるっていうのは、わかるわ。
局長やヴィヴィアンが目の前にいるから。
とサラが言った。



解説)
迷いの森やサラたちの住む世界の実相に迫る
よくわからない話のようでした。

途中いくつものエピソードが
並行して進行しているので
すごくわかりにくいですが、町にやってきた、
ブラッディローズたちの探索に始まる、
メイヴとの遭遇までのエピソードは、
2023年5月15日「海賊ブーム そのはち」位から、
飛び飛びに掲載され、
2023年7月19日「夜の出来事」
からの「夜の出来事」シリーズで完結しています。
Posted at 20:28 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Feb 28, 2024

クレープ

a1

広場ではサラとアルの
立ち話が続いていた。


a2

バナナ挟んだクレープがいいなあ。
とかなが言っている。
このキウイも安売りなの?


a3

はい。さっき入荷したんです。
苺もまだ安いですよ。


a4

クレープに苺やキウイも使えるの?
もちろん。なんでもただ
くるむだけだから。
作るとこお見せしましょうか?
うん。食材は僕が買うから。


b1

ということで、
バナナと苺とキウイを買った3人は
部屋に帰って、サラはさっそく調理を始めている。


b2

薄力粉とお砂糖と牛乳と卵で生地を作って、
あとはお玉一杯分をすくって、
フライパンに薄く広げて中火で焼くだけ。


b3

アルさんビストロのオーナーなんだから、
こういう手順、よくご存知でしょう。
僕はみてるのが好きなんだ。


a8

ちょうどフライパン使ってたところよ。
私も焼くの手伝ってあげる。
とメアリー=ケイトが言った。


a9

ケイたちはまだ食事中だったのだった。
これ急いで食べなくちゃ。
そうだね。
とジェットも言っている。


a91

あっという間に、
クレープはどんどん出来上がった。


a92

苺にキウイ、チョコレートやバナナが
ホイップクリームと一緒にくるまれている。


a93

もしかして
ベーコンエッグ挟んでも
美味しいんじゃない?
とケイが言っている。


解説)
クレープは、ぷちサンプルの
「食べ歩き日記」の「1.たっぷりくりーむクレープ シュークリーム」
「ママといっしょにクッキング」の「1.ハッピークレイプにトライ」
などを使っています。
Posted at 20:22 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 28, 2024

ジェニーたちの集い そのさん

a1

夜が随分更けて、
ジェニーたちの同窓会は、
宴会にかわりかけていた。

遅れて一升瓶を抱えてやってきた
あいこちゃんも、
話に加わっている。


a2

あいこちゃんって、
グッピー飼ってた花屋さんでバイトしてたでしょ。
そうなの。
あのグッピーどうなったの?
水槽から飛び出してね。


a3

2006年頃の繁華街では、
コンビニでミルフィーユがバイトしてたり、
ヘアーサロンで、サヤカが仕事してたり、
ジーンズショップでティモテがバイトしてたり、
最初の頃は道で出会う人も、
ほとんどがジェニーフレンドばかりで
賑やかだったけど、
だんだん知らない人が増えてった。


a4

そうそうこの写真。
2007年の3月の卒業と入学シーズン。
ジェニーフレンドがセーラー服着て、
みんなが集まったのは、
この時が最初で最後だったね。
とシオンが言った。


a5
2007.3.17

たまきたち、この日の前に
ワイン飲んだり煙草吸ってたでしょ。
いくつだったの?
これはイメージ画像だから。
この時にしか顔出してない人もいるんじゃない?
もうよく覚えてないなあ。


a6

なんかしんみりしちゃったね。
でも私たちだけずっとここで暮らしてたら、
今いる人たちはみんないなかったわけだから、
それはそういうものなのよ。
とジュリアナが言った。


a7

いつでも遊びに来ればいいのよ。
とたまきが言った。
段ボールハウスにみんな住んでるんだから。
誰か日本酒飲む人いる?
とナオミが言った。


a8

私、最近日本酒党なの。
おかんつけて。
とサヤカが言った。
大体こういう集まりだと、
そういう人、一人くらいいるんだよね。
と言われている。


a9

その頃、バーデジャでは、
ヴィヴィアンと文学青年が話していた。


a91

それで部屋を空けて来たってわけ?
気が利くのね。
いや魔法の本返しに寄ったんだよ。
あれ面白かったよ。
煎じ薬の作り方たくさん載ってて。
毒薬とか惚れ薬とか。
魔女ってああいうの作れるの?


a92

それは当たり前でしょ。
そもそも私は悪魔なんだから。


a93

あくまでも悪魔か。
あら、もう酔っ払っちゃたの?
部屋に戻れないなら、
魔術劇場に泊まって行けばいいわよ。
それとも、ここで夜明けまで飲む?
と言われている。


a94

それぞれの夜は
それぞれに更けていくのだった。



解説)
今回は、流れの勢いで続きを作りました。
Posted at 20:21 in n/a | WriteBacks (0) | Edit
April 2024
Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
 
       
Search

Categories
Archives
Syndicate this site (XML)

Powered by
blosxom 2.0
and
modified by
blosxom starter kit

新規投稿