Nov 05, 2025
それぞれの未来

サラたちの部屋に
シノとダリオが来ていた。

シノは戦国時代のお姫様の衣装を、
ダリオはアフリカの先住民の衣装を、
それぞれサラに着付けてもらっていて、
ハロウィーンの広場で知り合ったようだ。
優勝はできなかったけど、
楽しかったわ。
と言っている。

ダリオさんにアフリカのジャングルを
案内してもらうことになったの。
その後で、私がジェラシックワールドを
案内するのよ。
二人とも好奇心旺盛なので、
気が合うんです。
とダリオが言っている。

暮れかけた広場に
人出は少なかったが、
演奏に聞き入る人々や、
フェルミの姿が見える。

通りかかったドロレスが、
声をかけている。
あら、警備ロボットのフェルミさんね。
まだ広場にいらしたの?

ああ。薔薇の花を見ていたんです。
この花、綺麗ですね。

警備ロボットなのに、
お花に興味があるなんて
変わってるわね。
自分でもおかしいんですよ。
どこか自分が変わっちゃったみたいで。
それに、なんだかこの先のことが、
気になるようになって。
この先のことって?
いえ、いいんです。
なんでも話してよ。
私の秘密も話してあげる。
え。
研究所のみんなには黙っていてね。
私はシェリー博士に作られたロボットなの。
だから自意識を持ったあなたの
不安な気持ちはよくわかるわ。
ロボットですって。
生体反応もあるようで、
とてもそうは見えませんが。
そういうふうに見せかけているだけなのよ。
私もね。不安な気持ちに耐えかねて、
研究所を逃げ出したことがあった。
逃げ出したんですか!
話せば長いんだけどね。

その時、ロボット研究所から
事務員のドーリスがやってきた。
フェルミ。
警備の終了後に周辺を視察するって
聞いていたけど、
帰りが遅いので迎えにきたわ。
あ、ドーリスさん。
視察も終了して、
これから帰るところでした。

二人はドロレスに
簡単な挨拶を済ませると、
そそくさと
研究所に帰っていった。
解説)
続きます。