Feb 04, 2026
ピピの夢へ

みんなはメイズのいるフロアに行き、
事態の報告をしている。
もうチョコレートの匂いに、
慣れてしまったのね。
でも一度普通に目覚めて話せたのなら、
意識に精神的な障害は起きていないっていうことね。
見ていた夢を覚えていないということは、
夢の中で特に劇的なことがなかったということかしら。
夢の記憶が封印されて、
夢を思い出せなくなっているのかもしれませんよ。
などと口々に話している。

ピピは、夢を見たことを覚えていないって言ってたけど、
ピピがずっと睡眠中に夢を見ていて、その夢の中に、
外部からの侵入者がいるっていうのは確かなんですか。
とサラが尋ねた。
それは睡眠中のピピの頭脳の活動を調べてわかったのよ。
夢の内容まではわからないけれど、夢を見ている領域に、
正体不明な生命体の存在を示す反応もあったの。

メイズは立ち上がって言った。
今まで留保してたけど、
そろそろ宇宙連合の本部に報告すべきかな。
報告するとどうなるんですか。
とカーミラが尋ねた。
たぶん本部から調査団が来るでしょうね。
その結果によっては、内密に、事故という名目で、
ピピを破棄するように言われるかもしれない。
破棄するって、消しちゃうんですか。
未知の生命体との接触では、
何が起きるかわからないからね。
いろんな意味での感染が脅威なの。
ピピは親善大使だから、無害とわかれば
眠ったまま母星に搬送されると思うけど、
問題が見つかれば、
その星全体を危険に晒すことになるから。
同じ論法でいえば、
この宇宙ステーション自体も
隔離や破棄の対象になりかねないですね。
感染の危険を回避するには。
とハリーが言った。
それって宇宙連合に
攻撃されるってことですか。
やっぱり
報告はやめておこうかしら。
とメイズが言った。

ちょっと私、
試してみたいことがあるんですけど。
とシモーヌが言った。
なんでしょう?
さっき、目覚めたピピと話している時、
彼は私に夢のことを聞かれて、
「夢ですか。よく覚えていないなあ。
ベッドに寝ている感触はあって、
起きなくちゃって思いながら、
まあいいかなって。」
って言ったんですが、
その時、ピピが脳裏に浮かべたイメージを、
のぞいて見たんです。
さすが、精霊発見のプロね。
とカーミラが言った。
それって、夢うつつ状態の記憶でしょう。
ぼんやりと意識があるっていう。
はい、そのイメージの世界は行ければ、
夢の世界に入り込めるかもしれない。
そんなことできるの?

シモーヌが呪文を唱えると、
薄い煙がたちのぼり、
会話した時、ピピが思い浮かべたイメージが
窓にスクリーンのように浮かび上がった。

シモーヌはさらに呪文を唱えた。
すると鏡の扉が中空に浮かび上がって現れた。
魔法って、
なんでもありなのね。
視覚的な記憶の手がかりがあればなんとかなるんです。
ちょっと様子を見てきます。
と言ってシモーヌはドアを開けて鏡の扉に。
サラも咄嗟に寄り添うように続いて扉を抜けていった。

ここはもう夢の中なの?
夢うつつの心象風景ね。
まどろみのような浅い意識の状態。
じきに。

周囲の物象が霞み始めた。

ホワイトアウト状態になっていく。
解説)
続きます。
WriteBacks
http://www.haizara.net/~shimirin/blog/kirita/blosxom.cgi/20260204200341.trackback
writeback message: Ready to post a comment.