Jun 04, 2025
新しい朝

みすずの家の食堂で、
一同は早めの夕食を食べている。
サラが助っ人にヴィヴィアンを呼んできたけれど、
すでにローゴスは退治されていたっていうわけね。
ヴィヴィアンとしては、戦う相手がいなくて、
拍子抜けだったでしょう。
とアイスが言った。
そうでもないわ。
私はこういう自由な夢の世界に来てみたかったの。
ここなら人目を気にせず本当の姿になれそう。
とヴィヴィアンが言った。
この忘れられた夢の世界には、
噂を聞いた様々な夢食いたちが訪れます。
人間や魔族の訪問者はあなた方だけですが、
ずっとここに滞在していただいてもいいんですよ。
あちこちに空き家があるので、
気に入ればそこで暮らすこともできます。
私もそんな先住者の一人なんです。
とみすずが言った。
この料理は?
みすずが作ったのを真似して、
私が作ったのよ。そのお魚は醤油味。
とサラが言った。

やがて夜になった。
フミコは、ミミコのことを、
ヴィヴィアンに話している。
この子は、
今のところわかっている限り、
未来の世界で起きる最終戦争で
ただ一人生き残った魔族の子供。
山羊の頭蓋骨のペンダントを持っていたから、
私やあなたが産んだ未来の子供かもしれない。
驚かせないでよ。
私たちがずっとお世話していたんですよ。
褒めてください。
とヤッピーが言っている。

ローゴスの脅威がなくなったから
今夜は安心して眠れそう。
これからもああいうタイプの夢食いが、
来るかもしれないけど、その時はその時ね。
ところでディアナは
この世界を隅々まで知ってるんでしょう。
南には別世界とのバリアがある。
他の方角の果てまで行くとどうなっているの?
とアイスが尋ねた。
隅々まで知ってるというわけじゃないのよ。
北に行けば海があるって、いつか鳥が話していた。
東の砂漠はどこまで続いているのか知らないし、
西には山が沢山あってその向こうは知らないの。
でも世界の果てまで知らなくても十分。
あなたたちの世界でもそうでしょう。
とディアナが言った。
確かに宇宙の果ては謎ね。
でも海があるなら見てみたい。
そこで私が一旦その風景を記憶すれば、
鏡の扉で行き来できるようになるのよ。
とアイスが言った。
なんか、なんでもありだと便利すぎて、
ロマンがないわね。

やがて夜は更け、
一晩明けて朝になった。
渓流は今朝も勢いよく流れている。

森に残っていたガリミムスたちが
滝の淵に水を飲みに来ているようだ。

ヤビーは、朝食用に
ジャングルに果物を採りに行って
アンキロサウルスの群れを見かけた。

少しずつ恐竜たちが
南から戻って来ているようだ。

みすずさん、おはようございます。
湖の水質が変わっていくようです。
渓流から夢見の水が流れ込んで
来るんですよ。
そうなの。
その時、近くで
水の音が聞こえた。

思わずみすずがガラス戸から外に出て、
音のした方に行くと、
なんとバルがハスの葉の上に立っていた。
おはようございます。
迷いの森の泉とこの世界の間に
水路をつけてきました。
と言っている。

ヴィヴィアンさん。
あ、バル戻ってきたのね。
さっそく大きくしてあげなくちゃ。
そういうと、
ヴィヴィアンは呪文を唱えた。

薄い煙がたちのぼり、
バルの体は大きくなった。
すごいですね。
私も人間の姿にしてくれますか?
とカエル王女が言った。
いいわよ。
でも頭はカエルのままになるけど、
それでもでいい?
あ、やっぱり
やめておきます。
解説)
続きます。
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