Jun 12, 2025

トロンの家

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渓谷に降り立った二人は、
谷川を見つけた。


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川を遡っていくと滝があった。

これは見事な滝。


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二人は斜面を登っていくことにした。

この大きな雪の塊、
なんか不自然じゃない?

上から滑り落ちてきたんじゃないかな?


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見晴らしのいいところまで
登って行ってみましょう。


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斜面を登り切ると、
二人は山々が望める
小さな雪原に出た。


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歩いていくと、
山小屋のような建物が見えた。


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扉に鍵はかかっていないようだ。

こんにちわ。
誰かいませんかー。
とアイスが言っている。


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二人は屋内に入ってみた。

誰もいないわね。
変なものがあるよ。
あれ、うごいた。

その変なものは口を開いた。

こんにちわ。
私は夢食いのトロンと言います。
あなた方も観光ですか。

観光みたいなものだけど、
私たちは夢食いじゃないのよ。
あ、私の名前はアイス、
横にいるのがヴィヴィアン。


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恐竜がうようよいると噂で聞いて、
この忘れられた夢の世界に来たんですが、
見渡す限り雪の山で、
誰もいませんでした。
と、トロンは言った。

この世界は広いのよ。
ずっと東に行けば緑の森があって、
そこには恐竜がいるわ。
それにしても、あなたのその姿は?

この姿は恐竜です。
モデルはステゴサウルスです。
そう見えませんか?
ずっと見ているとそう見えて来ますよ。

そうかしら。
そんな姿の夢食いもいるのね。

夢ですから、なんでもありなんです。
カエルの姿の夢食いもいるでしょう。

そう言われればばそうね。
トロンさんはどんなタイプの夢食いなの?

私は子供たちのみる夢に入っていって、
友達になる無害な夢食いなんです。
夢の財宝を守るドラゴンって知りませんか?
私にそこまでの力はありませんが、
タイプは似てるんですよ。


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随分居心地の良さそうなお部屋ね。
とヴィヴィアンが言った。

ここは空き家だったんです。
人間用みたいですが、
風雪をしのぐには一番です。

ところで、このあたりから、
西の方角の山を越えようとすると、
それ以上進めない透明な壁があるでしょう。

そうなんですか。
雪山登りはしたことないので。
谷川に水を飲みに行くことはありますが。

谷川ね。私たちもそこを通ってきたのよ。
割と大きなな滝があるでしょう。

ありますあります。
洞窟のそばですね。

洞窟?
洞窟なんてあったかしら。


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アイスは呪文を唱えて
壁に鏡の扉を出現させている。

それは魔族の魔法ですね。

これで東のジャングルにある、
先住の夢食い、みすずさんの家に
行けるようになりましたよ。
リアルな恐竜にも会えますよ。
と、アイスが言った。

それはご親切に。

あなたも見慣れてきたら、
恐竜に見えてきたわ。
とヴィヴィアンが言った。

そうでしょうとも。
そういうものです。



解説)
続きます。
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