May 20, 2026

新興地区の散歩

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三人の会話は続いていた。

マンスフィールドさんが、
赤い人形の話をしていたわね。
あれはあなたたちのことなんでしょう。
あなたが亡くなってから
ケイトはどうしたの?

ケイトは私と一緒にお墓に葬られたの。
私には身寄りがなかったし、
動いたり話したりする噂がある人形は、
みんな怖がって引き取り手がなかったから。
それにそれがケイトの望みでもあったの。

じゃあどうやってケイトは?


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もうずいぶん昔のことよ。
私が亡くなって
あの世界に招かれた時、
とても親切な死者の魂に出会って、
その人がお墓の中のケイトの人形本体を
あの世界に呼び寄せてくれたの。
そんなことができるなんて、
信じられなかったけれど、
特別な力を持つ霊魂っているのよ。

その霊魂って、今も
あの世界のどこかにいるの?

2年前に突然いなくなったの。
井戸を通って幽明界に行ったのか、
現実世界との結びつきが消えて、
魂が解放されたのかもしれないわ。


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ここ見晴らしがいいわね。

この新興地区は発展してるみたい。
私も来たの久しぶりだし、
もう少し散歩してみましょうか。


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お勘定お願いします、
と言っている。


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店を出ると、
三人は足の向くまま
繁華街を歩き始めた。


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いろんなお店があるわね。


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なんか最近天気がいいわね。
もう初夏の気分。


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さっきの話の続きだけど、
親切にしてくれた霊魂って、
名前をフミコって言うんじゃない?
とサラが言った。

え、どうしてわかったの?

やっぱり言ってみるものね。特別な力を持っていて、
2年前に突然いなくなったって言ってたから。
フミコのことじゃないかなって。
フミコは2年前の7月に現実世界で蘇ったの。
今は「忘れられた夢の世界」って呼ばれてる所にいるわよ。


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三人はフミコの話題で盛り上がり、
話しながら歩いていて、いつの間にか、
新興地域の外れまで来ていた。

フミコと知り合いだったとは驚きね。
じゃあ、忘れられた夢の世界の
みすずの家に会いに行きましょう。
とシモーヌが言った。

いったん倉庫に戻るの?

その必要はないわ。


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シモーヌは呪文を唱えて、
鏡の扉を出現させた。

こんな道端に扉を出しちゃって、
大丈夫?

使ったらすぐ消える設定だから大丈夫よ。
人目につかないうちに行きましょう。



解説)
続きます。
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