Apr 21, 2024

ジェーンの世界 帰還

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ジェーンが投げ上げた紐を伝って、
3人はサイドテーブルの上に
登って行った。
エリコは花瓶に生けられた小枝に
器用に体を絡ませて見下ろしている。


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モモコ、あなたたちは今
とても危険な状態にあるの。
居間の隅にある扉のついた建物。
あれが見つかれば大変なことになるのよ。

あ、うん。
でもエリコはどうして私がここにいるって
わかったの?
私はいつもあなたの心の中にいる。
と言っても、私の体は迷いの森にあるんだけど。
あなたがどこにいるのか位はわかるのよ。
あなたは第二のお母さんだからね。
そう言ってエリコは微笑んだ。

それで急いでやってきてみたら、
すごく危ないことになってた。


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エリコの忠告を受けて、
二人は元の世界に戻ることにした。

慌ただしかったけど、楽しかった。
テレビ体操も覚えたし。
また遊びに来るからね。
とモモコが言っている。


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二人の姿が鏡の扉の中に
吸い込まれるように消えると、
魔術劇場も消えてしまった。


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モモコたちは、
魔術劇場の応接間に帰り着いた。

やあ、おかえり。
それはなんだね?
とハリーが言っている。


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モモコは異世界での出来事をハリーに話した。

なるほど、忠告してくれたエリコというのは、
迷いの森に住む生き物で、
君たちの行った世界は、
迷いの森とも繋がっているんだね。

迷いの森の奥にあの世界があって
エリコたちだけが通れる通路があるんです。

ふむ。私たち魔族の先祖が、
迷いの森からやってきたという
古い言い伝えがあるんだ。
もしかすると、その世界が
私たち魔族の故郷かもしれないなあ。

じゃあ、ジェーンは、
魔族のご先祖様の一族かもしれないですね。
魔法なんて全然使えないみたいですけど。

ふむ。
このクラッカーうまいなあ。
それで、トマソン氏はいかがでしたかな。


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ジェーンにもらったイチゴを食べて、
ここが夢ではなくて現実だと実感した時から、
なんだか自分が変わったような気がしていたんです。
そうしたら、こっちの世界で眠っていた筈の
僕の体が消えちゃったって、モモコさんに教えられて。

ふむ。モモコさんが探しに行かなければ、
それこそ神隠しに合うところでしたな。

感謝してます。
オブジェのヒントは見つからなかったんですが、
向こうではジェーンに色々案内してもらったんです。
あれ作ろうかなあ。

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ハリーへの報告を済ませてモモコが
魔術劇場から出ると、
広場はかわりなくぼちぼち賑わっていた。


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その透明なレインシューズ
かっこいいわね。
と舞に言われている。



解説)
長いようであっという間の、
モモコたちの冒険が終わったのでした。
Posted at 20:30 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Mar 21, 2024

早春のしらべ そのきゅう

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その夜、ジェニーたちの部屋には
オリーブと奈々子とエリカが
遊びに来ていた。


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奈々子は歌謡曲の
メロディを奏でている。

あ、その曲は。


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エ~リカ〜  エリカのは~なの
咲く村に~🎵


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それって西田佐知子でしょ。
都はるみじゃないの?
都はるみの曲は「エリカの花の咲く頃に」だよ。
なぜ文学青年が知ってるの?
さっきネットで。


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探偵事務所には
エリスがペンギンで知り合った
アベルがミルフィーユを連れて
遊びに来ていた。
ここでは来客があると、
たいてい酒盛りになるようだ。


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ジェニーフレンドって呼ばれる
ジェニーのお友達って
何人くらいいるのかしら。

50人以上いるらしいですけど。
私も知らない人が多くて。
とミルフィーユが言った。


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ところで、
君は未成年みたいに見えるけど、
お酒飲んで大丈夫なの?

そう見えます?
とアベルは言っている。


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やがて深夜になり。
みんな寝静まっている。


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広場にトマソンが現れた。
ひそかにオブジェを置いていくようだ。


解説)
今回は夜のシーンの続きでした。
Posted at 20:25 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Feb 21, 2024

春を待つ日々 そのさん

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ドルフィンの二階では、
おやつタイムが始まっていた。
みんなモモコの
お茶碗捌きに注目している。


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モモコ。その斜めの手の角度、
とても優雅ね。
と言われている。


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あ、ところで、今子に教えてもらった一茶の句。
「狐の子そこのけそこのけ子熊が通る」って、
文学青年がちょっと違うって言ってたよ。
狐の子と子熊じゃなくて、雀の子とお馬なんだって。
え。
そうなの。私お姉さんから教わったのよ。
お姉さんは一茶が生きていた時代の
生き証人なんだから。


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横で聞いていた駒井魔子が言った。
そうか。あなたももう大人なんだから、
本当のことを知った方がいいわね。
それはね。文学青年の指摘が正しいの。
私は、幼なかったあなたのために
狐バージョンを作って教えていたのよ。
他にも、「我と来て遊べや親のない狐」とか。

そーだったんだ。
その句も大好きで私随分慰められた。


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妹想いのお姉さんだったのね。
とペギーが言った。


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あ、デイリープラネットに
春節の龍の舞の写真が載っているよ。
「龍の舞で起きたミラクル」
っていうタイトルの記事。
とニッキーが言った。


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記事の横には、
エトナが撮影した写真が
掲載されていた。


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その頃、デジャには、
春節が終わって一息ついた
マンゴー亭のシェフの
丹下健太が休憩に来ていた。


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この町に来て、
あなたの踊りを見られたのは幸いでした。
造形美術とはジャンルは違いますが、
あの舞踏は芸術作品ですなあ。
とトマソンが言っている。


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そうそう。
僕も双眼鏡でここから見てたんだけど。
あのハイジャンプ。
しばらく空中に浮いているように見えたよ。
とゼロが言った。


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あれはね。
確かに私の長年の修練の成果でもありますが、
あのガルーダの被り物に
特殊な霊力が備わっているんです。
普通の人が被ると、
制御できなくなって踊り狂いますから。

そういえば、一昨年チンパンジーが被って
騒動になったことがあったわね。
とマリアが言った。


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ふむ。むしろそういう
霊力や魔力を修練によって
制御して作品に昇華するのが
芸術の営みなのかもしれないね。
トマソン君は最近作品を量産しているようだが。

このところリアルな夢ばかり見て、
絶好調なんですよ。
とトマソンが言った。



解説)
新聞掲載の画像は再掲です。
Posted at 20:29 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 21, 2024

佳奈の自由研究 そのさん

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あっという間に夕暮れ。


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ドルフィンの二階の部屋に行くために、
かなは広場に戻ってきた。

簡易休憩コーナーが移動している。


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コーナーがあった場所には、
農家の簡易直販店が開店していた。
岸芳樹とヘルミーネが話している。

今年もこの場所で
お店開けてよかったですね。
何かあるたび引っ越すけどね。


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いちごが大量入荷してます。
大安売りですよ。


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マンゴー亭では、
アンナが運動着姿で話している。


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やっぱりそれにしたの?
健康第一ですから。


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かながドルフィンの二階に着くと、
みんなが出迎えてくれていた。

ジェニーから話は聞いてるわ。
自由研究で名前の由来を調べてるのね。
はい。早速ですが。


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私はアシュレイ。
サラのところにいる、メアリー=ケイトと、
双子の姉妹なの。
名前の由来はよく知らないのよ。

私の名前はニッキー。
さる女優さんに似てるって言われて
ニックネームで呼ばれてるの。


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右にいた魔子が口を開いた。
私はここに同居させてもらっている
駒井魔子で、隣にいるのが妹の今子。
駒井という苗字は古くは狐舞と書いたの。
名付けてくれた人が回文が好きで。
その隣は遊びに来てるモモコさん。

私は名前の由来よく知らないの。
大勢いそうな、ありふれた名前でしょ。
とモモコが言った。
この子は、入間ルイちゃんと言って、
マンスフィールドさんのご親戚のお子さんよ。

私はエトナ。
シチリア島の火山から
つけたって親が言ってたわ。


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他にもこの部屋には、
いつもマンゴー亭でバイトしている
アンナとレイと、
喫茶ペンギンでバイトしてるリズと、
ペギーと今井舞っていう子が住んでるのよ。

すごい大所帯なんですね。
とても覚えきれない。
最近私もそうなのよ。
とニッキーが言った。


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ニッキーは三年前に
ペギーとリズと3人で、
ここで暮らし始めた頃のことを、
思い出しているようだ。



解説)
今回はほぼ住人紹介に。
Posted at 20:31 in n/a | WriteBacks (0) | Edit
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