May 21, 2026
みすずの家で

三人は鏡の扉を抜けて
みすずの家にやってきた。
シモーヌは早速エリーゼを
みすずに紹介している。
フミコのお知り合いですって?
フミコだったらミミコの世話をしてるわ。

フミコは赤い人形を下げたエリーゼの姿を見て、
驚いている。
2年ぶりの再会ね。

この人形、ケイトって言ったっけ。
精霊は深く眠っているみたい。

フミコが手をかざすと、
身震いしてケイトは起き上がった。
ここはどこでしょう?
また言ってる。
いつも説明が難しいわね。
ここは忘れられた夢の世界よ。
あ、あなたはフミコ。
成仏したんじゃなかったの?
成仏って、ケイトは仏教徒だったっけ。
あなたたちの方こそ、
幽霊になって出てきたのかしら。

ケイトはミミコと遊んでいる。
お茶の用意ができたので、
応接間に来ない?
とみすずが声をかけにきた。

みんなは応接間でくつろいでいる。
ディアナも呼ばれてエリーゼに紹介された。
ここは私たちが住んでいる、
「忘れられた夢の世界」よ。
夢食いや精霊や人間やロボットも
一緒に暮らしているけれど、
幽霊のお客様は初めて。
とみすずが言っている。

ことのあらましを聞いたフミコが言った。
ケイトが公園で拾われたおかげで、
こんなふうに二人と再会できたのね。
これもエリーゼとケイトの深い結びつきがあったから。
私のためにケイトの精霊の宿った人形を
現世から運んでくれたのはフミコ。
そこまで辿ればあなたに救われたのよ。
とエリーゼが言った。
でもその深い結びつきが、
あなたたちをその状態にとどめているとも言える。
因果の支配する現象の世界に。

エリーゼとケイトの関係は、
私とディアナの関係によく似てるわ。
ディアナも私が大事にしていた鹿のフィギアに
宿った精霊なの。
ここは亡くなった祖母の見ていた夢の世界。
魔族だった祖母は生前の思い出を込めて、
この消えない夢の世界を作り上げた。
この世界との結び目にもディアナがいたわ。
とシモーヌが言った。
お二人はお顔がそっくりなのね。
私もエリーゼそっくりに
変身させてもらえないかな。
とケイトが言った。
それは無理。

応接間での話し合いが終わった後で、
フミコとエリーゼは湖畔に散歩に出かけた。
あなたは親切な幽霊だと思っていたけど、
何千年も前に亡くなって、
ずっとあの世界にいた魔族の魂だったなんて、
驚いたわ。そんなに長い間消滅しなかったのは、
やはり現実との強い結びつきがあったの?
私は古代の魔族の娘として生まれ、
戦争が起きた時リーダーだったの。
それで私が死んだ時、仲間たちが
魔族に伝わる復活の呪文を唱えた。
その時は復活できなかったけれど、
その呪文は書き残されて伝えられたのよ。
数千年ののち、その呪文を唱えてくれた人がいたの。
私たちの都は滅びたけれど、
都の森には私の復活を信じて待っている者もいた。
グリーンマンって言うんだけどね。
数千年前、私の魔法によって生まれた森の精霊よ。
彼が私の頭蓋骨を守っていてくれたの。

何千年もあなたを待っていたなんて、
すごい結びつきね。
彼は守護霊みたいに、
私のいるところに、どこでもついてくる。
この世界にも来ている筈よ。
恥ずかしがり屋で、姿はなかなか現さないの。
私も、アスラーダっていう
ストーカーみたいな死霊に
付き纏われているの。
アスラーダもそんな内気なタイプだといいんだけど。

エリーゼは現実世界より、
こういう夢の世界のほうが住みやすそうね。
ケイトも元気になって生き生きしてる。
シモーヌ、これからどうするの?
オウルの様子を見に行ってくる。
私を危ういところで助けてくれた、
お礼も言わなくちゃ。
じゃあ、私も行くわ。
解説)
続きます。
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