May 22, 2026
蜘蛛の行方

木の葉が一枚、迷いの森から川を流れてきて
森林公園の人工の滝を落ちていった。
蜘蛛が身を縮めて
木の葉にしがみついている。

落下した木の葉は滝壺の石の上に
ぺたりとへばりついた。
蜘蛛は手足を伸ばして
木の葉から這い出した。
ケイトもこうやって
現実世界に来たってわけか。

蜘蛛は公園の中を這い回っている。
あの二人の女は、何という名前だったかな。
彼女たちがケイトと一緒だったんだから、
どこかこの近くで出会ったんだろうけど、
どうやって居処を探せばいいんだ。
確か一人の女は魔族で、
一瞬の魔法で俺の仲間を消してしまったな。
魔族は絶滅危惧種と言われているが、
あれほどの魔族なら有名かもしれない。
しかし全く無茶な話だよ。

蜘蛛はベンチで休憩している
二人の男女を見つけた。

あら、大きな蜘蛛よ。
うん、おや、この蜘蛛は、
普通の蜘蛛じゃないな。
夢食いか。

なんですぐバレるんだ。
お、お前はもしかして。
私も夢食いだから、
同類はすぐわかるんだよ。
と男は言った。
そんなグルーチョ・マルクスみたいな顔の
夢食いは知らないぞ。

わはは。そうだったか。
私は変装しているんだよ。
去年のハロウィーンの時の変装のままなんだ。
この顔が気に入ってしまってね。
私の名前はサルバドール。
サルバドールって言えば、
有名な夢魔じゃないか。
素質のある芸術家の夢に取り憑いて、
インスピレーションを与えて才能を開花させるが、
最終的に破滅に至らしめることもあるという。
あんたがあのサルバドールなのか。
ここ2年ほどは仕事を休んでいるがね。
ハリーという高名な魔族と出会って、
今では彼の魔術劇場に厄介になっているんだ。
今日は、魔術劇場で日頃世話になっている、
デュアンと一緒に、公園に桜見物に来たというわけだよ。

蜘蛛はテーブルに飛び移った。
お洒落なストライブの蜘蛛さんなのね。
おまえは人間の女だろう。
俺が怖くないのか。
俺が話しても驚かないのか。

私は見かけで判断しないの。
変わった魔法生物をたくさん知っているし、
魔術劇場に遊びに来る
百猫の王シュレディンガーとも友達。
それに「シャーロットの贈り物」は愛読書よ。
なんだなんだこの展開は。
そんな有名な夢食いも知り合いなのか。

どんな事情で現実世界に来たのか知らないが、
お前も夢食いなら、住む家もないんだろう。
よかったらハリーに紹介してやるよ。
頼めばきっと魔術劇場に泊めてくれるよ。
そうなさいよ。
とデュアンも言った。
うう。
それはありがたい。
よろしく頼むよ。
解説)
続きます。
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