Mar 07, 2023

街角の記憶

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町のこと、探偵さんなら
よくご存知じゃないんですか?
とはるなが言った。


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あんまり依頼がないから、
どうなんだか。
でも今事務所にいると思うから、
お話してみますか?
それは、願ってもない。
ぜひ。


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ということで、
ケントは探偵事務所を訪問したのだった。

事務所を開設されたのはいつ頃のことでしたか?
とケントはさっそく質問している。


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2008年の3月の末ですから、
最初から数えると、かれこれ15年になります。
途中に10年近くのブランクがあり、
一昨年の4月にこの場所で再開しました。
あまり仕事の依頼がないので、
今の町の市街地の現状には詳しくないんですよ。
あのあたりは行くたびに変わりますからね。


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5番街に行ったのも、もう随分昔だなあ。


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私は探偵事務所ができて程なく
助手として雇ってもらったんですけど、
やはり、この近辺の仕事の依頼が多いですね。
猫探しとか、人探しとか、
最近では、なくした新聞探しとか。


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この町全体の特徴といえば、治安がいいところかな。
この町では凶悪犯罪は滅多に起きないんです。
シティポリスが結構しっかりしてますし、
郊外には軍とCGの境界警備隊が駐屯していますからね。
それに、なんと言っても
CGのえり抜きのメンバーが暮らしてますから。


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私がこの探偵事務所に同居する形で、
ここでカウンセリングの仕事を始めたのは一昨年の4月。
十数年前には、市街地にライオンが現れたり、
チョコの盗難事件があったりしたらしいけど、
私が越してきてからは至って平穏ね。

確かにね。でもここ数年で、
ドルフィン前の広場では、いろんな変化があったよ。
ベーカリーやマンゴー亭やバー・デジャが開店したし、
魔術劇場もやってきた。
事務所では、ミューやドロレスが同居したし、
あのなんとかいうトカゲ頭の。
と探偵が言いかけたが、


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エリスは、言葉を遮って、
あ、そうそう。私も滅多に行かないんですが、
市街地といえば、雨の日を思い出します。
どこでもそうなんでしょうけど、
ふだん殺風景な景色も、
雨が降るとそれなりに
詩情が醸し出されていいものですね。
といった。


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なるほど。
ここ数年でドルフィン前の一画が特に発展した
治安のいい町ということで、羨ましいですね。
もちろん住民の方たちの個別の生活事情などについては
記事にしませんからご安心ください。
とケントは言った。


解説)
今回は街角の風景の再掲です。
2008年5月4日「5番街のマリー」
2007年4月15日「リペイントの街角」
2010年6月12日「あかるい雨 そのいち」
からピックアップ。

ミューやドロレスがロボットであること、
レプティリアンの訪問のことなどを、
新聞記者のケントに知らせるのはまずいと思って、
エリスは急いで話題を変えたようです。
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