Jun 03, 2026
ケントとの会話

ケントはサラたちと話している。
やあサラ、久しぶりだね。
お久しぶり。
もう先々月のことでしたけど、
森林公園の桜の記事読みましたよ。
あれで名所みたいになっちゃって。
随分人出があったらしいね。
あ、こちらはシモーヌさん。
パリでアンティークのお店をやっておられます。
それはどうも。
新聞社に勤めているケントです。
それで、何か見せたいものがあるとか。

ええ。このノート。
マルテっていう人の書いた
年代記の草稿なんですけど、
実は出版を考えているの。
お暇な時に読んでみてもらえないかしら。

ふーん。
サラから頼まれるなんて
何かわけがありそうだね。
もちろん面白ければ、うちから出してもいいけど。
歴史物か。舞台はどこの国?
それが火星なのよ。
私もまだ読んでないからわからないけど。

なんか達筆すぎて読みにくい文字だなあ。
筆が躍っているようだ。
くにゃくにゃした手で
一生懸命書いたみたい。
え、なんとこれは。
どうしたの?
面白すぎる。
会社に戻って、じっくり読んでみるよ。
返事はその後でいいかなあ。
もちろんよ。

作者の連絡先とか略歴とかわかる?
疑問箇所があったら聞きたいんだけど。
匿名希望で、
連絡は私を介してお願いするわ。
ふーん。
やっぱり事情があるんだね。

ケントさん。
ちょっとプライヴェートなことをお尋ねしますけど、
あなたは魔族の方ですね。
とシモーヌが言った。
あ、わかりますか。
私も魔族なものなので。
それで、この草稿のお話、
もし出版のお手伝いをしていただけるとなれば、
おいおい事情はお話しますが、
かなり公にできないこともあるのです。
わかりました。

ケントは仕事に戻るために、
市街地に帰って行き、
広場でマリアとすれ違った。

マリアはマンゴー亭にやってきた。
ああ、マリア。
留守中に訪ねてくれったって聞いたけど。
ああ、あの時ね。
実は特に用事はなくって、
あなたの家に蜘蛛を案内してたのよ。

マリアは、夢食い蜘蛛が、
サラたちの居場所を知りたいというので、
部屋に案内したことや、
その夢食い蜘蛛は最終的に、
ドラコに食べられてしまったことなどを話した。
それでね。
最初はただの人探しだと思って手伝ったんだけど、
蜘蛛はドラコに食べられる直前に、
アスラーダっていう死霊が
エリーゼっていう幽霊の女の子を襲う目的で、
エリーゼやあなたたちを探していて、
自分はその手先だったって白状したわ。
人の良さそうな蜘蛛だったけど、
ボスの命令に従う習性は変えられなかったみたいで。

今頃報告してるのかしら。
エリーゼはどこに行っても狙われているのね。
それに夢食い蜘蛛が手下なんて。
アスラーダのことはよくわからないけど、
たぶんアスラーダには
エリーゼを眠らせる力はないのよ。
それで夢食い蜘蛛の繭に閉じ込める必要があるから、
協力してるんだと思う。
「常春の国」にはもともと蜘蛛がいないから、
夢食い蜘蛛が侵入したらすぐわかる。
やはり今のところ、あそこが一番安全ね。
とシモーヌが言った。
解説)
続きます。
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