Jun 30, 2026
マルテと会う

斜面を登り切ると、
大トカゲに出会った。
森にいなかったわね。
マルテさんと話し込んでいたんです。
この前、洞窟に避難して以来、
お友達にになりまして。

ここがマルテの住処よ。

こんにちわ。
シモーヌ様。
マルテさんがお待ちですよ。
と福郎が言った。

草稿の出版は決まったのか。
それで出版してくれる
新聞社の人をお呼びしたのよ。
面会はしたくないと言ったじゃないか。
匿名で出版してもいいから、
どうしても著者がいることを確認したいって
いう意向だったの。
は、初めまして。
ケントと言います。

草稿を拝見しました。
非常に貴重な情報が満載で驚きましたが、
本物の火星人の方だったとは。
まあそういうことだ。
それで達筆すぎて、
判読不可能な箇所がいくつかありまして。
人間の文字を書くのは苦手なんだよ。
急な話だったので、
草稿は会社に置いてきてしまったんですが。
読めない箇所は、適当に想像で
書き直してくれて構わないよ。

ケントさん、
そこに椅子があるの?
どうもそうらしい。
これで著者が実在することが
確認できたわね。
これからどうしましょう。
ケントさんは私たちの夢の世界に
来たのは初めての体験でしょう。
いい機会だから、
「忘れられた夢の世界」にも
ご案内したらどうかしら。
そこはまた別の世界なんですか?
そこには太古の恐竜がいるのよ。
洞窟の出入り口は
開いたままですから、
すぐに行けますよ。
と福郎が言った。

三人は、「忘れられた夢の世界」の
東の果ての雪山に抜けてきた。
最近ちょっと思うんだけど、
手抜き風の風景画像が多くない?
そんなことないよ、
と風のような声がした。

ここもまた絶景ですなあ。
いつかみた夢のようだ。
とケントが言っている。
だから夢なんですよ。

トロンの家はすぐ近くにある。
あ、トロンがいるわよ。
あの緑色のが恐竜なんすか。
随分小さいようですが。
とケントが言った。
トロンは恐竜じゃなくて、夢食いなの。
おもちゃの恐竜の姿をして、
子供のみる夢に出てくるのよ。
今はあそこで暮らしてる。
解説)
続きます。
Jun 29, 2026
ケントを案内する

クモスケが、シェルの中から
這い出してきた。
実はね。クモスケが、
この常春の国に住みたいって言ってるの。
とシノが言った。
もう侵略しませんから、
よろしくお願いします。
ふーん。
一人で島抜けしてきたのね。
その言い方は。

シノ、腕に這わせて大丈夫なの?
とサラが言っている。
ええ、シェルの中に匿っていたから、
慣れっこよ。
精霊たちと仲良くしてくれるなら
住んでも構わないわよ。
住所不定だとみんなが不安がるから、
住処を決めてあげないと。
とシモーヌが言った。

クモスケの住処はこの彫像にしましょう。
クモスケは彫像に飛び移った。
いいんでしょうか。
この中にはアスラーダが封印されているんでしょう。
そうなのよ。
だから彫像の番人になってね。

片目の窪みが空洞に繋がっているの。
ありがとうございます。
ここは、住み心地が良さそうです。
よかったわね。
私フクロウたちに、
クモスケが住人になったことを
伝えてくる。
とシノが言った。

驚くことばかりです。
庭園といい西欧風のお城といい、
夢の世界のようじゃないですか。
とケントが言っている。
だから夢の世界なのよ。

三人はお花畑までやって来た。
あれは巨大なカマキリですね。
とケントが言っている。
そうなの、正確には
カマキリのフィギアに宿っていた精霊。
この世界には、そんな精霊たちばかりが
住んでいるのよ。
さっきの蜘蛛みたいに、
例外もあるけれど。
とシモーヌが解説している。

ここはまた絶景ですねえ。
絵葉書にできそうだ。
とケントは言っている。
山紫水明でしょう。
マルテがいるのはあの山の方よ。

ここはまた
鬱蒼とした森ですね。
大トカゲが寝ているはずだけど、
今日は見かけなかったわ。

ここ登っていくんですか。
そうよ。
登ったら洞窟まですぐだから。
解説)
続きます。
Jun 28, 2026
クモスケのことなど

サラとケントが押し問答をしているときに、
フランスの店から帰ってきたシモーヌが
やってきた。
ここにいるって、メアリーから
聞いてきたの、
と言っている。

著者のマルテに会いたいっていうのよ。
それが出版の条件なんですって。
それは理解できるけど。
そんなに固辞されるとは、
何か秘密があるんですか、
それがね。
あなたも魔族の方だから、
異世界のことは多少ご存知でしょうけど、
彼は今、異世界にいて、
本物の火星人なのよ。

火星人があの草稿を書いたんですか。
それは大スクープですね。
しかしもちろん、
我がデイリープラネット紙では、
記事にしませんからご安心を。
しかし、ますます
ご当人にお会いしてみたくなりました。
わかりました。
マルテさんのところに
お連れします。
いいの?
とサラが言った。
冒険だけど、なんとかなるわよ。
とシモーヌが言った。

その頃、常春の国の湖を
小さな葉っぱに乗ったクモスケが
漂っていた。

やっと岸辺に着いたぞ。
風まかせなので時間がかかったなあ。
と言っている。

草地を進んでいると、
散歩に来ていたシノとシエルに出会った。
あらら、クモスケじゃないの。
あなた、また一人で侵略に来たの?
そうじゃないんです。
晴れて自由の身になれたので、
クモコ様に願い出て、
お暇をもらってきたんです。
スパイでもないのね。
こっちの世界に住みたいの?
実はそうなんです。

クモスケはシェルの中に入れてもらった。
でもそれはどうなのかしら。
私はこの常春の国の住人じゃないし、
フクロウたちがなんというか。
一応、お城に行って
みんなの承諾を得た方がいいと思うわ。
その前にアーキスに見つかったら、
侵略者として食べられちゃうわよ。

最終的にはシモーヌの判断次第ね。
王様代理のオウルは
蜘蛛が好物だと言ってたし。
怖いこと言わないで
くださいよ。

シノたちがお城の入り口につくと、
ちょうどサラたちが、
現実世界から鏡の扉を抜けて来て、
マルテのいる雪山の洞窟に
向かうところに遭遇した。
あ、グッドタイミング。
とシノが言っている。
解説)
続きます。
Jun 27, 2026
帰ってきたサラ

一旦フランスのお店に戻るという
シモーヌと別れて、
サラは自室に帰ってきた。
ユリイカもついてきている。

こっちの様子はどう?
平穏な日々よ。
本格的な梅雨入りで雨の日が多かったわ。

君はここにいつくの?
お仲間がいますので。
お仲間とは、わしらのことかね。
と骸骨のお父さんが聞いている。

サラがアイスコーヒーを飲んでいると、
ドロレスとレイチェルも帰ってきた。
どうしたの?
あの戦闘で、
ドロレスがモンスターに肩を噛まれちゃってね。
バーボンハウスから修理しに戻ってきたの。
本格的な修理はドロレスを作った
シェリー博士に頼まないと。

スマホの呼び出し音が鳴って、
サラは通話している。

だあれ?
新聞社のケントさんよ。
ちょうどマンゴー亭にきてるから、
会えないかって。

サラは広場に出かけていった。
お待ちかねですよ。
とアンナに言われている。

やあサラ。
呼び出してすまないね。
ちょうどこっちに来る用事があったんで。
とケントが言っている。

用件はマルテの草稿の話だった。
文芸部の編集者にも読んでもらったんだが、
好評で、うちから出版できそうだよ。
ただ覆面作家という設定は構わないけれど、
著者の本人確認をして欲しいっていうんだ。
最近はAIでも本を書いちゃうからね。
ごもっともですけど、
マルテは会いたがらないと思うわ。
そこをなんとか。
解説)
続きます。
Jun 26, 2026
幽霊たちの話

こんにちは。
あなたたち、みんな
私に縁のある幽霊なの?
とエリーゼが言った。
僕はあなたの家で、
クッションに使われていた
犬のぬいぐるみの幽霊です。
私もそうよ。
でもエリーゼは赤ちゃんだったから
覚えてないでしょうけど。
と猫のぬいぐるみの幽霊が言った。
僕は人形のケイトがエリーゼのために
作った餃子の幽霊です。
縁があるって、
そういうのもありなのね。
とケイトが言った。

アスラーダのことを聞きたいんですって?
エリーゼ。無理もないけど、
全然覚えていないのね。

そうなのよ。
アスラーダは、
ここにいる魔族のシモーヌさんやお友達の力で
やっと眠らせることに成功したの。
ずっと付き纏われていたんだけど、
どうして私が狙われるようになったのか
覚えがないの。

僕が教えて差し上げましょう。
と餃子の幽霊が言った。
アスラーダは人間だった時、
ケンちゃんと呼ばれる
エリーゼの家の近所の子供でした。
ケンちゃんはエリーゼが好きになったけど、
エリーゼは病気で死んでしまったんです。
ケンちゃんもそのショックで死んでしまいました。
ケンちゃんの魂は死んでからも
エリーゼの魂を追い求めているという話です。
私はケンちゃんっていう子、
覚えていないわ。
とエリーゼが言った。
片思いとはそういうものなんです。
と餃子の幽霊が言った。
あなたはどうして知っているの。
僕は人形のケイトが病気のエリーゼのために作って、
お裾分けで近所のケンちゃんにあげた
餃子だったんです。
誰も覚えていないと思いますけど。
そんなことあったっけ。
とケイトが言った。

私たちは幽霊になってから、みんなバラバラ。
こうして呼ばれて出会うのも久しぶりね。
と猫のぬいぐるみの幽霊が言った。
そうそう。
アスラーダがエリーゼと一緒になれば、
幽冥界を支配できるって、
吹き込んだものがいたらしいよ。
と犬のぬいぐるみの幽霊が言った。
悪魔の囁きじゃないの?
幽冥界のどこかには、
ソウルイーターって呼ばれる連中もいるんですよ。
特別な魂が特別な魂を食べて強大になるんです。
ケンちゃんが亡くなってから
あんな姿になって、強い力を持ち、
アスラーダって呼ばれるようになったのは、
彼らの仕業かもしれない。
と犬のぬいぐるみの幽霊が言った。

サラたちは、帰路についた。
私に縁のある幽霊っていうから、
お父さんやお母さんに会えるかと思ったのに、
見覚えのない幽霊たちだった。
とエリーゼが言っている。
こっちの都合で急に呼んでもらったからね。
向こうの都合もあるでしょうから。
それに、ご両親の思いは
きっと人形の精霊ケイトの中に宿っていて、
エリーゼを見守ってくれているのよ。
散歩ついでに沼を見に行かない?
とシビルが言った。

この沼は火の精霊バーンのせいで、
島の火山が噴火した時、
水の精霊バルが大雨を降らせて
鎮火してくれた時にできた沼なのよ。
歴史があるのね。

あれは草食恐竜。
おとなしいこの島の住民なの。
森林火災の後、フミコが森を再生したり、
彼らの傷を癒したりしたから、
私たちにも懐いている。
それも歴史なのね。

一行はシビルの家に帰り着いた。
シビルは水晶玉に話しかけていたが、
交信が途絶えたようだ。
なんて言ってたの?
幽霊たちはエリーゼに会えて
とても喜んでいたって。
呼んでくれたら
また来たいって言ってたらしいわよ。
その気持ちわかりますよ。
幽霊って結構ひまなんです。
とユリイカが言った。
それはそうと、
アスラーダの素性が少しわかったわね。
生前近所に住んでいた子供だったっていうのは
驚きだったけど、エリーゼに恋して、
執着したあまり、亡くなってから、
ソウルイーターに変化しちゃったって
いうことかしら。
ソウルイーターがどんなものなのかも、
よくわからないわ。
それと、ケンちゃんに親族はいなかったのかしら。
この水晶玉にもっと情報を聞けないの?
この水晶玉は確かに霊界と仲介してくれるけれど、
いつもうまく行くとは限らないのよ。
宿っている精霊に直接聞くのは無理ね。
この水晶玉は、フミコによると、大昔の魔族が、
お天気占いに使っていたものらしいの。
解説)
続きます。
Jun 25, 2026
シビルの住む島で

サラたちは、
鏡の扉を使って「忘れられた夢の世界」の
シビルの家に現れた。
珍しいお客様ね。
とシビルに言われている。

実は、シビルに幽霊たちを呼んでもらって、
話を聞きたいと思って、ここに来たのよ。
とサラが言った。
幽霊ならそこにいるんじゃない?
エリーゼもそうだし、
ガラス戸のところにいる、
イカみたいな姿の子もそうでしょう。
僕はユリイカって言います。
とユリイカが言った。
アスラーダっていう死霊のことが
知りたいのよ。
夢食いモンスターと一緒に、
エリーゼをさらいに、
常春の国を襲ってきて、
なんとか眠らせて封印したけれど、
彼の素性や噂が分かればと思って。
ふーん。
確かに私は死者の霊を呼び出して、
夢見る人を巫女に育てるのを
生業にしている夢食いだけど、
ここ数年は仕事をしていないの。
アスラーダという名前も聞いたことがないわ。
そうだ。
この前みすずの家に行った時、
ちょうど預けてあった水晶玉を
持ち帰ってきたばかり。
ちょっと呼びかけてみるわね。

シビルは水晶玉に向かって呪文を唱え、
何やら話をしていたが、
やがて椅子から立ちあがって言った。
エリーゼに縁のある幽霊たちを
呼んでくれるって。
出てくる場所は、
幽霊をよく見かけるシダの森よ。
散歩がてら行ってみましょう。

一行はシビルの家を出た。

ここは火山の島。
この忘れられた夢の世界では、
北の果ての海にぽつんと浮かんでいる。
私は偶然ここに飛ばされてきて、
居心地が良くて住んでいるけれど、
どうしてこんな離れ小島が作られたのか謎なの。
夢を見たのはシモーヌのお婆さんでしょう。
とサラが言った。
祖母にとってはきっと何かの意味があったのよ。
とシモーヌが言った。
私が来たとき、あの家には、
火の精霊バーンの封印された水晶玉が置かれていた。
そのことと関係があるかもしれないわね。

シビルの案内で一行は
島を散歩している。
島には草食恐竜もいるけど、
襲ってはこないから安全よ。

静かでいいところね。
私のいた死後の世界の森に似ている。
とエリーゼが言った。
幽霊をよく見かけるのは、
シダの茂っているこのあたりよ。

エリーゼ。
あそこにいるわ。
ほんとだ。
犬のぬいぐるみのお化けみたい。
なんだろ。なんとなく覚えがある。

あそこにいるのもそうよ。
とエリーゼが言った。
理解不能な姿をしてるのもいる。
とサラが言った。
あれは餃子の幽霊ですよ。
とユリイカが言った。

幽霊たちは、エリーゼに
引き寄せられるように近づいてきた。
犬と餃子と猫なのね。
解説)
続きます。
Jun 24, 2026
蜘蛛たちの島など

シモーヌとサラは、
クモコとクモスケを連れて
小島の見える場所までやってきた。
あの小島はどうかしら、
あなたたちのために新しい世界を
作ってあげたいけど、
あなた方は侵略的な夢食いでしょう。
それはちょっと無理なの。
あの小島に住んでもいいんですか。

一行は鏡の扉を使って
小島にやってきた。

森に潜んで生き残っていた蜘蛛たちや、
異世界から遅れて引き寄せられてきた
夢食い蜘蛛たちが集まってきた。
ありがとうございます。
ここなら夢の世界と同じです。
小さな島だけど、
海が境界だと思えばいいのよ。
壺中天っていうでしょ。
鏡の扉は消しておくから、
頑張って理想郷を作ってね。

二人は湖の岸辺に戻ってきた。
二人を見つけて飛んできたアーキスと
話している。
なんだと。
あの小島をくれてやったのか。
また侵略してくるかもしれないぞ。
そうしたくなったら、
姿を消して別の夢の世界に行くと思うわ。
ここには、あなたもいるし。
そ、そうだな。
力の差を見せつけてやったからな。

二人はお城に戻った。
賑やかでしたが、
すっかり平穏を取り戻しましたな。

アスラーダを魔法で呪縛して
眠らせたのには驚きました。
とソファにいたユリイカが言った。
彼のことを知ってるの?
とサラが尋ねた。
名前を噂で聞いたことはあります。
幽明界にも色々な世界があって、
アスラーダが住んでいたのは、
僕たちにとっては未知の世界。
彼は行き来することができるから、
エリーゼを探しているという
噂が広まっていたんです。

アスラーダが呼んだ魔神みたいなモンスターも、
そういう世界から来たのかもしれないわね。
攻撃魔法に耐性があるなんて、
あれはたぶん普通の夢食いじゃないわ。
と、シモーヌが言った。

ちょっと気になるなあ。
噂を聞いた幽霊たちに、アスラーダのこと、
もっと詳しく教えてもらえないかしら。
とサラが言った。
仲間は簡単には呼べないんですよ。
それに、呼び出すには、
それなりの場所やきっかけが必要なんです。
幽霊が好みそうな場所ねー。
そうだ。
あそこなら。
とサラが言った。

どこに行くんですか。
シビルの住んでいる島。シビルには、
エリーゼもみすずの家で会ったことがあるでしょ。
彼女は特殊な夢食いなの。
ああ、生前私の夢に入ったことがあるって言ってた。
あの方なら呼べるかもしれないわね。
私たちは留守番してる。
とシノが言った。
解説)
続きます。
Jun 23, 2026
戦いの後で

エリーゼとケイトは目覚めた。
フクロウたちはどうしたのかしら。
みんなアスラーダの死骸線を受けて
消え去りましたよ。
と窓際に現れたユリイカが言った。
そうだったの、
私、現実世界に戻って蘇らせてくる。
とシモーヌが言った。
その時、ツナが部屋にやってきた。
魔神のようなモンスターに手こずったけど、
なんとか倒せた。
夢くいモンスターたちも全滅したわ。
みんな無事に戻ってきたところよ。

さっそくシモーヌは、鏡の扉を使って、
マンスフィールドさんの倉庫に行った。
中が空洞になっている
手頃な置物はないかしら。

シモーヌは呪文を唱えて、
次々に、フクロウの置物に宿っている
精霊たちを常春の国に送り出している。

シモーヌが常春の国に戻った頃、
北の山の洞窟から、ディアナが福郎と一緒に
お城に帰ってきた。
ディアナ様。
無事お戻りで。
皆さんが広間に集まっていますよ。
とグーフォが言っている。
みんなも無事だったのね。
私たちは無事じゃなかったんですが、
シモーヌ様に蘇らせていただいたのです。

ディアナが広間に行くと、
オウルが王座に座って話している途中だった。
おお、ディアナ様もお戻りのようだ。
という声がする。
皆さん。
突然やってきた夢悔いモンスターの軍団は、
サラさんのお友達のおかげで、
無事撃退できました。
頼もしや頼もしやという声がする。
皆さんを一瞬で消し去った死霊アスラーダも
今は囚えられて繭の中で眠っています。
この戦いの陰の功労者を紹介します、
クモコさんとクモスケさんです。
あれは夢食いのモンスターよ。
なんというわかりやすい名前だ。
と誰かが言った。

集会が終わり、
クモコとクモスケは改めて再会している。
クモスケ。お前はスパイをしていたの?
人質になって、自白しただけすよ。
クモコ様も寝返ったらしいじゃないですか。
まあ仕方ないわね。
お互い生き残るためだからね。
あなたたち、この世界を
全部もらえるってアスラーダに言われて、
加勢していたんでしょう。
協力してくれたお礼に住民にしてあげる。
とシモーヌが言った。
わあ。自由になれるんですね。
とクモスケが言った。
それは嬉しいお申し出ですが、
私は蜘蛛たちだけの国を作りたいのです。
とクモコが言った。
夢食いの習性は変わらないのね。
とシノが言った。

やがて助っ人たちはそれぞれ帰ることになった。
ツナとナディアとセリーヌは、
忘れられた夢の世界の東の砂漠の家へ。
ドロレスとレイチェルとロボットたちは
未来世界のバーボンハウスへ。
留守番を任せきりだからね。
今度はゆっくり遊びにくるわ。
などと言っている。

シモーヌは、バッグから取り出した
フクロウの置物を魔法で巨大にして、
庭園に据え付けた。
この置物には精霊は宿っていなかったんだけど、
中が空洞だったので倉庫から持ってきたのよ。
この中にアスラーダを封印するのね。
大昔にも、荒ぶる魂を鎮めるために、
こういうことをよくしたものよ。
とフミコが言っている。
安らかに永眠してくれるといいですなあ。
とオウルが言っている。

フミコとディアナも
「忘れられた夢の世界」に帰ることになった。
ミミコのお世話があるからね。
とフミコが言っっている。
私はまたエドと野原を駆け回りにくるわ。
鹿せんべい忘れないでね。
などと言っている。
解説)
続きます。
Jun 22, 2026
対決

シモーヌたちが応接間に踏み入ると、
恋町舞子がモンスターと格闘していた。
フミコは呪縛の呪文を唱えている。

舞子は突き飛ばされたが、
グリーンマンが現れて、
背後からモンスターを羽交締めにしている。
シモーヌ。
一気に魔法で片付けましょう。
グリーンマン、そこを離れて。
とフミコが叫んだ。

シモーヌとフミコは一斉に呪文を唱えた。
薄い煙がたちのぼり、
モンスターの姿が薄らいでいく。

あの赤いモンスターが突然現れて、
迫ってきたの。
危ういところだったわ。
とサラが言った。
狙いはエリーゼよ。
彼女の寝室に行きましょう。

エリーゼの寝室に飛び込むと、
中空にアスラーダが浮かんでいた。
ベッドの上には
眠らされたエリーゼが横たわり、
人面蜘蛛がうずくまっている。
なんだ、もう来たのか。

シモーヌとフミコは攻撃呪文を唱えたが、
アスラーダには効き目がないようだ。
ワハハ。無理なようだな。
とアスラーダが言った。
シモーヌ、呪縛の呪文に切り替えて!
とフミコが叫んだ。

二人が呪縛の呪文を唱和すると、
右手をあげて紫外線を放とうとしていた
アスラーダの動きが止まった。
う、これは。
アスラーダは身動きできないようだ。

あなたがエリーゼとケイトを眠らせたのね。
とサラが問い詰めている。
そ、そうなんです。
アスラーダ様のご命令なんです。
なんでもしますから、
お助けください。
人面蜘蛛の顔を覗き込んでいたサラは、
何か思いついたようだ。

お前。まさか私にそんなことをするのか。
シモーヌとフミコが
呪文を唱え続けているので、
アスラーダは身動きが取れないようだ。
うう、眠くなってきた。
とアスラーダはつぶやいた。

人面蜘蛛はネット状の繭の中に
眠り込んだアスラーダを閉じ込めてしまった。
こんなことをしていいのでしょうか。
もちろんよ。
あなたお名前はなんていうの?
名前なんてないんですよ。
人面蜘蛛と呼ばれてますが。
じゃあこれからクモコって呼んであげる。
それって。
アスラーダを消し去ることはできなかったけど、
眠らせることはできたわね。
クモコ。一度眠らせたものを起こすことはできるの?
とフミコが言った。
あ、クモコって私のことですね。
それはもちろんできますよ。
でも、普通はケイトの涙ながらの願いのように、
奇跡でも起きないと無理です。
ふーん。念のためにアスラーダは、
どこかに封印すべきね。
とりあえず、エリーゼとケイトを
起こしてちょうだい。
とシモーヌが言った。
解説)
続きます。
Jun 21, 2026
湖の小島で

シモーヌか。また会ったな。
とアスラーダが言った。

仲間を集めて、私の呼んだ夢食いの
モンスター軍団をほぼ全滅させたのか。
ここは私の作った精霊たちの世界。
夢食いに侵入されたら戦うのが当然でしょう。
私はこの世界に興味はない。
私の望みはエリーゼだけなんだ。
エリーゼの身柄を渡せば、
お前たちの勇敢な戦いぶりに免じて、
見逃してやってもいいぞ。
それはこちらのいうセリフよ。
襲ってきたのはそちらでしょう。
2度とエリーゼに手出ししないというなら、
見逃してあげてもいいわ。
なぜそこまでするんだ。
エリーゼも私も死後の世界の住人。
お前になんの関係もないだろう。

本人が嫌がってるのよ。
わからないの?
事情も知らないくせに、
おまえこそわからずやだな。
こんなこともあるかと思って、
私も魔界から助っ人を呼んだんだ。

二体の凶暴そうなモンスターが現れた。
こいつらはタフだぞ。
まあせいぜい遊んでもらえ。

アスラーダの姿はかき消え、
モンスターたちは襲ってきた。
シモーヌの攻撃魔法も効かず、
ハンターたちの銃弾は弾き返されてしまうようだ。

肉弾戦専門っていうことね。
そういうのは私に任せて。
と言ってミトラはモンスターに
突進していき、鉄球をぶん回して、
頭部に叩きつけている。
もう一体のモンスターにも、
シェルがジャンプして体当たりしている。

さすがにファイアースラッガー2は、
有効みたいですね。
とソーダが言っている。
シモーヌは鏡の扉を出現させる
呪文を唱えている。
シモーヌ。
どこへ?
あれはきっとおとりよ。
お城に戻りましょう。

シモーヌたちは、
お城の中の一室に抜けてきた。

応接間の方から、
騒がしい物音が聞こえる。
解説)
続きます。
Jun 20, 2026
湖の小島へ

湖の小島に薄紫の光がさした。

光の中から死霊の姿が現れた。
おおアスラーダ様。
ここが集合場所だな。
エリーゼは捕えて眠らせているか。
まだ捕えてもいません。
そればかりか住人たちの抵抗が激しくて、
お城にも辿り着けないのです。
中にモンスターハンターがいるらしく、
配布された武器で我々は壊滅状態なのです。

なんだと。
ローゴスがいるだろう。
あいつにはハンターの武器は通用しないはずだ。
それが、今、この翼のあるモンスターから
報告があったばかりですが、
シモーヌに魔法で消し去られたとのことです。
アスラーダ。
話が違うじゃないか。
ここにはフィギアの精霊たちしかいないと
聞いてきたんだ。
それに、お前はいつも
戦いを俺たち夢食いに任せて、
最後に現れるらしいな。
と、翼のあるモンスターが言った。
確かに俺たちは、お前と協力関係を結んだが、
お前の手下でも捨て駒でもないんだぞ。
ふっ。お前たちのような夢食いは
征服の戦いのために存在しているのだろう。
天職を任せてやっているだけだよ。
とアスラーダはいった。
もう仲間は残りわずかなんです。
帰らせてもらっていいですか。
と人面蜘蛛が言った。
殺されても帰っても同じことじゃないか。
エリーゼを眠らせてくれればいいんだ。
まあ付き合えよ。
プランBに変更するから。

その頃、シモーヌたちは
湖近くにやってきていた。
どうやら、あの小島みたいですね。
遊覧船で来たって言ってたわね。
船着場まで行ってみましょう。

一行が船着場のある湖畔まで行くと、
遊覧船から地を這うモンスターが
上陸してくるところだった。
まだ残党がいるのね。
ちょうどいい。
あいつらを倒して
船を奪還しましょう。

ロボットたちは、
モンスターを襲撃している。
なんだか哀れ。
あれが戦う夢食いの宿命なのよ。
負けてる側に同情するのも
人間の癖ね。

一行は奪還した遊覧船に乗って、
小島に上陸している。
空では翼のあるモンスターの残党との、
空中戦が続いていたが、
もはや大勢は決していた。

浜辺に上陸した一行は
あたりの様子を伺っている。
ここに道がありますよ。
とロボット犬のソーダが言った。

道を辿っていくと、
遥か行手に、赤いマントが見えた。
あれはアスラーダよ。
草むらにモンスターの残党もいるから
気をつけて。
とシモーヌが言った。
解説)
続きます。
Jun 19, 2026
小康状態

シモーヌたちは
城の庭園に帰り着いた。
オウルやサラが出迎えている。
シモーヌ様。
ご無事で何より。

シモーヌは噴水のカエルの彫像に向かって、
呪文を唱えている。

彫像の中からアーキスが現れた。
おお、もう戻してくれたのか。
恩に切るよ。
ローゴスは倒したのか。
瞬殺でしたよ。
魔法って私には理解不能ですが、
すごい威力ですね。
とソーダが言っている。

シモーヌがサラと、
エリーゼの様子を見に行くと、
フクロウたちも集まっていた。
みんなでエリーゼ様を
お守りしていました。
一緒に避難していたんでしょ。
とサラが言っている。

ナディアはさっそく
飛行装置の修理に取り掛かっている。
ミトラもやられたの?
ちょっと噛まれただけよ。

レイチェルとツナは、
シェルの点検をしている。
あれ。ここに蜘蛛がいるわよ。
ああその蜘蛛ね。
私の知り合いだから
人質にしたのよ。
人質って必要ないんじゃない?
殺すの可哀想で。

セリーヌは、銃の整備をしていた。
この銃、役に立ちましたね。
みんなに配ったからね。
いつも何丁も持ち歩いてる甲斐があったわ。
そこにミネルバが来て、
シモーヌ様がお呼びです。
と言った。

みんなのおかげで侵略を阻止できたわ。
ただ、まだアスラーダが現れないので油断は禁物。
それで、こちらから攻勢に出ようと思うんだけど、
彼らがどこからやってきたのかわかる?
たぶん湖のある方角からだと思うけど、、
戦闘に夢中だったのでそこまでは。
とナディアが言った。
きっとこの蜘蛛が知ってるわよ。
とシノが言った。
え、蜘蛛がいるの?
私苦手なのよ。
と誰かが言った。

シノがポケットから蜘蛛を取り出すと、
夢食い蜘蛛はテーブルの上に飛び乗った。
わしは好物なんじゃ。
とオウルが言った。
この蜘蛛は私の知り合いなので、
殺さないで人質にしたの。
ちゃんと詳しく話してね。
はい。
湖の中の小島から来たんです。
泳げないモンスターは遊覧船で来ました。
小島は集合場所になっていて、
アスラーダ様もそこに来られる予定です。
正直なのね。よくわかったわ。
あなたはなんていうお名前なの?
名前なんてないんです。
じゃあクモスケにしましょう。
とシモーヌが言った。
解説)
続きます。
Jun 18, 2026
ローゴスとの戦い

ローゴスは草原の彼方から
お花畑に向かってくる。

シモーヌたちが
お花畑に到着した。
あら、もう戦っているわ。
とツナが言っている。

ディアナは銃を連射しているが、
効き目はないようだ。
なんだ、またお前か。
一年前のことを覚えているぞ。
あの時は不覚をとったが。

ドラゴンモンスターから
飛び降りたローゴスは、
激しく腕を振り、
翼の爪でディアナとアーキスを
薙ぎ払った。

ドラゴンモンスターは
シモーヌに立ち向かって行った。
どうして夢食いが
魔族の見る夢に出てこないか知ってる?
とシモーヌが言っている。
なぜだ。
すぐに消されちゃうからよ。

シモーヌの呪文に薄い煙がたちのぼり、
ドラゴンモンスターの動きが止まった。
体が発光し始めている。

ドラゴンモンスターは倒れている。
その姿は次第に薄れていった。
おおなんと、
もうやられてしまったのか。

俺は怒ったぞ。
食い殺してやる。
ここは私が精霊たちのために作った世界。
あなたは只の夢食いの侵入者。
山川草木が全て私の味方だから、
あなたに勝ち目はないのよ。

シモーヌが呪文を唱えると、
薄い煙がたちのぼり、
ローゴスの体も薄らいで消えていった。
次は侵略する世界を選ぶことね。

ナディア、怪我はなかった?
翼と胸の覆いが引き裂かれて、
飛行装置が破損しましたが、
そのおかげで無事でした。
でも、アーキスは
やられて消えてしまったようです。
消えたのならお城の庭園の噴水の
彫像の中に戻っっている筈。
アーキスはこの世界で自由に暮らす代償に、
消えても彫像の中に永久に閉じ込められているのよ。
ヴィヴィアンとそういう契約を結んだらしい。
出現したンスターはほとんど片付いたようです。
ジョンとポールに監視を頼んで、
一旦お城に戻りましょう。
解説)
続きます。
Jun 17, 2026
反転攻勢 そのに

フェルミは銃の操作を見ていて
すぐに習得した。
百発百中ね。
流石に戦闘用ロボットのことだけあるわ。

ツナもファイアースラッガー2で
モンスターを消滅させている。

消え去るまで時間差があるのが、
スリルなのよね。

シノは、昆虫型ロボットの
ジョンとポールと共に
川のほとりで蜘蛛たちを発見した。

蜘蛛たちはすぐに片付けられた。
ここの蜘蛛は、
ブラッキーと違って弱っちいですね。
とジョンが言っている。
ブラッキーって未来の蜘蛛なの?
あ、君はあの時の。
ああ、シノさん。
と生き残っていた蜘蛛が言った。
知り合いなんですか。
とポールが言った。
また食い殺されにきたの?
そういうわけじゃないんですが、
これも命令なので。
そーか。
じゃあ役に立たないだろうけど、
人質っていうことで、
私が匿ってあげる。
いいんですか?

シノたちが森を抜けて
お花畑に着くと、
砲塔型ロボットのコーダが応戦中だった。

戦況はどんな感じですか?
ここが最前線。
お花畑までほぼ制圧できたみたいです。
モンスターたちは肉弾戦しかできないので、
武器さえあれば、やられ放題なんですよ。
ただセリーヌという人が、
負傷したので、ミトラが付き添って
お城に戻りました。
制空権もほぼ獲得しました。
とヒゾッコが言っている。

何とか物量作戦に
対抗できた見たいですね。
これ以上来なければいいけど。

お城では、フミコが呪文を唱えて、
セリーヌの傷を癒していた。
どうもありがとう。
危うく消えちゃうところだったわ。
あなたも夢食いだったわね。
消えても死ぬわけじゃないんでしょう。
またいつ戻ってこられるかわかりませんからね。
それにモンスターハンターが
モンスターにやられたんじゃ、
シャレにならない。
その時、
ツナが駆け込んできた。
ナディアがローゴスを見つけたって。
お花畑に向かってくるらしい。
ナディアがアーキスと迎え撃つって飛んでいった。
了解。私もお花畑に向かうわ。
とシモーヌが言った。
解説)
続きます。
Jun 16, 2026
反転攻勢

城門が開かれ、
反撃が始まった。

ロボットたちも、
出陣している。

早速、あちこちで空中戦が始まった。
何だこりゃ。
と言っている。

お前は去年は
仲間じゃなかったのか。
悪いな。
事情が変わったんだ。
とアーキスは言いながら
噛み付いている。

まずはお城の庭園から
駆除しましょう。

この銃、けっこう破壊力あるのね。
とドロレスが言っている。
夢食いモンスター専用の
銃だからね。

こいつは何なんだ。
夢食いでも人間でもなさそうだな。
私はミトラ。
恨みはないけど、
かかってくるなら受けて立つわよ。
望むところだ。
モンスターたちは
突進してきた。

ミトラは頭部の覆いを閉じると、
鉄球を振り回した。
背後から迫ったモンスターを
ヒゾッコが追撃している。

セリーヌはフェルミに
銃の扱い方を教えている。
あなたは戦闘用に作られた
ロボットなんでしょ。
軍からすぐに逃げ出したので、
軍事訓練を受けてないんですよ。
解説)
続きます。
Jun 15, 2026
新たな助っ人

結界の力が弱まり、
モンスターたちは
ひたひたと進み。

お城の周囲の森にも
侵入してきた。

我が物顔で
飛んでるなあ。

まだお城には入ってこれないのね。
でも時間の問題だよ。

応接間にみんな集まっている。
サラは?
フミコという方を
呼びに行かれました。
とオウルが答えた。
私もバーボンハウスに戻って
仲間を呼んでくるわ。
こっちも物量で対抗しないと。
とツナが言った。
あなたは人間でしょう?
フィギアの精霊なら、
この世界で消されても
本体から再生できるけど、
人間のお仲間だとそうは行かないわよ。
とシモーヌが言った。
私たちの仲間はほとんどロボットなの。
だから壊れたら修理できるのよ。
仲間たちは荒廃した未来の世界で
生き抜いてきた連中だから、
戦闘にも慣れてる。
鏡の扉を借りるわね。

ツナが出かけたのと入れ違いに、
サラがフミコを連れて戻ってきた、
フミコにエリーゼの危機のことを言ったら、
快くきてくれたの。フミコは
昔、魔族のリーダーだったこともあるから、
頼りになるわよ、とサラが言っている。
助かるわ。
お城の周囲にはった
結界が消えかかっているの。
すぐに補強しましょう。
とフミコが言った。

ツナもバーボンハウスから
仲間を連れて戻ってきた。
みんな連れてきちゃったの?
とナディアが呆れている。
これでも戦闘要員だけよ。
バンクやイリスやドーダたちには留守番してもらった。
ざっと右から紹介すると、
砲塔型ロボットのコーダに犬型ロボットのソーダ。
大きいのが戦闘用サイボーグのミトラ、
ミトラの肩にのってるのが昆虫型のジョンとポール。
戦闘用ロボットのフェルミに、
サイボーグの恋町舞子に、レイチェルにドロレス。
宙に浮かんでるのが蝙蝠型ロボットのヒゾッコよ。

フェルミ、未来の世界では
あなたと同じタイプのロボットと
私たちは散々戦ったのよ。
とナディアが言った。
そうらしいですね。
でも私は初期型で軍を脱走したので、
戦闘は初めてなんです。
ナディアさあ。
トラウマになってるのは
私も同じだけど、
この際、解消する良い機会だよ。
とツナが言った。

ドロレスさん、あなたは人間なのでは?
いいえ、こう見えて私はロボットなんです。
多分ご存知ないと思いますが、
シェリー博士が作ってくれたんです。
サイボーグのミトラは脳は人間なんですよ。

一同は広間に集まった。
ドロレスとシェルは
再会を喜んでいる。
フミコが結界を補強してくれたから、
お城の防御は万全。
こちらから撃って出て、
周辺のモンスターを一気に殲滅しましょう。
レイチェルと舞子は
お城で待機して。
私も戦いたい。
あなたはロボット学者でしょ。
メンテをお願い。
とツナに言われている。
解説)
続きます。
Jun 14, 2026
ディアナたちの避難

ディアナはカマキリと共に
森に向かっていた。
お花畑は戦場になったわね。
ここも危ないわ。

寝ていた大トカゲを起こした。
夢食いのモンスターが群れをなしてきてるの。
山の洞窟に逃げましょう。

しかし見つかってしまった。

群れを追ってきたアーキスとナディアが
立ち向かってくれた。
ナディアは、空から弓のセットを
地上に落としている。
それは、セリーヌの弓よ。
夢食いモンスター用に作られた武器なの。

ディアナは弓を手に取ると矢を放ち、
襲われていた大トカゲを
助けている。
あ。
と言い合っている。

ディアナ様
ありがとうございます。
頑張って。
目指す洞窟はすぐ先よ。

あそこに避難するの。
うす。

一行は洞窟の中に逃げ込んだ。
しかしモンスターたちは
突入する様子だ。

その時マルテが立ちはだかった。
なんだあのタコは。
という声がする。
一瞬、激しい閃光が広がり。

モンスターたちの姿は消えてしまった。
どうなったんです?
見ての通りだよ。

なんだ、君はシモーヌじゃなかったのか。
私は鹿のフィギアの精霊のディアナ。
人間の姿にしてもらった時、
シモーヌとそっくりの顔にしてもらったの。
みすずの家でお会いしたでしょう。
執筆に夢中だったからな。
そうか、それで、
私の草稿はどうなった?
シモーヌたちとは別行動してたので、
私は知りませんん。
そうか。
解説)
続きます。
Jun 13, 2026
お花畑の戦い

翼をもつモンスターたちの
一群がやってきた。

ナディアは飛行用器具を
装着して飛び立った。

激しい空中戦が行われている。

お花畑でも地を這うモンスターたちが
弾幕を抜けて襲ってきた。

立ち止まっていたら
囲われて標的にされる。

シモーヌは派手な魔法の呪文を唱えて、
モンスターたちを消滅させていた。

シノは前方の敵を倒した直後、
背後から襲われている。
だめだ間に合わない。

シノはシェルの中に閉じこもった。
モンスターはセリーヌの銃弾を浴びている。
か、硬すぎる。
とモンスターが言って、
消えていく。

随分倒したけど、
キリがないわね。
一旦お城に戻りましょう。
解説)
続きます。
Jun 12, 2026
不穏な動きと対策

夢食い蜘蛛は、
湖の湖畔に来ていた。
あれがカマキリが言っていた
恐竜型の遊覧船か。
どこにもフクロウの姿が、
見えないぞ。

蜘蛛は遊覧船に乗り込むと、
小島を目指した。

船は小島に到着した。
もう飛び立っている
モンスターたちがいる。

人面蜘蛛様。
集合時間に遅れてすみません。
どこに出現するか
選べないんだから仕方ないわね。
どうやってここに来たの?
遊覧船を拝借しまして。
なんだと。船があるのか。
でかしたやつだな。おやまたお前か。
ふむ。さっそく、その船を使って
上陸しよう。
とローゴスが言った。
モンスターたちは歓声を上げている。

ローゴスや、地を這うモンスターが、
続々と上陸している。

サラとナディアがお城を出て
歩いていた。
お城の周辺に結界を張ったって
シモーヌが言ってた。
でも効力は長続きしないらしいわ。
それで私たちは、
お花畑で待ち受けるっていうわけね。
あ、お花畑はこの先でしよ。
この辺でいいから、
サラはお城に戻ってよ。

セリーヌとツナも城門を出て
歩いていた。
どのくらいの数で来ると思う?
アスラーダっていう死霊が
どれだけ仲間を集めるかによるわね。
相手が普通の夢食いなら、
みんなに配布した武器で十分戦える。
ただローゴスに無効なのは
去年でわかってるから、
あいつが来ないことを祈るわ。
シモーヌの魔法頼みっていうことか。
それに死霊に武器は有効なの?
死霊なんて相手にしたことがないけど、
無理な気がする。

お花畑にみんな集まっていた。
ここは見晴らしがいいから、
迎え撃つには絶好ね。
敵からも丸見えだけど。
ナディア、何か見える?

見える見える。
うじゃうじゃいるよ。
解説)
続きます。
Jun 11, 2026
助っ人を呼ぶ

鹿せんべいを食べに、
お城に戻ったピリカたち。
ピリカはシモーヌに報告している。
お花畑のカマキリが
蜘蛛に出会ったって言ってたわよ。
シモーヌが呼んだのかって。
私は呼んでないわ。
それはきっと夢食い蜘蛛よ。
食べられたのにまたやってきたんだわ。
とシノが言った。
ということは、
アスラーダが夢食いを連れて、
この世界に来るっていうことね。

シノはシェルに乗り込んだ。
かっこいいね。
とピリカに言われている。
サラはシモーヌに、
私、援軍を連れてくる。
と言っている。
当てがあるの?
ヴィヴィアンとアイスは
航海に出て連絡が取れなくなっているけど、
「忘れられた夢の世界」の
東の砂漠で探索したり警護している、
モンスターハンターたちがいるの。
一年前にも夢食いのローゴスを倒したのよ。
わかった。
私はアーキスに声をかけるわ。

シモーヌたちは城門を出た。

どうした。
シノは勇ましい格好だな。
あなたの食べた夢食い蜘蛛が
また侵入したらしいのよ。
エリーゼの居場所を報告したとしたら、
アスラーダが、
夢食いを引き連れてくるかもしれないの。
見つけ次第駆除してちょうだい。
おお、戦いか。
望むところだ。
ディアナは、
カマキリや森の大トカゲに
避難するように言ってきて。
あ、洞窟の福郎とマルテにもね。
わかったわ。

サラはアイスから
教えてもらった呪文を唱えている。

サラは「忘れられた夢の世界」の
東の砂漠にあるセリーヌの家に
出てきた。
おやサラか。
こんな最果てに来るとは珍しいね。
緊急事態なの。
シモーヌの作った「常春の国」っていう世界が、
夢食いに襲われるかもしれない。
助けてくれない?
それは、私の専門ね。
と、恐竜図鑑を読んでいた
モンスターハンターのセリーヌが言った。

砂漠の家には留守番にラルゴを残して、
セリーヌとナディアとツナが、
サラと一緒に移動してきた。
サラ様、オウル様が
昼寝からお目覚めになって、
広間におられます。

広間には、フクロウたちが
集められていた。
みなさん、この中にはこれまで、
夢食いに襲われたことのあるものは
いないと思います。
普通シモーヌ様のような
魔族の見る夢や魔族の作った世界には、
夢食いは侵入してこないと言われますが、
それが今起きようとしているのです。
恐ろしや恐ろしや。
という声がする。

もし襲われて体が消え去ることがあっても、
シモーヌ様がきっと復活させてくださいます。
私の場合がそうでした。
だから怖がらずにお城に閉じこもっていましょう。
それに、サラさんが
別世界から助っ人を呼んできてくれました。
夢を支配したがる暴力的な夢食いを専門的に退治する、
モンスターハンターと呼ばれる夢食い。
そんなセリーヌさんと、
お友達のナディアさんとツナさんです。
ご健闘をお祈りしましょう。
頼もしや頼もしや
という声がする。
なんかすごく期待されてるみたいね。
とツナが言っている。
解説)
続きます。
Jun 10, 2026
お花畑で

蜘蛛は仲間の蜘蛛たちから
呼びかける信号を受信したが、
それは小島から発信されていて、
行き着けなかった。

あの怪鳥に見つかると、
また食べられちゃう。

蜘蛛は近場の花畑の中に
隠れることにした。

しかし、昼寝していたカマキリに
見つかってしまった。
あんたは誰?

もしかしてあんたは
蜘蛛のフィギアの精霊なのかい?
え、まあそんなとこです。
シモーヌ様がフィギアを見つけて
精霊を送ってくれたんだね。
そ、そうなんです。
あの。湖の小島にいきたいんだけど。
あそこは無人島で誰もいないよ。
どうしても行ってみたいんなら
恐竜型の観光船が湖を周回してるから、
船頭をしているフクロウたちに頼んで
乗せていってもらったら?
そうなんですね。

その頃、お花畑の水飲み場では、
お城から出かけたピリカが
エドとディアナに出会っていた。
シモーヌたちと一緒にお城に来たの。
鹿せんべいのお土産があるのよ。

ピリカは人間の姿に戻って、
エドの背中に乗せてもらっている。
エリーゼとケイトが
お城に住むらしいよ。
どんどん住人が増えているのね。
賑やかになって結構なことだわ。

一行はカマキリと出会った。
さっき蜘蛛と出会いましたよ。
それは妙ね。
シモーヌが住民を増やしたのかしら。
蜘蛛って、夢食い蜘蛛じゃない?
さっきお城でシノが話してたのを聞いたわ。
食べられちゃったって言ってたけど、
また来たのかしら。
とピリカが言った。

その頃、湖の小島には、
夢食いたちが、どんどん出現していた。

なんだここは。島の中じゃないか。
エリーゼは森に囲まれた城にいるんだろう。
とローゴスが言っている。
仕方がないのよ。
私はここに飛ばされちゃったんだから。
ここが集合場所なの。
と人面蜘蛛が言った。
また島の中に出たのか。
俺は去年もこうだったよ。
俺は泳げないんだ。
と巨大なドラゴンのような
夢食いモンスターは言った。
わはは。
俺たちは空を飛べるから、
先に行って住人をみんな食い殺してやるよ。
と翼をもつモンスターが言った。
うむ。まあ任せたよ。
いつものパターンだしな。
とローゴスは言った。
解説)
続きます。
Jun 09, 2026
お城で

サラたちは常春の国のお城に
到着した。
お戻りになられましたか。
オウル様がお待ちです。
とミネルバが言っている。

エリーゼたちは
応接間に案内された。
オウル。待たせちゃったわね。
おお、シモーヌ様。
こちらの方たちも
お見えになられました。

あら、シノにシェルじゃないの。
どうしてまた。
とサラが言った。
この世界には、
ディアナに付き添ってもらって、
初めてきたんだけど、
ちょっと訳があったの。
そう言って、シノは
エリーゼの居場所が知りたという、
夢食い蜘蛛を案内してきたことや、
蜘蛛はアーキスに食べられてしまったことを話した。
それじゃ、
今頃報告してるわね。

私のために、この世界が
危険になっちゃったっていうことですね。
なんて言っていいか。
とエリーゼが言った。
アスラーダは、どこに行っても
あなたを追いかけてくるんでしょう。
それがたまたまここだっていうだけよ。
いつかは決着をつけないと。
私もアーキスもいるし大丈夫。
とシモーヌが言った。

ミネルバから、エドとディアナが
お花畑にいると聞いたピリカは、
小鹿の鹿の姿に変身した。
私、鹿せんべいがあるからって、
二人を呼んでくる。

そうそう。
お二人のお部屋のご用意ができてます。
ご案内しましょう。
とミネルバが言った。

エリーゼたちは
寝室に案内された。

ふかふかのベッドね。
ここならよく眠れるわよ。
アスラーダが来たら
私がすぐ起こすから大丈夫。
とケイトが言っている。

ついてきちゃったのね。
とシモーヌが言った。
窓際にユリイカがいるのが、
サラにもはっきり見えた。
ふーん。
あれが噂のお化けか。
とてもイカには見えないなあ。
とサラが言っている。
解説)
続きます。
Jun 08, 2026
鹿せんべいなど

ペンギン前のテーブル席で、
シモーヌはローラに
鹿せんべいをわけてもらった。

ちょうどよく
ストックがあったわね。
需要があるのよ。

あ、ところで、ミラ。
死霊を退散させる方法ってわかる?
そういうことは、
あなた方の方が詳しいんじゃない?
結界をはったり、
護符を付けたり。
管理局は管轄外よ。
どこかの惑星の文明社会が
存亡の危機に陥るような
事態になれば動くけど。
シモーヌさん、
取り憑かれたんですか?
そうは見えませんけど。
とバグが言った。
私じゃないのよ。

シモーヌは、鹿せんべいをもらって、
帰り道に高台の休憩所を通りかかった。
ピリカが、
その袋、鹿せんべいでしょ。
と言っている。

よくわかったわね。
需要ってピリカのことか。
匂いでわかるの。
これはエドへのお土産だから、
わけてあげられないのよ。
ふーん。
じゃあ一緒に行って、
エドと一緒に食べる。

シモーヌとピリカは、
サラたちの部屋に到着した。
あら、まあ。
珍しいお化けが。
二人にはお化けが見えるようだ。

私が見えるんですね。
とお化けが言った。
私は子鹿のフィギアの精霊だから。
私はピリカっていうのよ。
あなたのお名前は?
ユリイカ。
と言います。
イカのお化けなの?
いいえ。
ホタルイカのお化けです。

ユリイカはほんのりと発光した。
サラは驚いて立ち上がっている。
サラにも見えるの?
あかりみたいなものだけ。
これって人魂なの?
そんなふうに呼ぶ人もいるけど、
イカだったなら、イカ玉ね。
こんなふうにお化けが見えたのは、
生きていた頃以来。
とエリーゼが言った。
よく遊んだわね。
こういうのはたいてい無害なのよ。
ただぼーっとしてるのが多いけど、
話しかけて仲良くなると遊んでくれる。
とケイトが言った。
私はお化けには詳しくないけど、
多分「常春の国」にいけば、
あそこは精霊たちのために作った世界だから、
サラにも姿が見えるはずよ。
とシモーヌが言った。

シモーヌは呪文を唱え、
一行は「常春の国」に出発した。
ちょっと遅くなっちゃったわね。
オウルが昼も眠らずに
待っているはず。
解説)
続きます。
Jun 07, 2026
紫陽花など

サラたちは、常春の国に戻るため、
マンゴー亭から出てきた。

広場ではルルが花の手入れをしていた。
これは?
今は紫陽花の季節でしょう。
見頃だから広場に飾ろうと思って。

素敵ね。
私、エドの好物の鹿せんべいを
ローラからもらってくる。
サラの部屋で落ち合いましょう。
とシモーヌが言った。

サラは紫陽花の小鉢を、
ルルからわけてもらった。
それどうするの?
お部屋に飾るのよ。

サラとエリーゼは部屋に戻ろうと
階段に向かって歩いている。
あ、あそこに。
と人形のケイトが言った。
本当だ。久しぶりね。
と、エリーゼも言っている。

二人ともどうしたの?
何も見えないわよ。
とサラが言っている。
白っぽいお化けのようなものは、
エリーゼとケイトだけに見えるようだ。

サラたちは部屋に戻ってきた。
お帰りなさい。
あら、きれいな紫陽花ね。
とメアリーに言われている。

どうしたのこれ。
ドルフィンの倉庫の裏で
ルルが手入れしていたらしいんだけど、
満開の季節だからって、
小鉢に入れたのをわけてくれたの。
それはどうしたんですか。
とジェイソンが言った。

なんのこと?
サラの横に座っている白っぽいものですよ。
お化けみたいだけど。
メメもメーメーと言っている。

サラはなんのことかわからず、
戸惑っている。
あなたたちにも見えるのね。
その子は、何かの幽霊。
私たち死者や精霊にだけ見えるみたい。
広場で出会ったんだけど、
ずっとついてきたのよ。
とエリーゼが言った。
解説)
続きます。
Jun 06, 2026
アスラーデの計画

ここは迷いの森から通じている
異世界の一つ。
アーキスに食べられた蜘蛛は。

振り出しに戻るように、
この世界に戻されてきた。

おお、戻ってきたのね。
エリーゼの居処はわかったの?
はい。
直接確認することはできませんでしたが、
「常春の国」というところに住むようです。
その世界には夢食いの怪鳥がいて、
侵入者を防いでいるようで、
俺も一瞬で食い殺されてしまいました。
そーだったの。
それは大変だったわね。

近くで話を聞いていたローゴスが言った。
夢食いの怪鳥だと?
そいつは一年前に「忘れられた夢の世界」を
侵略した時、仲間だった奴じゃないか。
みんな出現場所を選べないので、
ちりぢりになったようで、
とうとう会えずじまいだった。
「常春の国」という世界で、
守護者になっているということは、
どうなっているんだ。
二つの世界は、
魔族の使う鏡の扉で、住人たちが
行き来しているようなんです。
俺は「忘れられた夢の世界」から、
魔族の作った鏡の扉で行ったんです。
ふーん。
鏡の扉は便利そうだが、
俺たち夢食いには縁がないな。
あいつにそんな魔法が使えるわけがないから、
二つの世界には、
どこかに別の通路があるんじゃないか。
まあ目的地はわかったわけだから、
どうでもいいが。

蜘蛛はアスラーダに報告した。
全然当てにしてなかったんだが、
よくエリーゼの居処を見つけてくれたな。
夢食いの協力者も増えたことだし、
今度こそ、エリーゼを眠らせて
魂を喰らってやることができそうだ。
成功したら、その「常春の国」は、
お前たちにくれてやろう。
元々シモーヌという魔族が
生み出した世界で、
フィギアのフクロウたちの暮らす、
とてもいいところみたいなんですよ。
お城も庭園もあって。
私にはそんな世界は興味がない。
どうせ人形遊びの好きな魔族の
妄想みたいな世界なんだろう。
ところで作戦なんだが、
まずは集合場所を決めておく。
そこにエリーゼをさらってきて、
繭の中で眠らせるのがお前たちの役目だ。
繭に閉じ込めて眠らせることはできるけど、
さらってくるのは私たちには無理よ。
と人面蜘蛛が言った。
そこをなんとかするんだ。
邪魔する奴はみんな消してしまえ。
そのためにローゴスたちがいるんだ。
その世界のどこに出現するかは決められないが、
人面蜘蛛。
お前の出現した場所を集合場所にしよう。
だから最初に行ってくれ。
待って、それは無茶よ。
もうちょっと考えたほうが。
と人面蜘蛛が言った。
無視してアスラーダは呪文を唱えた。

次の瞬間。
気がつくと人面蜘蛛は草地にいた。
ここはどこかしら。
話の流れから言って、
「常春の国」らしいわね。

そこは「常春の国」の
湖に浮かぶ小島の草原だった。

人面蜘蛛の不思議な力に引き寄せられて、
手下の蜘蛛たちが、次々と出現していった。
ここが集合場所になるのね。

人面蜘蛛様。
ここはどうも湖に浮かぶ小島のようです。
私たちは島から出られませんよ。
と蜘蛛たちが報告している。
だから無茶だって言ったのに。

人面蜘蛛の引き寄せの力は万能でなく、
一匹だけ、別の場所に出現してしまった蜘蛛がいた。
それは、散々エリーゼ探しの冒険をしてきた蜘蛛だった。
人面蜘蛛様も、
仲間も誰もいないなあ。
と言っている。
解説)
続きます。
Jun 05, 2026
常春の国で

シノと蜘蛛を乗せたシェルは、常春の国に抜けてきた。
初めての訪問なので、自分が付き添うと言って、
ディアナもついてきてくれた。
おお、これはディアナ様。
お連れはお客様ですか。
とミネルバが言っている。

こちらはシノとシェル。
「忘れられた夢の世界」での、
私のお友達なの。
よろしくね。
それはそれは。
こちらこそどうぞよろしく。
オウル様は珍しく起きておいでです。
早速ご案内しましょう。

ディアナはオウルにシノたちを紹介した。
それで、サラやシモーヌと、
エリーゼとケイトはいないの?
皆さんは、
エリーゼさんたちに住民を紹介するといって
出かけられましたが、
エリーゼとケイトさんは
ここにお住まいになられると
いうことでしたので、
戻ってこられると思います。
今、お二人のお部屋の準備中です。
それで起きてたのね。
エドは、元気?
はい、野原を駆け回ってます。

ディアナは鹿の姿に変身した。
私、エドに会ってくる。
向こうの世界では恐竜がいるので、
安心してサバンナを走れないのよ。
シモーヌ様たちが戻られたら、
お呼びしますよ。

広間では、
フクロウたちが忙しそうにしていた。
エリーゼとケイトのための
部屋の準備をしているようだ。
すごいお客様ですな。
あの方もフィギアの精霊でしょうか。
とミネルバが言っている。
そうじゃなくて、シェルは、
本物のシェルター型のロボットなのよ。

一行は城の外に出た。
私はお花畑に行って、
エドに会って走り回ってくる。
あなたたちはどうする?
走るのはどうも苦手です。
とシエルが言った。
じゃあサラたちが戻るまで、
庭園でも散歩してらっしゃいよ。
噴水が綺麗よ。
とディアナが言った。

デイアナと別れた後、
シノたちが庭園を見て回っていると、
夢食い蜘蛛がシェルの中から、
這い出してきた。
ふー。ここも住みやすそうな世界ですね。
じっとシェルの中に潜んでおりましたが、
おかげでエリーゼとケイトが
ここに住むらしいことがわかりました。
それは役目が果たせて良かったわね。
あとは報告するだけね。
でもそうなると、やがては、
アスラーダがやって来るのかしら。

その時、怪鳥が
ぐんぐん接近してくるのが見えた。
あ、あれは。

怪鳥は至近に迫って
ホバリングをしながら、
蜘蛛を嘴で咥えて
噛み砕いてしまった。
夢食い蜘蛛の姿が薄れていく。
あらら。
とシノが言っている。

お前たちも夢食い蜘蛛の仲間か?
あなたは誰?
俺はこの国を守っている
夢食いのアーキスだ。
私たちは「忘れられた夢の世界」から来た、
普通の旅行者よ。
サラに会いに、ディアナと一緒にきたの。
なんだと、ディアナやサラと知り合いなのか。
それがなぜ侵入者の夢食い蜘蛛と一緒にいたんだ。
「忘れられた夢の世界」で出会って、
サラに会いたいっていうから、
連れてきただけよ。
いきなり食べちゃうなんて、ひどくない?
俺は侵略者からこの国を守るのが
仕事なんだよ。
解説)
続きます。
Jun 04, 2026
みすずの家で

忘れられた夢の世界の
湖のほとり。

シェルに乗ったシノと蜘蛛が、
ジャングルを抜けて来た。

あれがみすずの家よ。
ふーん。あの家もなかなか
古色蒼然としていますなあ。

シノたちが家に行くと
ちょうどみすずに出会った。
あらシェル。
シノも一緒なんでしょ。
と言われている。

シノはシェルから降りた。
ディアナ、珍しくシノが来たから、
お茶にしましょう。
とみすずが言っている。

フミコも加わり、
応接間でお茶会が始まった。

サラ?
10日くらい前に、シモーヌと
エリーゼっていう幽霊の女の子と一緒にきたけど、
常春の国に行くって言って、
出かけて行ったわよ。
とディアナが言った。
そうなんだ。

シノはあちこち見て回るのが好きだったわね。
常春の国には行ったことがあるの?
まだ行ったことがないわ。
シモーヌっていう魔族が作った国で、
精霊だけが住んでいるんでしょう。
シモーヌっていう人にあったら
頼もうかと思っていたんだけど、
彼女と知り合う機会がなくて。
サラに聞いた話だと、
アーキスっていう夢食いも住んでいるらしいわよ。
元はローゴスの仲間だったけど、
今は改心して治安のために見張りをしてるんですって。
サラに会いたいなら、常春の国に行ってみたら?
鏡の扉の呪文は私が覚えてるから、
扉を開けてあげるわよ。
とフミコが言った。
シェルも行ってみたらいいわ。
あなたは別世界に行ったことがないんでしょう。
とみすずが言った。
私はロボットなのでそういうのは苦手で。
シノの家で留守番していますよ。
まあそう言わずに。
こういう機会も何かの縁よ。

シェルと一緒に行けるといいけど、
シェルは体が大きいので、
あの扉を通るのは無理でしょう。
とシノが言った。
だったら、特別に魔法をかけてあげる。

フミコが呪文を唱えると、
薄い煙がたちのぼり。
鏡の扉が巨大になった。
魔族はいいなあ。
とシノが言っている。
解説)
続きます。
Jun 03, 2026
ケントとの会話

ケントはサラたちと話している。
やあサラ、久しぶりだね。
お久しぶり。
もう先々月のことでしたけど、
森林公園の桜の記事読みましたよ。
あれで名所みたいになっちゃって。
随分人出があったらしいね。
あ、こちらはシモーヌさん。
パリでアンティークのお店をやっておられます。
それはどうも。
新聞社に勤めているケントです。
それで、何か見せたいものがあるとか。

ええ。このノート。
マルテっていう人の書いた
年代記の草稿なんですけど、
実は出版を考えているの。
お暇な時に読んでみてもらえないかしら。

ふーん。
サラから頼まれるなんて
何かわけがありそうだね。
もちろん面白ければ、うちから出してもいいけど。
歴史物か。舞台はどこの国?
それが火星なのよ。
私もまだ読んでないからわからないけど。

なんか達筆すぎて読みにくい文字だなあ。
筆が躍っているようだ。
くにゃくにゃした手で
一生懸命書いたみたい。
え、なんとこれは。
どうしたの?
面白すぎる。
会社に戻って、じっくり読んでみるよ。
返事はその後でいいかなあ。
もちろんよ。

作者の連絡先とか略歴とかわかる?
疑問箇所があったら聞きたいんだけど。
匿名希望で、
連絡は私を介してお願いするわ。
ふーん。
やっぱり事情があるんだね。

ケントさん。
ちょっとプライヴェートなことをお尋ねしますけど、
あなたは魔族の方ですね。
とシモーヌが言った。
あ、わかりますか。
私も魔族なものなので。
それで、この草稿のお話、
もし出版のお手伝いをしていただけるとなれば、
おいおい事情はお話しますが、
かなり公にできないこともあるのです。
わかりました。

ケントは仕事に戻るために、
市街地に帰って行き、
広場でマリアとすれ違った。

マリアはマンゴー亭にやってきた。
ああ、マリア。
留守中に訪ねてくれったって聞いたけど。
ああ、あの時ね。
実は特に用事はなくって、
あなたの家に蜘蛛を案内してたのよ。

マリアは、夢食い蜘蛛が、
サラたちの居場所を知りたいというので、
部屋に案内したことや、
その夢食い蜘蛛は最終的に、
ドラコに食べられてしまったことなどを話した。
それでね。
最初はただの人探しだと思って手伝ったんだけど、
蜘蛛はドラコに食べられる直前に、
アスラーダっていう死霊が
エリーゼっていう幽霊の女の子を襲う目的で、
エリーゼやあなたたちを探していて、
自分はその手先だったって白状したわ。
人の良さそうな蜘蛛だったけど、
ボスの命令に従う習性は変えられなかったみたいで。

今頃報告してるのかしら。
エリーゼはどこに行っても狙われているのね。
それに夢食い蜘蛛が手下なんて。
アスラーダのことはよくわからないけど、
たぶんアスラーダには
エリーゼを眠らせる力はないのよ。
それで夢食い蜘蛛の繭に閉じ込める必要があるから、
協力してるんだと思う。
「常春の国」にはもともと蜘蛛がいないから、
夢食い蜘蛛が侵入したらすぐわかる。
やはり今のところ、あそこが一番安全ね。
とシモーヌが言った。
解説)
続きます。
Jun 02, 2026
コンテストの発表など

サラたちはケントに連絡して
マンゴー亭で待ち合わせすることになり
広場に出かけた。

こんにちわ。
あ、やっぱりタイミングよく来たわね。
これからコンテストの優勝者の発表をするところよ。
とルビーが言った。

ルビーは、マイクを手にして、アナウンスを始めた。
みなさん。先月のコスプレコンテストの
優勝者を発表します。
厳正中立な審査の結果、
優勝したのは人形のアクセサリーが
チャームポイントのエリーゼさんです。

エリーゼ、いつの間に参加登録してたの?
この前広場で、
舞っていう人に参加を勧められて、
代わりに登録しておくって言ってたので、
きっと参加したことになってたのね。

万雷の拍手に迎えられて
エリーゼはトロフィを授与されている。
私幽霊なんですけど。
気にしないで。

すぐに、コンテストの参加賞の
恒例イベントのチョコの掴み取りが始まり、
長蛇の列ができている。

サラたちはマンゴー亭で
ケントの到着を待つことにした。
エリーゼ、トロフィはどうしたの?
重いからドルフィンで
預かってもらいました。

エリーゼはルビーに声をかけられた。
さっきは助かったわ。
毎月コンテストの優勝者を発表してるんだけど、
このところ参加者は常連の住民ばかりで、
新規登録者がいなくて、困ってたところ。
あなたが来なかったら、
今月は該当者なしにするところだった。
そうなんですね。
エリーゼさんってとても幽霊には見えないわね。
霊界から来たの?
え、あ、まあ。そんなところです。
そのお人形も?
これは幽霊じゃないんですよ。
ケイトって呼んでます。
普通のお人形なのね。
そういう毛糸のお人形って、
毛糸をほどくと芯に何が入っているのかしら?
ケイトは話たかったが
黙っていた。

そうこうしているうちに、
市街地にあるデイリープラネットの支局から、
新聞記者のケントがやってきた。
解説)
続きます。
Jun 01, 2026
蜘蛛とシノと

蜘蛛とシノの会話は続いていた。
ここはいつまでも続いている夢の世界だから、
あなたみたいな征服志向の夢食いもやってくる。
一年前にはローゴスが仲間を引き連れてきたの。
でもモンスターハンターの夢食いのセリーヌや、
人間やロボットが助けてくれて撃退したのよ。
おお、そのお話はローゴスからも聞きました。
ローゴスは、まだ諦めたわけじゃないって言ってましたよ。
死霊のアスラーダ様と協力関係を結びたがっていたようです。
ふーん。
そのアスラーダっていうのが、
あなたのボスなの?
俺のボスは、人面の蜘蛛ですよ。
彼女がアスラーダ様と協力関係を結んでいるんです。
それで俺はアスラーダ様の命令にも従っているんです。
あなたは一番下っ端なわけね。
それで私にそんな貴重な情報を教えてくれていいの?

ここは住みやすそうなところですね。
俺もシノさんみたいな普通の夢食いになりたかったなあ。
敵とか味方とか、あんまり関係ないんです。
ボスの命令に従うのは夢食い蜘蛛の習性なんですよ。
と窓の外を眺めながら蜘蛛が言った。

それで、エリーゼを探す、
手がかりは何かあるの?
この世界に来ているかもしれないというだけで、
すごくあやふやなんですよ。
でも、シモーヌという魔族と、
人間のサラという女性と一緒にいるらしいです。
シモーヌっていう人は知らないけど、
サラなら知ってるわ。
そうだ。みすずの家に行きましょう。
みすずはこの世界に最初に来た先住の夢食いで、
みすずはサラとも知り合いだから、
そこに行けばきっと何かわかるわよ。

シノたちは早速出かけることにした。

飛んでくるプテラノドンに襲われないように、
蜘蛛もシノと一緒にシエルの中に入れてもらった。

その頃、洞窟では
サラたちが話していた。
ここで留守番してるのって、
一人っきりで寂しくないの?
僕は部屋の隅の棚の上にずっと
置かれたままの置物だったので、
慣れているんですよ、
それに、ここでは自由に動けますから。

その時洞窟の奥から、
マルテがやってきた。
忘れられた夢の世界から、
洞窟を通ってきたようだ。
おや、珍しいお客さんかな。
と言っている。

トロンの家で
ずっと執筆してたんだが、
一応草稿が完成したんだよ。
それは良かったですね。
出版するんですか?
ふむ。地球人に読んでもらうのもいいが、
火星の歴史物は、どんなジャンルに入るのかな。
それはもちろんSFでしょう。
本当にあったことだぞ。
まず誰も信じないと思うわ。
あ、どこかの出版社に持ち込んでみたら?
とは言っても知り合いはいないけど。
そうだ、ケントさんに頼んでみる。
とサラが言った。
誰だねそれは。
ケントさんは新聞社に勤めてるの。

善は急げね。
シモーヌはマルテから、
草稿の書かれたノートを受け取ると、
呪文を唱えて、
鏡の扉を作り出した。
まずケントさんに読んでもらう。
出版の話はそれからね。
ふむ。よろしくな。

三人はサラの家に戻ってきた。
おかえり。
留守中にマリアが
サラに会いに来たわよ。
そうなの?
何だったのかしら。
解説)
続きます。