Jul 31, 2026
マーレの島の散歩

魔術劇場に残っていたサラたちに、
デュアンが声をかけてきた。
アイスさん。
魔術劇場が島に移転したって
お知らせしたら、トマソンさんが。

早速、島に行って見たいと思いまして。
とトマソンが言った。
いいんじゃない?
ここでハリーたちの帰りを
待っていてもなんだから、
私たちが案内するわ。
デュアンも一緒に行きましょう。

一行は魔術劇場の入り口の鏡の扉から
島に出てきた。
島の案内って言っても
私たちも一度来たきりなんだけどね。

すぐ海辺に行ってもいいけど、
やはり遺跡見学が先ね。

ほー。きれいな泉ですね。
あの上に水盤があって、
そこから夢見の水が湧き出ているの。
あ、誰か人の声がするわ。
とサラが言った。

声の主はマービーだった。
こんにちわ。サラにアイス。
また会えたわね。
遊びに来たんだけど、
マーレがどこにもいないみたいで。

マーレは、私たちの住む世界に出かけているのよ。
あなたの住む世界とこの泉の底を繋ぐ、
鏡の扉と同じ仕組みを使ったの。
そうだったの。
いいなあ。私も出かけてみたい。
でも足がないから歩けないけど。
じゃあ、私が人間の姿にしてあげるわ。
とアイスが言った。
アイス。あなたは魔族じゃないでしょ。
そんなことできるの?
とサラが言った。
初めてだけど、やってみる。

アイスが呪文を唱えると、
薄い煙がたちのぼり、
なんとマービーの長い尾鰭が消えて、
マービーは人間の姿になった。

アイス、すごいじゃない?
いつの間にそんな呪文を覚えたの。
やる気になると自然と
口をついて出てくるのよ。
きっとこのフミコにもらった指輪のせいね。
マービー可愛いね。
昔のバービー人形みたい。
とサラが言っている。
そうかな。

一行は山を下って
海辺に向かっている。
この岩場を過ぎるとすぐ海よ。
ごつごつしてて
足が痛いわ。
とマービーが言っている。
靴は魔法で現れなかったのね。
あとで広場のドルフィンに行って、
あなたの足に合うサイズの靴を探しましょう。

一行は海辺に到着した。
潮騒と海風が心地よい。
やはり夏は海ですねー。
とトマソンが言っている。
解説)
続きます。
Jul 30, 2026
マーレを案内する

ハリーたちの会話は続いていた。
マーレさんはずっとあの島で
何百年、何千年も一人で過ごしてきたんでしょう。
寂しくはなかったの?
一人っきりっていうことはなかったわ。
遠い昔に島から魔族の持ち去った、
貝の奏でる潮騒の夢に誘われて
海辺を訪れる人たちもいたし、トンピリビもいた。
島には古代の生き物もいるし、
私自身もアンモナイトのみる夢の世界で遊んでいたし。

古代の生き物ってあの
海辺で見かけるアルマジロみたいなのね。
それに、アンモナイトのみる夢って、
前に話してくれた白亜紀やジュラ紀の世界ね。
人間の住む世界に興味は?

魔族の都が栄えた頃もあったから、
人間の営む集団生活の様子はよく覚えてるわ。
どんな時代でも同じようなものでしょう。
それは確かにそうですな。
しかし例外もありますよ。
例えば、「昔話の王子でも昔はとても食べられない」
食べ物とか。
あ、あれね。
食べに行きますか?

ハリーはマーレを案内して
デジャの店内の奥の鏡の扉から現れた。
おお、ハリーさん。
やあ、やはりヴィヴィアンは留守のようだな。
こちらはマーレさんという。
実は、彼女の住む島に、この夏の間、
魔術劇場を移転させてもらったんだよ。
店が暇な時に、君たちも遊びに行くといい。
それは朗報ですね。

そうそう。紹介しておこう。
バーテンをしてる黒いシャツがジョニー。
もう一人はイリヤといって、
二人とも元ギャングなんだ。
イギリスからヴィヴィアンを追ってきたんだが、
今では魔術劇場で暮らしている。
昔のことは言わないでくださいよ。
とジョニーが言っている。
おや、水差しのそばにいるのは
水の精霊のバルじゃないか。
遊びに来てるんです。

ハリーは階下に降りて
店のドアマンをしているヨシフを
マーレに紹介している。
彼もギャングの一員だったんだが、
ヴィヴィアンに惚れ込んだようでね。
ハリーさん。
それは秘密なんですよ。

随分賑やかな広場なのね。
うん。あれは大道芸人たちだ。
いつもああして歌っている。

二人はマンゴー亭を訪れた。
やっぱりまだここにいたか。
こちらはマーレさん。
魔術劇場を移転させてもらった
島にお住まいの方だよ。
私の妻のカーミラと黒木さんだ。
黒木は帽子に手をやって
挨拶をしている。

ふーん。
アイスクリームを食べに来たの?
ここの肉まんもおすすめよ。
解説)
続きます。
Jul 29, 2026
魔術劇場での会話

随分シンプルなデザインのお家なんですね。
想像していたよりずっと小さいわ。
屋内はずっと広いんですよ。
この家の中が魔法で生み出された
一つの異空間になっているんです。

アイスが入り口を開ける
呪文を唱えている。
マーレさん、
中でお茶でもいかがです。
あ、はい。

一行が扉を抜けると、
魔術劇場の応接間だった。
あら、ハリー。
アフリカのホテルからお戻りですか?
とデュアンが言った。

うん。この夏は、
ここで過ごそうと思ってる。
こちらはマーレ。
デュアンは魔術劇場の
家事や管理をしてくれているんだ。
何か冷たい飲み物でも。

冷たい各種ドリンクと
スイカが運ばれてきた。

ここには、何人くらいの人が住んでいるの?
数えたことないからなあ。
劇場の興行はずっと休んでいて、
私たち夫婦はこのところ、
アフリカのホテル・ナジャに逗留して
ここを留守にしてたし、
娘のヴィヴィアンもいつも外出していている。
それでも十人くらいはいると思うが。

住んでいるのは、
ハリーの妹さんのジャンヌとその娘さんのマリア。
毎日バー・デジャに出勤している、
元マフィアのジョニー、ヨシフ、イリヤの三人組。
毎日農家の手伝いに出かけるヘルミーネ。
怪盗ゼロ、造形作家のトマソン、それに黒木喜六さん
といった方たちや、
人形の精霊エヴァや、ピエロ人形のパペやセリアなど、
私も含めて常時十人以上は寝泊まりしてますね。
とデュアンが言った。
世界中を巡回興行していた時は、
私と客の呼び込みをしてくれる人形の精霊エヴァ。
異世界で観客の分身になってくれる精霊セリア。
興行で共演してくれるパペの4人だけだったんだが、
4年前に広場に来てから
家族が押しかけてきたりして、随分増えたんだ。
それはそうとデュアン。
さっき魔術劇場を
ジルの別荘の庭から、このマーレさんの暮らしている
絶海の孤島の中に移転したんだよ。
景色がいいから君も散歩してみるといいよ。

そーでしたか。
普段はあまり劇場の表の出入り口は使わないので、
全然気がつきませんでした。
住人の皆さんにもお伝えしておきます。

そうそう。この魔術劇場の中には、
私たちの私室や客室など沢山の部屋があるんだが、
必要に応じて増やすことができるし、
みんな鏡の扉で別室に移動するんだ。
バー・デジャの屋内に通じる鏡の扉も常設されていて、
普段はその扉を抜けて現実世界と行き来しているんだよ。
ふーん。異空間を繋ぎ合わせたような
魔族ならではの家の仕組みなのね。
解説)
続きます。
Jul 28, 2026
マーレの島で

ハリーさんのプランは
パールから聞かせてもらったたわ。
この島は昔、魔族の都があった場所。
鏡の扉も沢山あって
様々な人が行き来していた。
今では、全て破壊されて、
この前アイスが見つけてくれた
泉の底の一箇所だけが残っているの。
ハリーさんも魔族の末裔。
鏡の扉を新しく設置するのは歓迎よ。
それは喜ばしいですな。

この夏の間だけ、
魔術劇場という移動式の私の住居を
移転したいんです。
その家の入り口が鏡の扉になっているんですよ。
どこがいいかなあ。

ここは見晴らしがいいですなあ。
もう少し海辺に近い方がいいんじゃない?
ここは高台で、海辺まで降りて行くのが大変よ。
あ、あそこに。
とサラが言った。

トンピリビとパールが何か話している。
あの二人というか、二羽とも、
ちょっと正体不明の鳥族だね。
それぞれ別の島に住み着いていて、
訪れた人間に懐いてついてくる。
トンピリビはクックドゥーに、
パールはアイスに懐いたのね。
マーレとも親しいみたいだし。

このあたりが遺跡と海辺の
中間地点よ。森を抜けると
岩場にでちゃうわ。
このあたりで建てられそうな場所が
どこかないかなあ。

あ、あのあたりの森陰が少し
平坦な草地になってるわ。

ここに決めよう。

ハリーが呪文を唱えると、
薄い煙がたちのぼり、
地面に蜘蛛の巣のような模様が現れた。
やがてその模様は魔法陣の模様に変わり、
さらに周囲に薄い煙が立ち込めた。

なんと草地の上に
魔術劇場が現れた。
解説)
続きます。
Jul 27, 2026
マーレの島へ

サラたちの部屋に
アイスとハリーが訪ねてきた。
あらハリー、珍しい。
涼しそうなの食べてるね。

これからハリーと、
マーレの島に行くのよ。
この夏を島で過ごすのはどうかって、
ハリーがプランを立てたんだけど、
その前にマーレに許可をもらいにね。
私が聞いてくるって言ったんだけど、
ハリーも一緒に来るって。
こちらからお願いするんだから、
本人が行くのが筋だろう。
それに下見もしてみたいし。
そういうわけなんだけど
サラはどうする?

もちろん、
私も行くわ。
サラ、また出かけるの。
そのかき氷食べていいわよ。

三人はエクレア号の
魔法の扉から現れた。
おお、ハリーさん。
軍曹たちから話は聞きました。

ボートの用意はできてますよ。
じゃあ早速行って来るわね。

三人はマーレの島に上陸した。
ここはマーレがいたので
マーレの島って呼んでいますが、
元は魔族の都があった
夢見る貝たちの故郷なんです。

この山の中腹に
魔族の都の遺跡があるんです。
あら、アイスの肩に止まっていた鳥は?
ああ、パールね。
エクレア号に来た途端、
この島の方角に飛んでいったわ。
その辺にいるかも。

あの上に水盤があって、
マーレはそこに住んでいるんですよ。

サラはマーレに呼びかけている。

水盤の中からオーム貝が浮上して、
貝の中からマーレが姿を現した。
アイスにサラ。
それに、ようこそ。
ハリーさん、初めまして。
あ、どうもハリーです。
マーレ、驚かないのね。
私たちが来るのを知ってたの?
あなたたちがパールって名付けた
翼竜がさっき教えてくれたのよ。
解説)
続きます。
Jul 26, 2026
エドとヴィヴィアン

じゃあ私エドに会ってくる。
とヴィヴィアンが言っている。

ヴィヴィアンは一人で
お花畑に到着した。
君はカマキリの精霊ね。
あなたのことはみんなから聞いてるわ。
私はヴィヴィアンっていうの。
馬のエドを探してるんだけど。
エドなら水飲み場に
いると思いますよ。
この先です。

ヴィヴィアンは。
水を飲んでいるエドに出会った。
ああ、あなたはヴィヴィアン。
4年前以来ね。
家にあなたを置き放しにして
しまってごめんなさい。
あの時はマフィアに追われていて、
急いで逃げなくちゃならなかったの。
わかりますよ。
あれから僕は盗賊に盗まれて、
フィギアのオークションにかけられて、
ジャンという人が買ってくれて、
シモーヌさんがフィギアに精霊が
宿っていることを見抜いて、
この世界に送ってくれたんです。

こうしてあなたを乗せて走るのは、
何年振りでしょう。
よく遊んだのは子供の頃だからね。
半分流れているヴァンパイアの血のせいで、
夜にしか動けなかった私は、
夜の草原の乗馬が唯一の楽しみだった。
でも成長するにつれて、
だんだん昼間も動けるようになって、
私は乗馬に飽きちゃって。

僕はあの家の棚の隅っこで
ずっと埃をかぶっていましたが、
ずっとあなたを乗せて走りたかったんです。
でもこうして
夢が叶って嬉しいなあ。

若い頃は魔法が使えるのが面白くて、
カジノに手を出したの。
大儲けしたものだから、
マフィアに目をつけられちゃってね。
そーなんですね。
それで母と別居していた
魔術劇場の父ハリーの元に
母と一緒に夜逃げして逃げ込んだのよ。
それが4年前。
あれから悪魔になって
魔力も増大したから、今なら
マフィアなんて瞬殺できるけど。
おー楽しそうに
走ってるなあ。
と上空からアーキスが声をかけた。

ここではどんな風に暮らしてるの?
毎日野原を走り回っています。
鹿のフィギアの精霊のディアナや
子鹿のフィギアの精霊のピリカが遊びにきて、
一緒に走ったりもします。
戦いの時はシモーヌさんを乗せて
走りました。
私もその場にいたかったわ。

お花畑に戻ってきたわね。

またぜひ乗りに来てくださいね。
毎日ヴィヴィアンを乗せて
走っていたいなあ。
それだと流石に
見てる人が飽きるでしょ。
と誰かが言った。
またくるわ。
それとジャンから
あなたのフィギアの本体を譲り受けて、
大切にするね。
解説)
続きます。
Jul 25, 2026
ヴィヴィアンの再訪

シモーヌとヴィヴィアンは
連れ立って常春の国を訪れた。
これはこれは、
シモーヌ様にヴィヴィアン様。
お久しぶりです。
オウル様は珍しく
起きていらっしゃいますよ。

二人は応接間に通された。
シモーヌ様。浴衣がお似合いで。
おや、その王冠は。
あなたに被ってもらおうと思って、
サラにこしらえてもらったのよ。
クリスタルパールが綺麗でしょう。
なんとなんと。

この前の戦いでは、
みんなを率いて活躍してくれたから
そのご褒美。
これからもよろしくね。
身に余る光栄でございます。

ヴィヴィアン様は、
昨年の9月以来のお越しですね。
あれから戦いがありまして。
とミネルバが言った。
そうらしいわね。
ずっと航海に出てて知らなかったの。
今日はエドに会いにきたのよ。
エドなら野原で
走り回っていますよ。

二人はお城を後にした。

二人は庭園で
散歩していたエリーゼとケイトに出会った。
ヴィヴィアンは初めてね。
こちらはエリーゼとケイト。
ケイトは人形の精霊だけど、
エリーゼは幽霊なのよ。
幽霊と知り合うのは初めて。
私は悪魔のヴィヴィアン。よろしくね。
とヴィヴィアンが言った。

あれは私が運んできた
フクロウの置物よ。中が空洞になっていて、
この前、この国を襲ってきた、
アスラーダっていう死霊を封印してあるの。
消しちゃえばよかったのに。
私とフミコの攻撃魔法が
通用しない相手だったのよ。
動きを封じるのがやっとだった。

フクロウの置物の目の中から、
夢食い蜘蛛が這い出してきた。
あ、この蜘蛛は
クモスケっていう夢くい蜘蛛なの。
アスラーダの見張り番として、
ここに住んでもらっているのよ。
とエリーゼが言った。
ふーん。クモスケって、
随分わかりやすい名前ね。
誰が名付けけたの?
忘れもしません。
シモーヌさんです。
とクモスケが言った。

カエルの彫像の上には
アーキスが留まっていた。
ヴィヴィアンか。
ローゴスたち夢食いモンスターが攻めてきて、
すごい戦闘があったんだぞ。
俺は一度ローゴスの翼の爪で切り殺されて、
この彫像の中に閉じ込められたが、
シモーヌが蘇らせてくれたんだ。
この仕掛けが役に立ったのね。
悪魔との契約も捨てたもんじゃないでしょう。
私はまだローゴスにもあったことがないの。
なぜか私がくる前に戦闘が終わっちゃうのよ。
私が強すぎるせいかしら。
そんなことはないと思うが。
解説)
続きます。
Jul 24, 2026
島に行く話とサラの工作

ジョー軍曹とエルザは
マンゴー亭に行って
肉まんを食べている。

航海中も、ここの肉まんが
食べたくなって困りました。

なんか入ってるんじゃないですか。
と黒木が言った。
隠し味は夢見の水のはずよ。
それはそうと、
さっき思いついたんだが、
この夏はみんなで
島で過ごすというのはどうだろう。
どういうこと?
アフリカのホテル暮らしも快適よ。
とカーミラが言った。
それはそうなんだが、
魔術劇場のみんなも、
たまには気分転換できていいだろう。
もちろん、先方の承諾が必要だが。
劇場ごと引っ越すつもりなの?

それは楽しいアイデアですね。
島って、マーレの住む島でしょう。
さっそく彼女に話してみます。
とアイスが言った。
私も遊びに行きたいなあ。
とレイが言った。
賑やかになりそうですね。
僕らもエクレア号に戻って、
船長に伝えますよ。
とジョー軍曹が言った。

そのころ、サラたちの部屋では、
サラが工作をしていた。

これでほぼ完成よ。
サイズは、オウルの頭に合わせてみたの。
さすがサラ。
ずいぶん立派な王冠ができたわね。

そこにヴィヴィアンが訪ねてきた。
こんにちわ。
馬のフィギアのエドを見つけて、
常春の国に送ってくれたんだってね。
これから会いにいくつもりなんだけど、
その前にお礼を言いにきたの。
サラたちに会うのも久しぶりだしね。

何作ってるの?
クックドゥーからもらった
クリスタルパールをあしらった王冠よ。
常春の国の王様代理のオウル用に。
ちょうど完成したところなの。
オウルに届けるから、
私もあなたと一緒に常春の国に行くわ。
とシモーヌが言った。

サラはクリスタルパールで
こんなネックレスも作ったんですよ。
とケイが言って、ネックレスを示した。
私のつけているネックレスと比べると、
真珠の大きさが全然違う。
でも私にはちょっと大きすぎる気がする。
誰か似会う人がいないかなって、
話していたところなの。
とメアリーが言った。

ヴィヴィアンはネックレスを
ケイから渡されると身につけてみた。
いい感じね。これいただいてもいい?
もちろん。
クックドゥーも喜ぶわよ。
解説)
続きます。
Jul 23, 2026
お裾分けの行方

クックドゥーが鏡の扉を使って
エクレア号に帰ると、
入れ替わりに戻ってきたのは、
ジョー軍曹とエルザだった。
二人はエクレア号の船員として、
航海に同行していたのだ。
お帰りなさい。
船旅は楽しかった?

快適でしたよ。
エルザはすっかり日焼けして、
精悍な顔立ちになったわね。
そうでしょうか。
これはお土産の海の幸です。

海の幸のお土産は、
ジェニーたちにもお裾分けされた。
なんかすごいのもらったわね。
これ、どうやって食べるの?
タコは体を掘るわせた。

まだ生きてるみたいよ。
とても食べられない。
ドルフィンから水槽借りてきて、
飼いましょうか。
タコはほっとしているようだ。

お裾分けの海の幸は、
探偵事務所や喫茶ペンギンにも届けられた。

調理といえば、
ローラにお任せね。
カニの料理、何か作ってくれる?
とエリスが言っている。
色々応用できるけど、新鮮みたいだから
氷水で締めて、わさび醤油やカニ酢で
お刺身で食べるのも美味しいわよ。

エリスはさっそく、
カニを調理してもらって
2階の探偵事務所に持ち帰った。

この鯛めしは?
それはおまけよ。

その頃、ジェニーたちの部屋では、
借りてきた水槽にタコが入れられていた。
こんな思いつきで
いいのかなあ?
タコは足を振って
喜んでいる。

広場では、ジョー軍曹とエルザが
ソフトクリームを食べていた。
やはりこういうのは
航海中は食べられなかったからね。
マンゴー亭に
肉まんも食べに行きましょう。
解説)
続きます。
Jul 22, 2026
お土産の調理など

サラたちの部屋で。
とりあえずイカはお刺身で。
エビはボイルしましょうか。
などと言っていると、
誰か訪ねてきたようだ。

キャップテン・クックドゥーだった。
こんにちわ。
いらっしゃい。
ヴィヴィアンたちも帰ってきたのね。

サラさん。
このクリスタルパールを、
お世話になったお礼に、
どうしても皆さんに差し上げたくて。
クックドゥーからは、
前に夢見る貝殻もいただいたし、
もうお礼は充分いただいたわ。
まあそうおっしゃらずに。
気持ちですから。

せっかくだから、いただいておきなさいよ。
サラは器用だから、
そのパールで、何か装飾品を作れば?
あ、そうだ。
私、常春の国の王様代理のオウルに、
王冠を作ってあげたいと思っていたの。
色々活躍してもらったからね。
サラ、その真珠を使った王冠を作ってくれる?
とシモーヌが言った。
それはなんか
いい話のようですね。
この真珠がお役に立てれば、ぜひ。
とクックドゥーも言った。

その頃、クックドゥーと入れ違いに、
アイスは広場に来て、ルビーに再会していた。
やあ、ルビー。
留守してから、半年も経っていたんだってね。
留守中のこと、サラから色々聞いたけど、
広場では特に変化は?
普通に年中行事が行われてただけよ。
春節に桜祭り、七夕、毎月のコンテスト。
自由に動くのはいいけど、
CG本部から呼び出しがあるかもしれないから、
なるべく連絡が取れるところにいて欲しいわ。
肩に乗ってるの、それ何?

クリスタルパールのある島で、飛んできて、
私に懐いちゃったの。
古代の翼竜の姿をしてる。
喋らないけど、人間の言葉は理解してるみたい。
ルビー名前つけるの好きでしょ。
名付けてあげてくれない?
そーね。じゃあパールでいいんじゃない?
相変わらずだなあ。
あ、マンゴー亭にハリー夫妻がいるみたいだから、
挨拶してくるわ。

マンゴー亭では、
アンナがお土産の海の幸を
運んできたところだった。

これは涼しげね。
ビールが合いそうですなあ。

アイスもやってきて。
ハリー夫妻に挨拶している。
アイスは、相変わらず元気そうね。
いつもヴィヴジアンと一緒に
行動してくれて感謝してるわ。
この娘は結構お転婆で無茶ばかりするから。
とカーミラが言った。
それでその船はどこに停泊してるんだい。
とハリーが聞いた。
マーレの住む島の沖合です。
あ、マーレというのは人間じゃなくて、
古代からその島に住んでいるみたいなんですが、
亡くなったシモーヌの祖母と親交があったようで、
すごく友好的で、見た目は人間の女性です。
興味がおありなら、ご紹介しますよ。
ふむ。魔族と関わりがあったのか。

あ、そうそう。
ヴィヴィアン。サラから聞いたけど、
あなたが子供の頃、一緒に遊んだっていう、
馬のフィギアの精霊が見つかって、
今、常春の国にいるって言ってたわ。
え、それはエド、エドワードのことね。
そういえば、あの馬のフィギア、
私たちが家を引き払った時、
置いてきちゃったんだったわね。
とカーミラも言った。
あの時はマフィアに追われてたから、
家財道具も置きっぱなしにしたでしょ。
それは会いにいかなくちゃ。
とヴィヴィアンが言った。
解説)
続きます。
Jul 21, 2026
クリスタルパール

マンゴー亭では、
ハリーがヴィヴィアンとクックドゥーに、
黒木喜六を紹介している。
こちらは黒木さん。お前の留守中に、
自分が本当に魔族なのかどうか、
確かめたいと訪ねてこられたんだが、
今では魔術劇場に泊まって
森林公園で魔術の練習に励んでいる。
ハリーさんに、すっかりお世話になっている
黒木喜六です。本職は貴金属や宝石
を扱う美術商です。
と黒木が言った。
ふーん。魔族の生存者が、また発見されて、
おめでたい話ね。

ちょうどよかったわ。
このバッグにクリスタルパールが入っているの。
黒木さん、美術商なんだったら、
ちょっと鑑定してみてくれない?
クックドゥーはフックのついた手で、
器用にバッグのジッパーを外した。

黒木はパールを一粒手に取って、
じっくり観察すると、
呆れた顔をしていった。
信じられませんな。
これは本物のクリスタルパールです。

クリスタルパールというのは、
大航海時代に海賊が発見したと言われる、
幻の島の特産品で、
もう随分前から市場に出回っていない、
今では伝説の大粒の真珠です。
それがこんなに大量に。

私たちは、その幻の島に行ってきたのよ。
黒木さんが魔族なら信じてもらえると思うけど、
この人、キャップテン・クックドゥーは、
その大航海時代の海賊船エクレア号の船長。
とっくに死んでるはずなんだけど、
人々を航海に誘う死霊となって骸骨姿で蘇ったの。
ヴィヴィアンさん、それは昔の話ですよ、
私はヴィヴィアンさんに諭されて、改心したんです。
これまで魔術劇場の皆さんにお世話になって、
何かお礼をしたいと思っていたところ、
思いがけない機会を頂いたので。
まあ、そういうことね。
忘れられた夢の世界でエクレア号が見つかり、
今度の航海に私たちも便乗したっていうわけ。

そこに向かいのベーカリーから
ルビーがやってきた。
ヴィヴィアン、航海から戻ってきたのね。
一緒だったアイスは?
一足先に戻ってきたはずよ。
サラたちの部屋にある
鏡の扉を使ったんじゃないかしら。
多分サラたちのところにいると思うわ。
あ、そうだ。
このクリスタルパール、
ドルフィンの宝箱に保管して欲しいんだけど、
手伝ってくれるかしら。
いいわよ。スタッフに
声をかけてくる。

ドルフィンから運び出された宝箱に、
クリスタルパールを収納することになった。
透き通るような大粒のパール。
かなりの量ですね。
とドルフィンのスタッフのリタが言っている。

パールを詰め終えると、
大道芸人たちと歌っていたドラコが
飛んできて、宝箱の上に降り立ち、
ダーダーと雄叫びをあげている。
なんて言ってるのかしら。
私にはわからないけど、
かなり喜んでるみたいね。
とルビーが言っている。

宝箱にパールを収納する様子を見にいっていた
クックドゥーが戻ってきた。
おや、全部収納しなかったんですか。
お世話になった人にプレゼントしたいって
言ってたでしょう。
これはあなたが保管して、自由に使うといいわ。
これからもそんなことがあるかもしれないし。

もしお金が必要になったら、
いつでも私が買い取らせていただきますよ。
と黒木が言った。
欲しがる人っているのかしら。
資産家のコレクターは世界中に結構います。
いくつかの国の王室からも、見つけたら
ぜひ連絡して欲しいと頼まれているんです。
権威の象徴か。
カーミラ、今日は小さなパールのついたネックレスを
つけてるじゃないか。
君ははどうだい?
これはこれ。私は何も身につけなくても
美の象徴ですから。
そういうと思ったよ。
解説)
続きます。
Jul 20, 2026
ヴィヴィアンたちの帰還

バー・デジャでは、アンジーとジムが
金魚鉢の金魚を眺めていた。
涼しげでいいわね。
これ、どうしたの?
ドルフィンからレンタルしてきたんですよ。
とカウンターの向こうでジョニーが言った。

その時、店の奥の鏡の扉から、
ヴィヴィアンとクックドゥーが
現れた。
これは驚いた。
半年ぶりのご帰還ですか。
とジルが言っている。

みんな元気そうね。
クックドゥーの肩には
オームのトンピリビが乗っている。

これはお土産よ。

バケツの中には
巨大なエビやカニが動いている。

マンゴー亭で調理してもらうといいですね。
あ、そういえば、
ご両親がお店においでですよ。
そうなの?
アフリカのホテル住まいだと思ってたけど、
タイミングがよかったわね。
ずっと会ってなかったから、
一応報告に行ってくる。

二人は階下のマンゴー亭に降りていった。
さっそく店員のレイに
声をかけられている。
ヴィヴァアンさん、お久しぶり。

クックドゥーさんも。
あ、これは。
お土産の海の幸です。
お店で調理していただけますか。
はい。

あら、ヴィヴィアン。
随分久しぶりね。
とカーミラが驚いている。
そのバッグは?
クリスタルパールよ。
アイスたちとクックドゥーの幽霊船にのって、
収穫してきたの。
解説)
続きます。
Jul 19, 2026
アイスとの会話

アイスを囲んで会話は続いていた。

アイスたちが真珠探しに行っている半年の間に、
いろんなことがあったのよ。
話すと長くなるんだけど、聞きたい?
うん。
まずエドっていう馬のフィギアに
宿っていた精霊が見つかっって、
シモーヌが常春の国に送ったの。
エドは、ヴィヴィアンの子供の頃の
遊び相手だったのよ。
それはヴィヴァアンが聞いたら
喜びそうな話だね。
それからピピが眠りから目覚めないので、
宇宙ステーションで問題になって、
シモーヌと私がピピの夢の中に入っていったの。
原因は火星人の仕業だった。
その火星人はマルテと言って、
今は常春の国の洞窟に住んでいるの。
火星人と知り合ったの?
やっぱりタコみたいなのかな。

マルテの姿はこんな感じ。
想像通りだった?
それからピピの円盤の墜落事故もあったけど、
その後が大変。
ケイトっていう毛糸の人形に宿った精霊が見つかって、
死者の世界で蜘蛛たちに眠らされていた
彼女の持ち主のエリーゼを助け出したの。
死者の世界?そんなところまで行ったの?
そうしたらね。エリーゼを追いかけてきた
アスラーダっていう死霊が、
夢くいモンスターの軍勢を連れて、
常春の国を襲ってきたのよ。
戦いがあったのか。
それでどうなったの?
砂漠の家にいたツナやナディアを呼んで、
フミコにも来てもらって、
ロボットたちと一緒に迎え撃って勝利したわ。
アスラーダは、常春の国のお城の庭に
フクロウの置物を置いて、その中に封印したのよ。
その戦いがあったのが先月のこと。

いろんなことがあったのね。
やっぱり6ヶ月も経っていたんだ。
私たちの航海はあっという間だったんだけど。
忘れられた夢の海の世界では、
時間の流れが早かったのかもしれないわね。
アイスさん、いくつか旅の情景を
思い出してみてくれる?
魔法でみんなに見えるようにしてみるから。
とシモーヌが言った。
いいわよ。

アイスは航海の情景を思い出している。
エクレア号は、
ひたすら目的地の島に向かって進んでいったわ。
行先がわかっているみたいで、
操舵の必要もないので、
みんなのんびり航海を楽しんでいた。

一度は嵐にあったけど、
何度か島に行ったことのあるクックドゥーは、
この嵐をやり過ごせばもうすぐです。
って言っていた。

彼のいう通り、嵐が収まると、
目指す島影がみえた。

それで夜明けに上陸して。クックドゥーについて、
海辺沿いをみんなで歩いていったの。

そうしたら、一面の真珠貝に埋め尽くされた
砂浜に出た。
それで貝を集めてクリスタルパールを採取して
帰路についたっていうわけ。
本当に事件らしい事件は起こらなかったのよ。
事件といえば、私がその島で、あの翼竜に
懐かれちゃったことくらいね。

その集めてきたパールはどうするのかしら?
貴重なものなんでしょう。
とメアリーが尋ねている。

クックドゥーは、お世話になった皆さんに
プレゼントしたいって言ってたけど、
どうなることか。
私の予想では、大部分はドルフィンにある
宝箱に保管されることになると思う。
宝箱なんて置いてあるの?
とシモーヌが尋ねた。
広場で、大道芸人たちといつも
一緒にいる、ドラコっていう
ドラゴンが守っている宝箱なのよ。
あの広場には
色々歴史があるのね。
解説)
続きます。
Jul 18, 2026
アイスの帰還

サラは、みんなに色々と聞かれている。
それで、あのジローっていう
夢食いカエルはお姉さんと会えたの?

お姉さんにも会えたし、お兄さんにも会えたの。
でもみんなそれぞれ、自分の住んでいる場所で
暮らすことにしたみたい。
そうそう、フミコが、自分の記憶の幻影を
自分で生み出す魔法を使っていたわ。
彼女も別世界を作れるようになったのね。

蓮の葉に残る露玉のような別世界。

だんだん暑くなる。
そういえば、もうすぐ海の日ね。
夏といえば海。
とメアリーが言っている。
そうなの?

その時、鏡の扉が開いて、
アイスが抜け出てきた。
肩のうえに奇妙な鳥のようなものが載っている。
あ、アイスさん。
なんか久しぶりだね。半年ぶりじゃないの。
とジェットが言っている。

鳥のようなものは、パタパタと飛んで
窓際のレコードプレイヤーの上に留まった。
ああ、それは島で出会って、
私に懐いてついてきたの。
とアイスが言った。
鳥なの?鳥の先祖なの?
「忘れられた夢の世界」で見かける
古代の翼竜の姿をしてるけど、
言葉がわかるみたいだから、夢食いなのか、
精霊が宿っているのかもしれない。
そのどちらでもないことはわかるわ。
とシモーヌが言った。

あなたやヴィヴィアンが一緒だから、
心配はしてなかったけど、
エクレア号に設置した鏡の扉が
使えなくなって、どうしてるのかと思ってたわ。
とサラが言った。
船旅は順調だったんだけど、
魔法が使えない海域に入っちゃったらしくてね。
けっこう時間が掛かっちゃった。
でも6ヶ月っていうのは驚き。
そんなはずないんだけど。
あ、このバケツはお土産よ。

たしかエクレア号で、私たちと別れてから、
クリスタルパールのある島を探す旅に出たのよね。
順調だったっていうことは、
島を発見してパールを見つけたの?
ええ。
今エクレア号はマーレの島の近くを航行してる。
そこまで戻ってきたら、
ようやく鏡の扉が使えるようなったの。
島近くの沖合に船を停めて、
ヴィヴィアンや船長のクックドゥーも、
バッグ1杯のパールを抱えて戻ってくるはずよ。
ヴィヴィアンなら多分
デジャの店内の鏡の扉を使うから、
直接ここには来ないと思うけど。
とアイスが言った。

アイス、これ本当に食べられるの?
美味しいわよ。
食欲をそそる色合いでしょ。
解説)
続きます。
Jul 17, 2026
カエルたちの出会い

ここはアフリカなのね。
私の故郷。
大昔に魔族の都が栄えた場所よ。

池の跡があったわ。
とサラが言った。
サラ、ちょっと池から出て。
池の記憶を自分の力で呼び起こすから。
とフミコが言った。

フミコが目を閉じて呪文を唱えると、
薄い煙がたちのぼり、
池の跡には瑞々しい水面が
浮かび上がった。

池の中からカエル王子と
伴侶らしきカエルが顔を出した。
おお、これはサラ、
それにフミコさん。
それにそれに、
知らない女性とカエルが二匹。
知らない女性はみすずっていうの。
カエルは、あなたの妹と弟よ。
とサラが言った。

なんとなんと。
お兄さん、私は妹のハナコよ。
突然ここをでていってごめんなさい。
今は「忘れられた夢の世界」で
みすずさんにお世話になって
湖で暮らしているの。
一人で生きていたら、
体が白くなっちゃって。
僕はあなたの弟のジローって言います。
僕もお父さんのもとを離れて
現実世界の井戸の中で仲間と暮らしています。
あったことのない兄や姉に会いたいと
思っていたら、サラさんやフミコさんに
願いを叶えてもらえました。
あ、お兄さんの子供達もいるんですね。
池面には伴侶によく似た子カエルが
顔を出している。
近況を伝え合う
夢食いカエルたちの話は
しばらく続いた。

やがて一行は帰ることになった。
三人の夢食いカエルは、
それぞれ独立心が旺盛のようで、
誰も一緒に暮らそうとは言い出さなかった。
あの池は幻影だから、しばらくしたら
消えてしまうわ。
とフミコが言っている。
実在してないの?
実在って、どういうことかわからないけど、
私が思い出せばまた現れるのよ。
私たち夢食いにとってはそれで充分ね。
人間世界の現実と対応してる必要はないから。
とみすずが言った。

一行はみすずの家に戻った。
フミコはジローに井戸の世界の情景を
思い出させて、呪文を唱えて、
鏡の扉を出現させている。
扉を開く呪文を教えてあげる。
あなたたちはこれで
好きな時に行き来できるわよ。

カエル王女が呪文を唱えて
鏡の扉を抜けると、
そこは森林公園の井戸の底の世界だった。
随分お世話になりました。
佳奈さんやみすずさんにも
よろしくお伝えください。
とジローが言っている。
伝えておくわ。
ところで、さっき、
カエル王女は、ハナコって呼ばれてたけど、
お兄さんのカエル王子の名前はなんていうの?
兄の本名はタローって言うんです。
父は古いので。
タロー、ジロー、ハナコか。
自分は洋風の強そうな名前なのに、
子供たちにはそういう名前つけるのね。

サラは、みすずの家に戻る
フミコとカエル王女と別れて、
一人で自分たちの部屋に帰ってきた。
おかえり。
あら。その蓮の葉どうしたの?
これはカエルの傘。ジローから貰ったの。
兄や姉に会わせてもらえたお礼ですって。
カエル王子からも前に貰ったことがある。
明日の天気がわかるのよ。
解説)
続きます。
Jul 16, 2026
ジローを連れて

サラはジローを抱いて、
鏡の扉を使って、
「忘れられた夢の世界」の
みすずの家を訪ねた。
あら、かわいいカエルの置物ね。

この子はジロー。
みすずと同じ夢食いなのよ。
そーだったの。
こんにちわ。
その首から下げているカエルの鈴は。
とジローが言った。
ああ、これはカエル王女から
もらったのよ。
カエル王女!
僕のお姉さんなんです。

早速三人は湖の片隅に住む王女の元に。
ああ、お姉さんなんですね。
僕はカエル大王ヘクトンの次男のジローです。
ふーん。弟が生まれてたのね。
でも会うのは初めてて、
どーも実感湧かないなあ。
とカエル王女が言っている。

二人はよもやま話に明け暮れている。
おねーさんは、
どうして真っ白なんですか。
父と別れて兄からも独立して生きていたら、
いつの間にか、こーなったのよ。
あなたはどうして黄色い服着てるの?
僕も父から独立してリーダーになったんです。
みんなと区別するために服を着ることにしたんです。
その王冠は?
これはハンドメイドよ。

夢食いカエルって、
夢食いモンスターみたいに、
夢を独占したがる傾向が強いんじゃなかったっけ。
とみすずが言った。
カエル大王のヘクトンが有名ね。
夢を独占してカエルの楽園を作りだがっていた。
それで、その子供の三人もそれぞれ独立心が旺盛みたい。
普通の人間なのに、サラの方が詳しいわね。
色々あったからね。
溺れかけていたヘクトンの長男カエル王子を
助けてあげたことがあって友達になったの。
あ、ジローをその長男のところに
連れていく約束をしたんだっけ。
どこに住んでるの?
アフリカの、フミコの故郷よ。
私も一緒に行ってもいい?
もちろん。

サラはフミコに会って、
事情を説明した。
あの場所は私の過去の幻影の世界。
アイスがいなければ行けなかった場所だけど、
この前の戦いで私のパワーも増したみたい。
自分だけの力で行けるかどうか
試してみるのにいい機会だわ。
とフミコが言った。

フミコたちはカエル王女たちのいる場所に
降りてきた。
お兄さんのいるところに、
フミコが連れて行ってくれるって。
とサラが言っている。

フミコは故郷の景色を
思い浮かべながら、呪文を唱えている。
アフリカのストーンサークルの情景が
浮かび上がり、鏡の扉が現れた。

池の跡は、この近くのはずよ。
とサラが言っている。
解説)
続きます。
Jul 15, 2026
昆虫採集の成果など

佳奈たちのジープは、
広場に戻ってきた。

ドルフィンのマスターはソフトクリームに
ハマっているようだ。
抹茶味はクセになるなあ。
と言っている。

佳奈、引率お疲れ様。
いえいえ、こういう任務なら
毎日でもやりたいです。
何か変わったことあった?

変わったことといえば、
黒木さんの魔法のせいで、
ピピの円盤が降りてきて、
子供たちと遊んでいたピピが井戸に落ちて、
井戸の底で夢食いカエルたちと知り合って、
このこが姉のところに行きたいというので、
連れてきたんですけど、
こどもたちは全員無事でした。
色々あったのね。

子供たちは早速
昆虫採集の成果を
大人たちに見てもらっている。

ずいぶん採ったのね。
私もスイカ食べたい。
などと言っている。

それで、その子をどうするつもり?
この子はジローって言って、
カエル大王の息子なんです。
去年の暮れに休暇で「忘れられた夢の世界」に
行った時、みすずさんの家で、
チラッと見たカエル王女の弟なんです。
姉に会いたいというので、
ぜひ会わせてあげたいんです。
じゃあ、またサラに頼めばいいわ。
でもあなたは、今は休暇中じゃないから。
はい。

佳奈はジローを抱えて
サラたちの部屋を訪ねた。
あら、かわいい
セリアで売っていそうな、
カエルの置物ね。
このこはジローって言って、
夢食いカエルなんですよ。

佳奈はこれまでのいきさつを説明した。
そういうわけで、
ジローをカエル王女のところに
連れて行ってもらえませんか。
私は広場を離れられないので。
お安いご用よ。
とサラが言った。
あなたはカエル大王ヘクトンの次男なのね。
とサラが言った。
おお、父の名前もご存知なんですね。
とジローが言った。
私は、あなたのお父さんに会ったこともあるわ。
お兄さんがどこで暮らしているかも知ってる。
会いたければ連れて行ってあげるわよ。
感謝感激です。
なんという巡り合わせでしょう。
解説)
続きます。
Jul 14, 2026
昆虫採集 そのよん

佳奈はカエルたちに話している。
あなたたちはカエルみたいだけど、
なんだか作り物みたい。
普通のカエルじゃないわね。
言葉が話せるの?
いかにも。
僕たちは夢食いカエルなんですよ。
主に梅雨時に子供のみる夢に出てくるんです。
ピピは眠ってるの?

ピピって、この銀色の子供のことですか?
井戸から落ちて気絶したみたいです。
うわ言でさっきは、
ちょこちょこって言ってたわ。
落ちてきたチョコは
僕が食べちゃたんです。

そうなの。
着付け薬にはこれが一番。
そういうと佳奈はポケットから
チョコレートを取り出して、
ピピの顔に近づけた。

美味しそうなマイルドな匂い。
というと、
ピピは目を覚ました。

ここには井戸水が残っているのね。
飲んでも大丈夫。とても新鮮ですよ。
と寝そべっている夢くいカエルが言った。
佳奈は水を掬って、
口に含んでみた。
この味は、
夢見の水。

人間はそんなふうに呼んでるみたいですね。
この水は、迷いの森から流れてくる、
地下水なんです。
人間の暮らす現実世界に
夢食いが来ることは滅多にないですが、
迷い森から流れてくる地下水に乗って、
僕らはここに辿り着いたんです。
ここだと、夢見る人が目覚めて
消えることのない、夢の世界と同じです。
乱暴な夢食いに見つかることもないし、
平和なカエルの楽園なんですよ。
あ、僕はジローって言います。
ふーん。ジローね。
あなたがリーダーなの?
あなたはカエル大王のお子さん?
え、父のことを知ってるんですか?
直接会ったことはないけど、
噂は聞いてるわ。
メルティっていう女の子の夢の中で
大洪水を起こして、
水の精霊バルの力で、
迷いの森に逃げ帰ったって聞いたけど。
そ、そうなんです。
僕はその後で生まれたので、
体験はしてないんですが、
父からその話は聞いています。
大王の子供には二人の兄妹がいて、
妹さんは、「忘れられた夢の世界」で
暮らしているわね。
そうなんですか!
僕は次男です。
僕が生まれたのは、
兄も姉も家を出た後だったので、
行先は知りませんでした。
お姉さんに会いたいなあ。
「忘れられた夢の世界」には
去年の暮れに休暇で行ったことがある。
その時にカエル王女をチラッと見かけたわ。
魔族の使う鏡の扉で行けるから、
呪文を知っている人に紹介してあげましょうか。

また人間に助けてもらっちゃった。
とピピが言っている。
あなたは災難ばかりにあってるみたいね。
使いやすいキャラなんでしょうね。
きっと。

佳奈は背中のフードに
ピピを入れて、
ジローにしがみつかれて、
灌木を登っている。
頭上から、
あれ、佳奈だよ。
という声が聞こえる。

ピピは円盤に乗って飛び去り、
一行もジローを連れて広場に帰ることになった。
黒木とトマソンは、
近くの魔術劇場のあるジルの別荘に帰るので、
ここで別れの挨拶をしている。
また遊びにきてください。
すごく暇なので。
とソローが言っている。
解説)
続きます。
Jul 13, 2026
昆虫採集 そのさん

ピピは子供たちの
昆虫採集に付き合っている。
チョコレート色の虫だね。
これはカブトムシだよ。

大人たちは、
ずっとおやつを食べながら、
歓談していた。
あの銀色の小人は宇宙人なんですか。
いやー驚いたなあ。
それにしても、皆さんも子供たちも、
ちっとも驚かないのにも驚いたなあ。
と黒木喜六が言っている。

みんな今年の3月に出会っているんですよ。
彼の乗った円盤が公園に墜落して、
その時ルビーが子供達を連れてきて、
みんなでピピを捜索したんです。
とソローが言った。
あの時は緊張してたわ。
でも、ピピはただチョコレートが好きな
友好的な宇宙人だってわかったの。
と佳奈が言った。
そーだったんですか。

その時、圭が走ってきた。
ピピが井戸の中に
落ちちゃった。

ここでカブト虫を見てたら、
ピピがチョコを井戸の中に落としちゃたの。
葉っぱに引っかかっていたチョコを取ろうと
身を乗り出したピピが、
バランスを崩して井戸の中に。
とすずが言っている。
それは大変ね。
この井戸、どのくらい深いのかしら。
水音はした?
とはるなが言った。
聞こえなかったよ。
灌木が茂ってるくらいだから、
そんなに深くはないわよ。
私が降りて探してくるわ。
と佳奈が言った。

佳奈は灌木に手をかけながら、
そろそろと井戸を降りていく。

井戸の大きさは
少しずつ広がっている。
しばらく降りると、
井戸の底が見えてきた。

井戸の底は
ほこらのように広がっていて、
水が池のように溜まっていたが、
一部は土砂が積もったのか、
湿った草地になっていた。
灌木はそこから生えているようだ。

草地の奥を見ると、
数匹のカエルと
ピピの姿が見えた。

今日はお客さんが多いねえ。
などと言っている。
解説)
続きます。
Jul 12, 2026
昆虫採集 そのに

佳奈たちに黒木とトマソンも加わって
おやつを食べている。

七夕の時の空を見た?
夕暮れ時に、急に満天の星空が広がって。
と佳奈が言っている。
こちらでも見えましたよ。
あれは魔族の人の魔法だって聞きましたが。
とソローが言った。

ねえ黒木さん。
黒木さんも魔族なんでしょう。
あんなふうに空を変えられる?
と鈴木すずが尋ねた。

私はまだ魔法の修行中で、
やってみたことはないんだよ。
魔術の書に呪文は書いてあったんだけど。
空の景色が変わるだけでしょう。
幻影みたいなものなんだから、
試してみたらいいじゃないですか。
とトマソンが言った。
そうだなあ。

黒木喜六は空を見上げて、
呪文を唱え始めた。

その時、森林公園の上空には、
ちょうど円盤が浮かんでいた。

黒木の魔法で、空は突然、
満天の星空になった。
円盤は失速して、
公園に落ちていった。

落下した円盤は公園の草むらに
なんとか着地した。

トマソンと子供達が
駆けつけてきた。
あ、やっぱりピピだ。

ピピは、みんなから
事情を聞いて納得している。
ああいう魔法は、
空に飛行物体がないか
確かめてからやったほうがいいですよ。
もし鳥や飛行機が飛んでいたら、
きっとパニックを起こします。
すみません。不慣れなもので。
と黒木が言っている。
ところで、
そこのチョコ、
一つもらってもいいですか。
解説)
続きます。
Jul 11, 2026
昆虫採集

佳奈たちが、シートを広げて、
おやつを食べていると、
すずと圭が昆虫採集から戻ってきた。
何か捕まえた?

すずは虫籠から
甲虫を取り出して、シートの上に乗せた。
カブト虫にクワガタ虫もいるよ。
すごい収穫ね。

その時、草むらから
巨大な甲虫が現れた。
わー。

なにこれ。
大きすぎ。

ざわざわと音がして、
灌木の茂みから、
トマソンと黒木喜六が現れた。

喜六は呪文を唱えている。

薄い煙がたちのぼり、
巨大な甲虫は、みるみるうちに、
小さくなっていった。

驚かせてしまったようで申し訳ない。
私は魔族の黒木喜六と言います。
この公園の森で、ものの大きさを変える
魔法の練習をしていたんですが、
大きくした虫が急にこっちに移動してきまして。
類が友を呼んだのね。
私は呼んでないわ。
とルイが泣きそうな声で言った。
ルイちゃん。
あなたのことじゃないのよ。

驚かせてしまったお詫びに、
何かを大きくして差し上げます。
黒木さんは
随分魔法が上達したみたいですよ。
そこのバナナなんかどうです?
巨大なバナナは食べがいがありますよ。
とトマソンが言った。

じゃあ、やってみて。
黒木喜六はバナナに向かって呪文を唱えた。

あ、失敗したようです。
隣にあった防虫スプレーに
魔法がかかっちゃったのね。
このオブジェは
なかなかの物だなあ。
とトマソンが言っている。
解説)
続きます。
Jul 10, 2026
森林公園へ

佳奈とはるなと子供達を乗せて
ジープは森林公園に向かっていた。

これは堤防の道ね。
ちょっと回り道だけど、
天気もいいからドライブ。

やがてジープは、
森林公園の裏口に到着した。

入り口の近くに止めましょう。

私とはるなはここにいるから、
昆虫採集を楽しんで。
と佳奈が言っている。
私もここにいる。
虫ってあんまり好きじゃないの。
と入間ルイが言った。

ルイちゃん虫ダメなんだ。
まだ蝉は鳴いてないね。
こん、こん。
あれ。なんの音だろう。

すずと圭は樹木を見上げた。

キツツキがいた。

はるなも虫は苦手なの?
足の多いのも
ないのもダメよ。

ルイは井戸の中から
潅木が枝を伸ばしているのをみている。
あ、誰か来る。

公園管理人のソローだった。
車の音が聞こえたので、
ちょっと様子を見に来たんです。
すごく暇なのね。
子供たちの昆虫採集に
引率してきたの。
これからおやつにするところ。
一緒にどう?
それはもう喜んで。
じゃあシート広げるの
手伝ってね。
解説)
続きます。
Jul 09, 2026
七夕のあと

喫茶ペンギン前のテーブル席には、
2階の探偵事務所から、
エリスが休憩しに来ていた。

ゆうべは、回り灯篭を
楽しんだのよ。
何それ?
走馬灯のことよ。
あら、このドリンクは?
お店からのサービスです。
夏用に新しいメニューを始めたので、
エリスさんにもご試飲していただこうと、
おもちしました。
と、はるなが言っている。

おしゃれなグラスで涼しそうね。

そこに佳奈がやってきた。
あら、どうしたの?
今日これから
子供たちを森林公園まで
連れていくこことなっているの。
ジープの運転任されてるし、
たまにしかないことだから、
佳奈も来れないかなって。
行きたいけど、
私は仕事中なのよ。

いってらっしゃいよ。
今日は休みっていうことにして。
マスターにいっとくわ。
とリズが言った。
いいんですか。
暇だから一人で大丈夫。
その代わり、今度代わってもらうから。

七夕の終わった広場は、
平常の日に戻っていた。

昨日の満天の星空は綺麗だったわね。
あれは魔法でしょ。
などとエトナと舞が話している。

七夕の笹を片付け終わった
ドルフィンのマスターが
アンナと話している。
このアイスとソフトクリームの出店、
まだやってるの?
人気だったから、
しばらく続けることにしたのよ。

ドルフィンの前では、
子供たちとはるなを乗せた、
佳奈の運転するジープが始動していた。
じゃあ行ってきます。

森林公園に出発。
ずいぶん時間がかかったなあ。
と誰かが言っている。
解説)
続きます。
Jul 08, 2026
七夕 そのに

広場の賑わいは増していた。

ケンとBBが話している。
さっき短冊の願い事を見たら、
「人間になりたい」っていうのがあったわ。
誰が書いたのかしら。
なんだか怖いね。

レイはヨシフにソフトクリームを
手渡している。
いつもそこに立って
バー・デジャのドアマンしてるの大変ね。
これはお店からのおごりよ。
それは嬉しいなあ。
僕は仕事で立ってるだけですけど。
あなたがそこにいるだけで
お店の用心棒になってるのよ。

マンゴー亭では、
ハリー夫妻とサラとシモーヌが話していた。

今日は七夕ね。
年に一度、天の川を挟んで織姫と彦星が
会うことを許された日。
宇宙ステーションからホテルに来る宇宙人に、
そういう伝説の話をしたら、
昔、誰かかが地球人に教えたんじゃないかって、
すごく面白がっていたわよ。
とカーミラが言った。
そうなんですか。

織姫の星ベガと彦星のアルタイルは
16光年離れているというんだが、
それでも遠距離恋愛は成立するっていうんだよ。
今日はあいにく曇り空のようだが。

シモーヌ。
また魔法で、星空を見せてくれない?
とサラが言った。
いいわよ。

シモーヌが呪文を唱えると、
広場の上空に星空が広がった。

あらら。
あれは天の川かしら。
どれが彦星?

その頃、探偵事務所では、
エリスがドルフィンから借りて来た
周り灯篭をみんなで囲んでいた。
中のロウソクに火を灯すと、
回り始めるのよ。

火を灯すと、タイミングよく、
窓の外も星空になったのだった。
解説)
続きます。
Jul 07, 2026
七夕

今日は七夕。
サラはシモーヌに
浴衣の着付けをしている。
これは日本の夏用の民族衣装よ。

二人は広場に出かけた。

流石に今日は賑やかね。

アイスの入ったボックスを、
すずが覗き込んでいる。

ハリー夫妻も、
アフリカのホテルから
見物に来たようだ。

銀河~に浮か~べ~た~
白い小舟~🎵

これは古すぎる。
と夏木さんは思っている。

たまきとナオミも
浴衣姿で来ていた。

みんなソフトクリームが美味しそうね。
あ、ななみちゃんじゃないの、
久しぶりね。
とサラが言っている。
ずっと段ボールハウスの中で
浴衣着てたので、
遊びに来たの。
リカちゃんは元気?
解説)
続きます。
Jul 06, 2026
明日は七夕

高台の休憩所では、
ルルが鉢植えの草花に水をやっている。
精が出るわね。

セルロイドの切屑を捻ったような
お水ね。
そういう
形容は良くないわ。

ジェニーたちの部屋では、
たまきが短冊に
願い事を書いていた。

なんて書いたの?
「人形になりたい」って
書いたの。
またそのお願いなのね。

広場では七夕の
準備が進んでいた。

笹の葉さ~らさら🎵
ドラコも懸命に歌っている。

マンゴー亭ではレイとアンナが、
アイスを売るコーナーを
設置していた。

舞は打ち水をしている。

子供たちがルビーに
話している。
森林公園に
虫を取りに行きたんだけど、
歩くとすごく遠いの。
それはそうね。
車じゃないと無理。

佳奈、明日にでも、子供達を
ジープで公園に連れて行ってくれる?
また運転していいんですか。
でも明日は七夕で、
観光客が来ますよ。
あ、そうだった。
じゃあ、その後で。
君たちは準備しておいてね。
子供達は喜んでいる。
解説)
続きます。
Jul 05, 2026
夏の準備 そのに

サラとシモーヌは、
夏用のアイテムを調達しに
広場に出かけた。

明後日はもう七夕なのね。
シモーヌは、七夕の飾りつけを
初めて見るので興味津々のようだ。

スイカとパイナップルと
メロンが入荷しましたよ。
とヘルミーネが言っている。

隣で子供たちが舞と話している。
昆虫ってどこにいるかなあ。
きっと郊外の野原に行けばいるわ。
森林公園とか。
この捕虫網ボロボロだよ。
穴は空いてないから
まだ使えるわよ。

サラは何を借りようか考えている。
うーん。場所取るけど、
使ったらすぐ返せばいいのね。
このかき氷の製造機を借りるわ。

隣で、たまきとエリスが聞いていた。
借り手が現れたわよ。
私は周り灯篭にしようかな。

サラとエリーゼは家に戻ってきた。
これ借りてきた。
氷も買ってきたから、
かき氷を作ろう。
シモーヌは食べたことないんだって。

たまきは扇風機と蚊取り線香と
うちわを借りて、
一緒にスイカを買ってきた。

早速スイカを切り分けている。
一度にそんなに切っちゃうの?
お裾分けに持っていくのよ。

サラたちが、
かき氷を作って食べていると、
たまきがスイカを持ってやってきた。

これはお裾分けよ。
ありがと。
あ、かき氷食べて行かない?
やったね。
と思っている。
解説)
続きます。
Jul 04, 2026
夏の準備

みんなテラスに戻って話している。
あの恐竜の子供、飼い慣らしたんですか?
人懐っこい性格みたい。
中にはそういうのもいるのよ。

母親が迎えに来たみたいね。

見るもの聞くもの
驚くことばかりですが、
そろそろ社にもどらないと。
とケントが言っている。
それは残念ね。
また今度ゆっくりご案内するわ。

シモーヌが呪文を唱え、
鏡の扉を開いて、サラたちは
現実世界に戻っていく。

三人は、サラたちの部屋に戻って来た。
ここはいつも変わらないので
ホッとするわ。
食べてるものまで変わらない。
時間が止まってたみたいね。
とシモーヌが言っている。
そんなことはないです。
と誰かの声がした。

今回はどこに行ってたの?
とメアリーが尋ねている。
ケントさんにマルテに会ってもらって、
ついでにケントさんを
忘れられた夢の世界に案内していたのよ。
雪景色と砂漠の景色を見てもらったの。
こっちでは、ようやく夏至を過ぎたし、
いよいよ夏到来ね。
さっき広場のアナウンスがあって、
ドルフィンで、夏物の備品のレンタルを
始めたって言ってたわ。

広場では、夏物のレンタルと、
七夕の飾り付けが始まっていた。

ドルフィンのマスターは
七夕用の笹の飾り付けをしている。
すずが喜んでいる。

ドルフィンの倉庫に保管されていた、
昆虫採集用の捕虫網や虫籠、
うちわや各種蚊取り線香、
金魚鉢や虫除けスプレーなどが、
レンタルに提供されている。
近辺住民の各家庭で、
必要なものを借りていくことが
できるのだった。

たまきやエリスが物色に来ていた。
周り灯篭や、扇風機、
かき氷機やソフトクリームメーカーも
あるのね。
迷っちゃうわね。
ソフトクリーム食べたいけど、
置き場所が。
誰か借りた人に、
作って貰えばいいんですよ。
とボニーが言っている。
解説)
続きます。
Jul 03, 2026
砂漠の散歩

サラたちに合流したツナたちは
ケントから聞く現実世界の話で
盛り上がっている。
向こうでは、
もうすぐ梅雨が明けるのね。
四季のある生活が懐かしいわ。

ここは常夏ね。
見どころといえば、
砂丘の他には、
大きな池くらいかしら。
ケントさん。
近くだから私が池に案内するわ。
水を飲みに来る
恐竜が見られるかも。
ついでにお水を汲んできましょう。
と、ツナが言った。

ツナとケントとサラが、
池まで散歩に出かけた。
サラはやかんを手にしている。

見事な景観ですね。
うっすらと緑地が見えますが。
それに足跡が続いている。
あれは恐竜の足跡。
あそこにオアシスのような池があるのよ。

三人は、池にたどり着いた。

この池はそんなに古いものじゃないの。
セリーヌは、この池ができてから、
水分補給がずいぶん楽になったって言ってた。

対岸に恐竜の姿が見えた。
水を飲みにきたようだ。
ケントは驚いている。
あれは本物ですか。
ジェラシックパークみたいですねえ。
あれはパキケファロサウルスっていう
草食恐竜よ。

砂漠の家では、
シモーヌたちが話していた。
あなたたち、
ずっとここで砂漠を探索してるんでしょう。
何か新しい発見はあった?
しばらく前のことだけど、
砂嵐のあった後の砂漠で巨大な骨を見かけたわ。
恐竜のものだと思ったら、
なんと霊長類の頭蓋骨みたいだったの。
次の日にツナと確かめにいったら、
もう砂に埋もれたみたいで、探しても見つからなかった。
とナディアが言った。
巨人がいたっていうこと?
もし夢食いだったら、死んだら
姿が消えてしまうはずだから、
夢くいのモンスターじゃないわね。
とセリーヌが言った。

しばらくして、
サラたちが散歩から戻ってきた。
ツナは恐竜の子供に乗っている。
お水汲んできたわよ。
とサラが言っている。
解説)
続きます。
Jul 02, 2026
ケントを案内する

トロンはサラたちが来たので喜んでいる。

ここはいつも雪景色ね。
私たち、ケントさんを案内してるのよ。

へー、ケントさんの新聞社で
マルテの本を出版するんですか。
僕も読みたいなあ。
トロンは文字が読めるの?
とサラが尋ねた。
もちろん読めますよ。
子供のみる夢の中で、
絵本を読んでほしいって
せがまれることもあるんです。

シモーヌは鏡の扉に向かって
呪文を唱えている。
次はどこに向かうの?
フミコたちのいる、
みすずの家が安心安全だけど、
どうせなら変わった景色の場所に。
とシモーヌが言った。

三人が抜けてきたのは、
砂漠の中の家の屋内だった。
セリーヌとラルゴが、
ちょっと驚いている。
ようこそ。
ツナとナディアは出かけてるけど、
すぐ戻ると思うわ。
とセリーヌが言った。

三人はテラスで
お茶をご馳走になっている。
この前はご苦労様。
あなたは負傷したでしょう。
傷の具合はどう?
すっかりよくなったわ。
フミコさんの回復魔法で。
ああいうのはヒーラーっていうのかしら。
あの人は攻撃魔法も得意だし、
なんでもできるみたいね。
太古の魔族はちょっと違う。

立ち上がって周囲の風景を眺めていた
ケントが声を上げた。
バイクが走ってきましたよ。
ああ、あれは、ツナとナディアですよ。
砂漠の巡回から戻ってきたんでしょう。
とラルゴが言った。
あの二人相変わらず元気なのね。

ラルゴは早速、車庫に降りて行って、
戻ってきた二人に声をかけている。
ふーん。
サラとシモーヌに、
ケントっていう人?

二人は2階のテラスに行った。
おかえり。
サラたちがきてるわよ。
ケントさんは、
ここに来たの初めてだって。
と、セリーヌが言った。
現実世界からの人間のお客様か。
サラやシモーヌと一緒だってことは、
何かわけがあるんでしょうけど、
ここには砂漠しかないわよ。
とツナが言った。
それで十分。
白銀の世界から砂漠の世界へ、
っていう変化が面白いでしょ。
それはもう。
とケントが言った。
解説)続きます。
Jul 01, 2026
コンテストの優勝者の発表

広場は今日も賑わっていた。
珍しく舞が靴を履き替えている。

それって上履きじゃないの?
軽くて履きやすいのよ。
ゴムが赤くて統一感があって
おしゃれでしょ。

今日は月初め。
コスプレコンテストの優勝者の選考は
いつもながら難航していた。

先月も新しい参加登録者がいなかったから、
また常連の住民たちの中から選びましょう。
まだ優勝したことのない人で、
すぐに来られる人。
と、マンスフィールドさんが言っている。

マンゴー亭では、
レイチェルとエトナが話していた。
ふーん。
夢食いモンスターの集団と
そんな戦いがあったの。
なにしろモンスターの数が多くてね。
格闘になる前に銃で倒さないと、
かなり危険なのよ。
それでドロレスが負傷して、
今研究所で治療中なの。
呼んでくれたら、
私も加勢に行ったのに。

その時、ルビーのアナウンスが始まった。
みなさん。
6月のコスプレコンテストの
優勝者を発表します。
厳正中立な審査の結果、
優勝したのは
シックなラバースーツ姿の
レイチェルさんです。

え、私が優勝したの?
ずっとバーボンハウスにいて、
久しぶりに帰ってきたばかりなのに。
最近、選考に苦労してるみたいね。
とエトナが言った。

レイチェルは、
万雷の拍手と歓声に包まれて、
トロフィを授与されている。

マンネリだと思ってたけど、
自分がもらうと、やっぱり嬉しいわね。
そうでしょ。
それで続けてるのよ。
解説)
続きます。