Jul 30, 2026
マーレを案内する

ハリーたちの会話は続いていた。
マーレさんはずっとあの島で
何百年、何千年も一人で過ごしてきたんでしょう。
寂しくはなかったの?
一人っきりっていうことはなかったわ。
遠い昔に島から魔族の持ち去った、
貝の奏でる潮騒の夢に誘われて
海辺を訪れる人たちもいたし、トンピリビもいた。
島には古代の生き物もいるし、
私自身もアンモナイトのみる夢の世界で遊んでいたし。

古代の生き物ってあの
海辺で見かけるアルマジロみたいなのね。
それに、アンモナイトのみる夢って、
前に話してくれた白亜紀やジュラ紀の世界ね。
人間の住む世界に興味は?

魔族の都が栄えた頃もあったから、
人間の営む集団生活の様子はよく覚えてるわ。
どんな時代でも同じようなものでしょう。
それは確かにそうですな。
しかし例外もありますよ。
例えば、「昔話の王子でも昔はとても食べられない」
食べ物とか。
あ、あれね。
食べに行きますか?

ハリーはマーレを案内して
デジャの店内の奥の鏡の扉から現れた。
おお、ハリーさん。
やあ、やはりヴィヴィアンは留守のようだな。
こちらはマーレさんという。
実は、彼女の住む島に、この夏の間、
魔術劇場を移転させてもらったんだよ。
店が暇な時に、君たちも遊びに行くといい。
それは朗報ですね。

そうそう。紹介しておこう。
バーテンをしてる黒いシャツがジョニー。
もう一人はイリヤといって、
二人とも元ギャングなんだ。
イギリスからヴィヴィアンを追ってきたんだが、
今では魔術劇場で暮らしている。
昔のことは言わないでくださいよ。
とジョニーが言っている。
おや、水差しのそばにいるのは
水の精霊のバルじゃないか。
遊びに来てるんです。

ハリーは階下に降りて
店のドアマンをしているヨシフを
マーレに紹介している。
彼もギャングの一員だったんだが、
ヴィヴィアンに惚れ込んだようでね。
ハリーさん。
それは秘密なんですよ。

随分賑やかな広場なのね。
うん。あれは大道芸人たちだ。
いつもああして歌っている。

二人はマンゴー亭を訪れた。
やっぱりまだここにいたか。
こちらはマーレさん。
魔術劇場を移転させてもらった
島にお住まいの方だよ。
私の妻のカーミラと黒木さんだ。
黒木は帽子に手をやって
挨拶をしている。

ふーん。
アイスクリームを食べに来たの?
ここの肉まんもおすすめよ。
解説)
続きます。
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