Aug 24, 2021

ジョーの話

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照明が変わったので、
喧噪は一時しずまって、
みんなエルマの歓迎の言葉に聞き入っていた。


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隣席にいたドイツ軍の高官たちも、
似たような思いだったらしく、
ジャンたちを穏やかに見つめていた。


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ジャンは、しかたがないので、
立ち上がって、歓迎に感謝します。
と、短く述べて、
さあ、みなさん飲みましょう。
というと、おりよく、
ジュークボックスから音楽が流れ始め、
酒場には喧噪がもどったのだった。


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ちょっと長くなるかもしれないが、
これまでのいきさつを話そう。
といってジョー大尉は話しはじめた。

戦闘中にたまきがいなくなり、
その後、たまきたちに出会った
倉庫のような家に戻ってみたところ、
そこの様子はがらりと変わっていて、
リリスが一人で暮らしていたのだ、
とジョーはいった。


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エルマもまた、あの家でたまきたちに出会い、
のちにドイツ軍が村を占拠したとき、
あらためてたまきたちに尋問するため、
あの家を再訪して、リリスと知り合ったと言った。
あとで村民たちに聞くと、あの家は
村ができる前からある古い建物で、
そこで一人で暮らすリリスは
魔女に違いないという者もいたという。


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やがて村の周辺に怪物が出没するようになり、
停戦が成立して村が共同管理体制になったとき、
リリスは村の空き地だったこの場所に家を建て、
一階を酒場にして時々通ってくるようになった。
兵士や村人の手も借りず、
家や酒場があっというまに建ち上がったことから、
村はずれに住んでいるリリスが
魔女だという村民たちの古い噂が再燃した。


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そんなとき、リリスは、
実は別世界に住むジャンたちの力を借りて、
家や酒場を作ったのだと、
実際にジャンたちに会ってその存在を知っている
ジョーとエルマに打ち明けてくれたのだという。
ジョーもエルマも、どうやらリリスを信頼して、
彼女の言葉を信じ切っているらしいのが、
今回の歓迎ぶりからも窺えるのだった。

やがて、怪物への恐怖や不安が蔓延するにつれ、
魔女でもなんでも、あっという間に家を
立ててしまえるような不思議な力をもつ者がいて、
怪物から村を守ってくれるかもしれない。
という願望がしだいに村人の間に拡がっていき、
今ではリリスへの畏敬の念は兵士や村民たちに
共通するものになっているのだという。


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ジョーの話が一段落して気がつくと、
ジュークボックスからは、
いつしか気怠いバラードが流れていた。


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さらにひとしきり話がはずんで、時が流れ、
エトナは外の空気を吸ってみたいと言って、
席をたった。

エルマって、
ジルのアルバムでみたとおりのひとだった。
エルマのフィギアとはあまり似てないのに、
あの写真どうやって撮影したのかしら、
と、エトナはふと思った。


解説)
今回はジョーの話、というか、
その内容は、
リリスと彼ら住人たちとの関係を
ざっくりと明かすものでした。
こういう話をはじめると、
なかなかエピソードが進展しませんが、
そこはそれで。

酒場のカウンターのうえの3つのランタンは、
どれもガチャポンでゲットしたもので、
複数並べるとそれなりに豪華だなあと。
またジュークボックスは
以前ホビーオフでみつけた電池式のもので、
オンにすると、照明がつき、
ラジオが聞けるようになっています。
これでFMで音楽を流しながら
撮影作業をしていたのでした。
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