Nov 20, 2025
バー・デジャで

アイスはシモーヌを
バー・デジャに案内した。
コーヒーを二つお願い。
シモーヌは、ギルダに
目を止めている。

ヴィヴィアンはいないの?
セリーヌさんと
夢の世界の砂漠に行くって言って、
出掛けられましたよ。
全く落ち着けない人ね。
彼女にとっては
こっちの世界が退屈なのはわかるけど。
アイスも人のことは
言えないんじゃない?
とギルダが言った。

二人は着席して
コーヒーを飲んでいる。
シモーヌさん。
ハリーさんには会ったことがないけど、
繋がりはあるっておっしゃってたわね。
それってもしかして。
ええ。
ご想像の通りよ。
私も魔族なの。
そうか。やっぱりねー。

ちょっとそんな気がして、
ハリーさんの娘さんをあなたに
紹介しようと思ったんだけど、
行き違いだったみたい。
ところでさっき広場で、
ジョー軍曹を見ていて
声をかけたでしょ。
人違いだって言ってたけど、
あれも、やっぱり。

アイスさん。
それもご想像の通りよ。
あの人が人間じゃなくて、
フィギアの精霊だって分かったから
思わず声を出しちゃった。
このお店の中にも、
フィギアの精霊がいらっしゃるみたいね。

カウンターで二人の会話を聞いていた
ギルダが思わず振り向いた。

魔族にはいろんなことを
見抜く能力が備わっている。
アイスさんからも、
強い呪力のパワーを感じるわ。
あなたは普通の人間みたいだけれど、
お持ちの指輪のせいかしら。

サングラスを外した
シモーヌの顔を見た一同は、
6月のコンテストで優勝したディアナに
生き写しなので驚いている。
あら。
みなさん、どうされたの?
ああ、みんな
あなたの顔にそっくりな人を知ってるので、
驚いているのよ。
その女性はディアナっていいます。
彼女はもとは鹿のフィギアの精霊なんだけど、
フミコという魔族の女性が、
人間の姿に変身させてあげたの。
とアイスが言った。
シモーヌは、
何か思い当たる節があるようで、
興味深そうに聞いていた。

あなたが魔族の方だと分かったし、
私も安心してハリーさんに紹介できるわ。
魔術劇場に行きましょう。
とアイスが言った。
魔術劇場は
町の郊外の別荘地にあるんでしょう?

アイスが店の隅に行き、
壁に向かって呪文を唱えると、
鏡の扉が現れた。
扉のことはご存知だと思いますが、
この鏡の扉を使っていくんです。
直通ですよ。
あなたまるで魔族みたいね。
と言われている。
解説)
続きます。