May 10, 2021

森の果て

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こうして二人とエリコは
森の探索を続けたが、
食料もアリアドネの紐も、
残り少なくなってしまった。
あと100㍍だけ行ってみて
引き返そうと話していたとき。


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似たような泉の傍から
明るい景観が開けていた。


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そこはモモコの夢にでてきた、
ジェーンの暮らす家の居間だった。


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見覚えのある風景。
とうとう出口をみつけたね。


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なんか作業中のようだけど。


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でもでられない!
向こう側に行こうとしても、
なにか不思議な力で
押し戻されてしまうのだった。


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そのとき、ポリバケツの中に、
生き物の姿がみえた。
どうやらエリコをみているようだ。


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エリコは樹木に飛び乗ると、
ざわざわと音をたてて
やすやすと身を翻していった。

モモコの心の中に、
仲間が呼んでるから私行かなきゃ。
楽しかったよ。
モモコさんアイスさん、さようなら。
という声がきこえた気がした。


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エリコは仲間と
なにやら話している様子だったが、
モモコにはもう声も想念も届かなかった。


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透明な壁をあちこち調べていたアイスは、
どうしてエリコが
この境界を越えられたのか
わからないけど、
私たちには無理みたい。
向こうから町に帰ってきた人のことを思うと、
どうもこの境界にある透明な壁は、
一方通行になっているみたいだね。
と言った。

夢の中で見慣れた部屋なのに、
めをこらしても
ジェーンの姿はみえない。
声をだしても届きそうもないのは、
急にエリコの声が聞こえなくなり、
想念もとだえてしまったことから直感できた。
でもモモコは一度だけ
大きな声でジェーンと呼んでみた。

しばらくしてからモモコは、
ジェーンの住む世界が本当にあるって、
わかったから、よかった。
アイス、もう帰ろう。
と自分に言い聞かせるように言った。


解説)
この迷いの森には、
他にも異世界との通路があるのか、とか、
そもそも森自体が異世界なのではないか、
とか、
まだまだ私にも謎のままです。
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