Apr 27, 2026
常春の国で

お城の客間での会話は
続いていた。
オウル。それで、
心配事ってなんなの?
いえね。いつもお花畑にいる
カマキリの姿を、
最近見かけないというんですよ。
これからみんなに集まってもらって、
情報を聞こうと思っていたところなんです。
あのカマキリはフクロウ仲間ではないですが、
彼もこの国の立派な住人ですから
心配しているんです。
この前私が、ディアナに
鹿せんべいを届けに来たのは、
そんなに前じゃないわよね。
ディアナはまだいるの?
ディアナ様はエドがこの国に
慣れたからといって、
「忘れられた夢の世界」とかに
お戻りになられましたよ。
エドならお部屋にいるはずです。
エドとディアナは
毎日野原を走り回っていたはず。
カマキリを見かけてないのかしら。
私たちが聞いてみるわ。
では私は広間にみんなを
集めてお待ちしています。

3人はエドの部屋に向かった。
広いから迷いそうだけど、
確かこっちだったはず。
とサラが言っている。
エドっていうのも
何かのフィギアの精霊?
とリリスが尋ねている。
エドは馬のフィギアの精霊よ。

これはこれは、
シモーヌ様に、サラ。
それにあなたは!
リリスではないですか。
エドワードね。
さっき馬って聞いて、
そうじゃないかって一瞬思った。
二人は知り合いなの?
ジャンの倉庫で一緒だったのよ。
短い間だったけどね。
ジャンが連れて行ったまま
帰ってこなかったから
誰かにあげたんだと思ってた。
シモーヌ様がこの世界に
送ってくれたんですよ。
その「さま」ってつけるのやめてよ。
シモーヌでいいから。
はい。ついフクロウたちの口調と、
一緒になっちゃって。

この前いただいた
鹿せんべい美味しかったですよ。
それは良かったわね。
でも馬があんまり鹿せんべい食べすぎると、
馬鹿になるっていうわよ。
そうなんですか。
もちろん冗談よ。
またお土産に持ってくるわ。
ところで最近お花畑で、
カマキリの姿を見た?
オウルが心配してたんだけど。
毎日散歩してますが、
そういえばこのところ見かけないですね。
いつも走る時は、
踏み潰さないように注意してるんです。
やっぱりね。
いなくなったのは事実みたい。
オウルがみんなに集まってもらうって
言ってたから、広間に行ってみましょう。

3人が広間に行くと、
サラたちはオウルの横に
並ぶように言われた。
シモーヌ様、またお目にかかれて
光栄です。などと叫ぶフクロウもいる。
サラは、エドも
カマキリを見かけていないと言っていると、
オウルに伝えた。

オウルは、みんなにリリスを
シモーヌの客人として、
また自分の古い友人としても紹介してから
おもむろに話し始めた。
さてみんな、
集まってもらったのは
お花畑からカマキリがいなくなったようなんだ。
だれか見かけたものはいないかな。
遊覧船を運転してますが、
湖付近では見かけませんでした。
毎日森に木の実を拾いに行きますが、
途中で通るお花畑で
確かにこのところ見かけませんね。
そうかそうか。
見かけたら報告してくれたまえ。
では散会。

みんなそれぞれ
広間から去っていった。
カマキリがいなくなったのは確かで、
そのごの目撃者ゼロみたいね。
あのー、シモーヌ様。
あら、あなたはグーフォ、
頭に乗ってるのは、
この間マンスフィールドさんの倉庫から
ここに送ってあげた
カラフルな置物のフクロウね。
元気で暮らしてる?
おかげさまで。
でも、僕にはまだ名前がないので、
自己紹介できないんです。
そうだったのね。
急いでて名付けるのを忘れてたわ。
じゃあ、ここで名付けてあげましょう。
あなたの名前は福郎。

福郎ですか。おめでたそうで、
いい名前ですね。
とても気に入りました。
でもどうして。
オウルは、マンスフィールドさんが
つけた名前だけど、
ここにいるフクロウたちの名前は、
精霊としてこの国に送るときに、
私がいろんな国の言葉で、
フクロウの名称を呼び変えて
そのまま名付けたの。
あなたの名前はそのまま、日本語よ。
体に福って書いてあるでしょ。
その文字を生かしたの。
そうだったんですね。

オウル。
私とサラは、今回は
リリスにこの国を案内するために来たんだけど、
カマキリの行方を探すのを
手伝ってあげる。
おお。ありがとうございます。
さすがお優しい創造主さま。
夜型のあなたはお昼寝するといいわ。
まずはアーキスに聞いてみる。
解説)
続きます。
Mar 27, 2026
春の雨

広場は今日も花曇りだった。

あら、
ぽつりときたみたい。
とルビーが言っている。

やがて本格的に雨が降り出した。
みんな急いで雨宿りしている。

広場に雨が降るのは久しぶり。

桜の時期は
これだからなあ。
植物にとっては
恵みの雨でしょ。
本物の鉢植えは
砂漠のバラだけだよ。

子供達は、
春雨じゃ、濡れてしんぜよう。
と言って遊んでいる。
あ、ローラさん。
忘れ物だよ。

ありがと。
取り込むの忘れちゃた。

たまきたちも
ドルフィンの2階に
避難させてもらった。

洗濯物大丈夫だった?
ええ手伝ってもらったおかげで
セーフだったわ。

みんなビールは
しっかり手放さないのね。
飲みかけですから。
解説)
続きます。
Feb 27, 2026
子供の領分 そのに

広場の演奏は続いている。

さっきまで広場にいたみたいだけど、
ルイちゃんはどこに行ったのかしら。
他の子と一緒でしょ。
そうだといいけど、
あの子、よく迷子になるのよ。
4年前の春節でも
迷子になったの。
そんなに前から知ってるの?
その時が初めてだったはずよ。

ルイたちは
ベランダの洗濯物干し場に移動していた。

仲良しになったんだし
探偵団を結成しようよ。
少年探偵団。
と圭が言った。

少女探偵団ね。
え。
そんなのないよ。
男の子は圭だけでしょ。
そうか。

団長はピリカだね。
一番年長みたいだし。
私は子鹿のフィギアの精霊で、
年齢なんてないのよ。
精霊であることに目覚めて数ヶ月だし、
この世界のこと何にも知らない。
みんなそうだよ。
脇役みたいだし。
それで探偵団って
何するの?
まだわかんない。

広場のラーメン屋台には、
ドルフィンのマスターと
イベント企画好きの夏木さんがいた。
はい、お待たせしました。
と言われている。

私もラーメンを。
はい。あら初登場、
じゃなかった、初めての方ですね。
観光でお見えですか?
そんなところです。
あ、僕もう食べ終わるので、
この席空きますよ。
とマスターが言っている。

男性はラーメンを啜っている。
うまいですなあ。
春節はラーメンに限る。
餃子もありますよ。

マンゴー亭では、
調理の区切りがついたローラが
厨房から出てきた。
そのチャイナドレス、
なかなかお似合いよ。
ちょっと丈が短すぎると思いません?
それしかなかったのよ。
倉庫でスラックス探してみるわ。
と小池恵子が言っている。
解説)
続きます。
Jan 27, 2026
馬の話 そのなな

あの二人気が合いそうですね。
元々この世界はディアナのために作ったの。
彼女なら土地のことをよく知ってるから、
エドの話し相手になってくれると思って、
一緒に来てもらったのよ。
鹿せんべいはあげたの。
それはもう。

ミネルバがやってきた。
シモーヌ様、
オウル様がお目にかかりたいと
おっしゃっておられます。

シモーヌ様。
おかえりなさいませ。
年末年始にはお世話になったわね。
とシモーヌが言った。
それで何かあったの?
いえ。
ただ、いらっしゃったと聞いて、
お顔を拝見したくなりまして。
これでまた
心置きなく昼寝が再開できます。

サラは分かったばかりのエドのことを
オウルに教えてあげている。
なんと、あのヴィヴィアンさんの、
子供の頃の遊び相手だったのですか。
不思議なご縁ですなあ。
マークは、
お城は森に囲まれているんですね。
と言いながら外の風景を眺めている。

マークさんはここに初めて来たのね。
お城を案内してあげる。
もっと見晴らしのいい場所があるわよ。
と言って、
シモーヌは先導して部屋を出た。

上の階にバルコニーがあるの。

ほう。見事な景観ですね。

バルコニーからは、
遠くの雪を被った山々や
森林や湖の風景が見渡せた。

その頃、
お花畑を走り回ったエドとディアナは、
水辺で休憩していた。
解説)
続きます。