Aug 27, 2026
幽霊たちの願い

あなたたち、
どうしてここに。
この船はパワースポットになっているんです。

サラさん。
こういうのとお知り合いなんですか?
と軍曹が尋ねた。
ちょうど2ヶ月くらい前に、
忘れられた夢の世界の
北の火山島で会ったことがあるの。
彼ら、みんな私と同じ幽霊じゃないか。
とクックドゥーが言った。
そういえばそうね。

ああ、かの有名なキャプテン・クックドゥーさんですね。
突然お騒がせして申し訳ありません。
と猫の幽霊が言った。
ここに来た経緯をお話ししますと、
キャプテンのご存知の通り、
このエクレア号は、大航海時代に
嵐で沈没していったんは海の藻屑となりましたが、
骸骨姿で死霊として蘇ったあなたをのせるため、
夢の世界で幽霊船として復活しましたね。
そのご、あなたが航海をやめてしまったため、
エクレア号は亡くなった船員たちの魂と共に
ずっと夢の海を彷徨っていたのです。
ふむ、それは知っている。不憫なことをした。
だが、今はこうして戻ってきたぞ。
はい。それであなたが留守をしていた航海中に
彷徨えるこの幽霊船は、幽霊たちに人気の
パワースポットになっていたのです。
それは知らなかったが。
そこで、つい昨晩のことです。
マーレのいる貝たちの魂の故郷の島で、
何千年ぶりに魔族が花火を見せる魔法を使ったという話を聞きまして。
私たちも花火見物にやってきたのです。

それはご苦労様ね。
でも花火はもう終わったわよ。
とサラが言った。
それはそうなんですが、
魔族の方にぜひアンコールをお願いしに行こうと、
いうことなりまして、誰が行くかということで、
ここで騒いでいたわけです。
わざわざこんな世界まで来るなんて、
花火ならどこでも見られるじゃない?
魔族の生み出す魔法の花火は特別なんですよ。
本物の花火じゃなくて幻影であることの
哀れさや虚しさが幽霊たちの心を慰めるのです。

私は幽霊じゃなくてフィギアの精霊ですが、
昨晩の花火の美しさには、やはり心を打たれました。
と話を聞いていたジョー軍曹がいった。
わかったわ。
じゃあ私が黒木さんに花火のアンコールを
頼んでみてあげる。
まだ島にいるはずだから。
とサラが言った。
ありがとうございます。
私たちが頼みに行けば、
怖がられて断られるんじゃないかと思っていました。
と餃子の幽霊が言った。
サラさんはやっぱり優しい人だね、
エリーゼやユリイカのお友達のことだけある。
そうだエリーゼやユリイカも呼ぼうよ。
と犬の幽霊が言った。
あなたたちには
霊界の幽霊同士のネットワークがあるのね。
エリーゼは常春の国にいるはずよ。
ユリイカは私たちの部屋に出没するわ。
私は黒木さんに頼んでくる。
あと、その二人で重なる格好
怖いからやめたほうがいいわよ。

サラたちは船倉の武器庫から
上がってきた。
サラさん。島に行くのなら
ボートを出しましょうか。
鏡の扉を使って
魔術劇場経由で行くわ。
そのほうが早いから。
省エネなんですね。

サラは魔術劇場を通って
マーレの島に現れた。
デュアンがまた見送りに出ている。
黒木さんなら今日は
たまきさんと一緒に泉に行くと
言ってました。
ありがと、行ってみるわ。
あなたも島で遊べばいいのに。
ええ、お掃除済ませたら。
と言っている。

サラが泉に到着すると、
アンナたちが遊んでいた。
黒木さん。
その格好は。
ああ、これですか。
すごく居心地がいいんですよ。

サラは、エクレア号に出現したお化けたちが、
花火のアンコールを要望していることを
黒木に伝えた。
この島の夜空を彩る魔法の花火は、
古代の魔族が、祝祭の日に、
島に帰ってきた貝たちの魂を慰めるために
行っていた年中行事だったらしいのよ。
そうみたいね。
この泉に住んでいるオウム貝も、
貝の魂たちの代表として、
わざわざお礼を言いにきたわ。
とたまきが言った。
何千年ぶりのことなんだって。
その噂を聞いた幽霊たちも集まってきて
花火見物したいって言ってるのよ。
わかりました。
今晩もう一度やりましょう。
でもあんなに綺麗な花火を見せることできたのは、
アイスさんが手助けしてくれたからなんです。
と黒木が言った。
じゃあアイスにも声をかけるわ。
アイスはハリーに会いに行ったから、
今頃は広場にいるはず。
解説)
続きます。
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