Jan 31, 2026

ホテルでの会話

b1

ハリーさん、お部屋に
お荷物を運んでおきました。
とシーザーが言っている。

ありがとう。
じゃあ、部屋で話そう。


b2

ハリー夫妻は
いつも利用している部屋に向かっている。

よかったら、あなたたちも
一緒に来てくれない?
とカコが言った。

いいですけど。

夢や夢食いのことに詳しそうだから、
色々情報が欲しいのよ。


b3

カコはハリーに、宇宙ステーションの中で、
宇宙人のピピが夢見る昏睡状態になってしまい、
その夢に夢食いらしき侵入者が
入り込んだらしいというようなことを話している。

ふむ。
その夢の世界が人間が見る夢や
魔族が作った異世界と同じだと考えれば、
夢食いが入り込むのは珍しいことじゃないな。
ただ夢食いというのは総称で、いろんなタイプがいる。
その上、そのピピというのは、
どこかの惑星で生まれた宇宙人なんだろう。
そういう生物の頭脳の中の夢の世界がどうなっているのかは、
ちょっと見当がつかないなあ。

宇宙ステーションには、
宇宙連合に加入している惑星の
多種多様な宇宙人たちが乗船しているんでしょう。
それぞれが高度な文明を発展させているはず。
それでも対処法が見つからないの?
とサラが言った。


b4

そこがかえって問題なのよ。
それぞれが異なる惑星の文明圏から来ているし、
お互いのことを全てわかり合っているわけでもない。
弱点を知られてしまうと大問題になりかねないからね。
ピピは私と同じように親善大使という身分で乗船しているの。
彼が目覚めなければ、いずれは昏睡状態のまま
母星に搬送されることになると思うけど、
そうなると政治問題になるかもしれない。
そういうトラブルを利用したがる勢力もいるのよ。

何処も同じ秋の夕暮れね。

何それ。


b5

さっきハリーが、
夢食いにはいろんな種類があるって言ったでしょう。
夢の世界を独占しようとするものもいれば、
夢の世界を外敵から守ろうとするものもいる。
ひっそりと夢に棲みついて暮らしたがるものもいれば、
気ままにいろんな夢を渡り歩くのが好きなものもいる。
例えば、メルティっていう女の子の夢には、
今では百猫の王って呼ばれる夢食いが棲みついていて、
その子のみる夢の世界を守っているの。
だからそのピピっていう宇宙人の夢に入って来たのが、
どんな種類の夢食いなのかによって、
状況は全然変わってくる。
とカーミラが言った。

お前随分詳しいな。
とハリーが言った。

あなたと一緒にいれば詳しくはなるわよ。
とカーミラが言った。

興味深いお話ね。
そう言えば、さっき食堂で、
サラは、大勢、夢食いの知り合いがいるって
言いかけてたわね。
とカコが言った。

ええ。今カーミラさんが言ってた
百猫の王シュレディンガーとも友達だし、
芸術家の夢に取り憑くサルバドールとも友達。
いつまでも消えない夢の世界に住む、
みすずやシノやシビルやセリーヌ、
カエル王女とも友達よ。


b6

だったら、そのうちの誰かに
ピピの見ている夢の世界に行って、
様子を見てきて欲しいって頼めないかしら。
とカコが言った。

夢に入り込むのは、
夢食いといえども、そう簡単じゃないんですよ。
とハリーが言った。

大抵は何かのきっかけが必要なんです。
そのきっかけは偶然のように見える場合もあるけれど、
時には夢見る人の無意識の欲求や、
夢食いを引き寄せる原因になるような出来事が必要です。
言ってみれば縁ですね。
もちろん夢食い自身のパワーや意思や願望も必要です。
それらが重なった時、通路のようなものが生じて、
夢食いはその世界に行くことができるらしい。
夢の世界は普通、夢を見ている人の無意識の
防御壁に守られているわけです。
さっきカーミラが例に出したメルティの場合には、
病気だった彼女はピピと同じように昏睡状態で、
ずっと覚めない同じ夢を見続けていました。
その一人きりの世界から彼女は逃れたがっていた。
ある時、その強い思いを私が受け取ったのです。
そこで初めて彼女と交信できるようになり、
夢の世界の様子を聞くことによって、
とうとう彼女の夢に通じる鏡の扉を作るのに成功しました。

なるほど。この星の魔族は
鏡の扉をそんなふうにも使うことができるのね。
お二人の交信って、
テレパシーでのやり取りみたいなものに思えるけど。
そういうことが可能な宇宙人なら結構いるわ。
ハリーさん、みなさん。
これからステーションに来て下さらないかしら。

もちろんいいですよ。
お役に立てるかどうかわかりませんが。


b7

一行は裏の広場にある
転送装置に向かった。

こんなに大勢で
押しかけて大丈夫なの?

サラはこの前の寿司パーティで
みんなと顔見知りだし、
ハリー夫妻はこんなことがなくても、
ステーションにお招きしたかったところ。
シモーヌさんは魔族の人だし、
装置がデータを検索してすぐに許可が出るわよ。


b8

サラが空に吸い込まれるように
空中を登っていく。

あれ、気持ちいいのかな。
一度やってみたかったの。

私もなんだ。


b9

宇宙ステーションについたサラは、
ダックに挨拶されている。

ああ、サラさん。
ピピが眠ったままに。



解説)
続きます。
Posted at 19:58 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 30, 2026

ホテルへ

a1

二人はホテルの入り口で
チンパンジーのリンリンに出会った。

サラさんこんにちわ。
お泊まりですか。


a2

まだ決めてないのよ。
セリーヌさん、どうしましょう。

そうねえ、予定はないけど、
思いつきで来ただけだから。

とりあえずホテルの食堂で
お茶でも飲みましょう。


a3

受付にはいつも通り
フンボルトがいて、
いらっしゃいませと挨拶している。

ロビーに行けば
裏の広場が見渡せるわよ。


a4

二人がロビーに行くと、
先客がいた。

あ、あの人はカコ。


a5

サラたちに気がついたカコは
さっそく手を挙げて、
歩み寄ってきた。

サラ。
この前はどうもありがとう。
おかげさまで、ステーションでの、
寿司パーティは大盛況だったわ。

カコさんに、お土産にいただいた
甲殻類の卵も
広場のみんなに好評だったわよ。
とサラが言った。


a6

サラはカコにシモーヌを
紹介した。

ふーん。魔族の人か。
私はハリーさんと会う約束で
ホテルに来たんだけど、
まだ到着してないみたい。
あ、時間があるなら、
お茶でも飲まない?


a7

3人はホテルの食堂で
コーヒーを飲むことにした。

実はね。
ステーションで問題が起きて。
あ、宇宙ステーションのことは、
シモーヌさんはご存じなの?

このホテルを介して、人間と、
宇宙人と交流があるということは
サラさんから聞きました。
普通の人みたいに見えますけど、
カコさんも宇宙人なんですか。

そうよ。
町で見かけてもわからないくらい
人間そっくりでしょ。


a8

それで問題って?
とサラが尋ねた。

ピピが寝込んじゃったのよ。
昏睡状態なんだけど、検査の結果、
ずっと夢を見ているらしいことがわかったの。

ピピって、あの小さな銀色の宇宙人ね。
目が覚めない原因は分かったの?

どうもね。
どこか外部から原因になる生命体が
ピピの夢に侵入したらしいの。

それって夢食いじゃないですか。
とシモーヌが言った。

あなたたちはそう呼んでるらしいわね。
私も夢食いのことは
ハリーさんから聞いていたので似てるって思ったわ。
そのことを艦長のメイズたちに話したら、
ハリーさんに相談しようということにって。

夢食いの知り合いなら、
大勢いるわよ。
とサラが言った。

え、
夢食いは夢の中だけにしか存在しないんでしょう。

そうでもないんですよ。
と話を聞いていたシモーヌが言った。
人間のみる夢の世界と、魔族が生み出す異世界は、
よく似ていて、夢食いはどちらにも出現します。
それに通路があれば、夢食いたちは、
この現実世界とも行き来できます。
現実世界と言っても、
人間が共同で見ている夢みたいなものですから。
古来、妖怪とか幽霊と呼ばれるものの類は
夢食いの場合もあるんです。
ただ、ちょっとややこしいですが、
この現実世界の物象から生成される精霊とは微妙に違います。
精霊たちはその起源をその存在する世界に持っています。
夢食いは別の世界からもたらされたもの。

別の世界って?

その世界のことは私にもよくわかりません。
そこも特殊な異世界であることは確かだと思うんですが。


a9

その時、リンリンがやってきた。

カコさん、
ハリーご夫妻がおいでになりましたよ。


a10

ロビーに行くと、ハリーたちがいた。

カコさん、待たせてすまなかったね。
おや、君たちも一緒なのか。

偶然ここでさっき出会ったんです。
コート着てるんですね。
暑くないですか。
とサラが言った。

向こうは冷え込んでてね。
散歩中に約束を思い出して、
急いできたんだよ。



解説)
続きます。
Posted at 19:57 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 29, 2026

村での会話

a1

3人は集落のメインストリートを
歩いている。

マークは、アマンダを見かけて、
挨拶している。

あの人は?

村でハウスキーパーをしてくれている
アマンダさん。
住民が何日も家を空ける時、
頼むと留守番してくれるのよ。


a2

ここは豹変亭っていうレストラン。
向こうにいるのは
経営者のローズとアンドレアよ。
歩いてお腹も空いたから
一休みして行かない?


a3

サラは、すごく詳しいのね。

実はね。フラハの家の近くに
魔法生物たちのやっているホテルがあるの。
昨年のお正月にそこに泊まった時、
ホテルで知り合った宇宙人たちと、
この村を歩き回ったのよ。
このお店にもその時に来たことがあるの。

給仕をしにきた
アンドレアがそばで話を聞いている。


a4

宇宙人ですって?
知り合いが多いのね。

ホテルのことはあまり知られていないんですよ。
村外れのフラハの家の、
そのまた奥の広場に立地しています。
僕も詳しくは知らないんですが。

きっと私の方が詳しいわね。
その広場には転送装置があって、
その装置を使って宇宙人たちが地球観光に来るの。
ホテルはほぼ彼らの御用達になっている。
あまり評判になると問題だから、
招待される人間はほぼホテルの関係者だけね。

サラはよく招待されたわね。

だってホテルの経営者は
マリアっっていう魔族の女性なんだけど、
実質的な経営者はヴィヴィアンですもの。

あの人、そんなこともやってるの。

ハリーさんたちも夫妻でよく利用してるのよ。
今も逗留しているかもしれない。
興味あるなら案内するわよ。

ちょっとこの村のことを説明しますと、
村には先住民はあまりいなくて、
住民はジャングルで遭難してたどり着いた人や、
事情があって都会から逃れてきた人が多いです。
ほぼ1日かけて行ける場所に古代遺跡があって、
遺跡調査にきた人たちも住み着いている。
最近では宇宙人たちも時々見物に来ますが、
そういう外来の人たちばかりなので、
特にトラブルはないですね。
住民はみんな知り合いなので
よろしければ紹介しますよ。
とマークが言った。


a5

うーん。
ストーリーの分岐点見たいね。
ホテルに行くか、村を見て回って
村の人を紹介してもらうか。
どっちにしようかなあ。

どっちでもあんまり
変わらないと思うわよ。


a6

結局、シモーヌは
ホテルに行ってみることを選んだ。

じゃあ僕は、これから家に帰って、
庭の雑草の手入れをします。
またお会いできるのを楽しみに。
とマークは言った。


a7

3人が立ち去った後、
ローズとアンドレアが話している。

一年前にホテルができて、
宇宙人みたいな変わった風体の人が結構
来るようになったけど、
やっぱり広場に転送装置があるんだってさ。

地球征服がダメなら、
宇宙征服ね。

それって順番が逆じゃない?


a8

二人は元きた道を引き返し、
村外れのフラハの家の前を素通りして、
さらにジャングルに分け入って。


a9

ホテル・ナジャの入り口にたどり着いた。

随分瀟洒な建物ね。

あれは従業員用の宿舎。
ホテルはあの奥にあるの。
と言っている。



解説)
続きます。
Posted at 20:00 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 28, 2026

マークの村へ

a1

シモーヌは、
バルコニーに続く部屋に
案内している。

あら素敵なお部屋ね。

隣はディアナの部屋よ。
元々ディアナのために作ったお城だから、
私の部屋はなかったんだけど、
昨年来たときフクロウたちが私のために、
用意してくれたの。


a2

世界を作ってくれた創造主の到来だから、
よほど嬉しかったのね。

私は仕事もあるし、
精霊たちには自分たちの力で生きてほしいし、
ここで暮らすつもりはないんだけど。

仕事ってアンティークの売買の仕事ね。
それと骨董品に宿ってる精霊を見つけて、
自由にしてあげるっていう。


a3

マークさんは、これからどうするの。

そろそろ村に帰ろうかなと思います。
去年ハロウィーン前に家を出て以来、
ずっと帰ってないんですよ。

マークさんは一人で
アフリカの密林を開墾したのよ。
そこが今では小さな集落になって、
マークの村って呼ばれてる。
とサラが言った。

そうだ。私たちも一緒に行かない?
その村には魔族の人が一人住んでるの。
シモーヌさんに紹介したいわ。


a4

3人はマークの村に行くことにした。
平原から帰ってきたディアナたちと話している。

ディアナはエドがこの国に慣れるまで、
しばらくこの国にいると言った。

ウマが合ったのね。
とサラが言った。


a5

サラはアイスに教えてもらった呪文を唱え、
3人は鏡の扉を抜けて、あっという間に
アフリカのフラハの家にやってきた。

おお、珍しいな。
それにマーク、久しぶりの帰郷じゃないか。


a6

こちらはシモーヌさん。魔族の方です。
そちらはフラハさんよ。やはり魔族の人よ。

フラハさん、
お名前はハリーさんから伺っています。
ケントさんというお兄様がいらっしゃるという方ですね。
どうぞよろしく。

ふむ。ハリーはそんな話もしたのか。
まあ今や絶滅危惧種と言われる魔族の仲間と
知り合えるのは嬉しいな。
それでシモーヌさんは普段は何をされているのかな。

フランスにお店を持っていて、
骨董品の売買で生計を立てています。
もっとも、店は店員に任せて、
世界中を気ままに旅しながら
骨董品の買い付けをしてるんです。

なるほど、骨董の鑑定には魔力が活かせるか。
普通に人間社会に溶け込むと、
魔力を生かす機会は滅多にないからな。
魔族でも魔法を使うのをやめて、
私の兄みたいに新聞記者になるものもいる。
まずます絶滅に近づくというわけだよ。


a7

マークの案内で、
3人は村を散歩することにした。
サラはフラハに挨拶している。

フラハの家は村外れで、
村までちょっとあるんですよ。

さすがに買い付けにアフリカの奥地まで
来たことはなかったから興味深いわ。
村には民芸品なんかもあるの?

先住民にとっては、
開拓者が作った新興の村なんで、
たまに住みつく者もいますが、
伝統的な民芸品というものは特にないんです。


a8

3人はジャングルに分け入っていく。

フラハさんはどうして村外れに?

彼は人間の世界に馴染めなくて、
アフリカに来たと言ってました。
彼はこの土地を先住の部族の長から譲り受けたんです。
僕がここを開墾して住むことができたのも
彼のおかげなんですよ。


a9

やがて
まばらに民家が見えてきた。

村に到着しましたよ。



解説)
続きます。
Posted at 19:54 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 27, 2026

馬の話 そのなな

a1

あの二人気が合いそうですね。

元々この世界はディアナのために作ったの。
彼女なら土地のことをよく知ってるから、
エドの話し相手になってくれると思って、
一緒に来てもらったのよ。

鹿せんべいはあげたの。

それはもう。


a2

ミネルバがやってきた。

シモーヌ様、
オウル様がお目にかかりたいと
おっしゃっておられます。


a3

シモーヌ様。
おかえりなさいませ。

年末年始にはお世話になったわね。
とシモーヌが言った。
それで何かあったの?

いえ。
ただ、いらっしゃったと聞いて、
お顔を拝見したくなりまして。
これでまた
心置きなく昼寝が再開できます。


a4

サラは分かったばかりのエドのことを
オウルに教えてあげている。

なんと、あのヴィヴィアンさんの、
子供の頃の遊び相手だったのですか。
不思議なご縁ですなあ。

マークは、
お城は森に囲まれているんですね。
と言いながら外の風景を眺めている。


a5

マークさんはここに初めて来たのね。
お城を案内してあげる。
もっと見晴らしのいい場所があるわよ。
と言って、
シモーヌは先導して部屋を出た。


a6

上の階にバルコニーがあるの。


a7

ほう。見事な景観ですね。


a8

バルコニーからは、
遠くの雪を被った山々や
森林や湖の風景が見渡せた。


a9

その頃、
お花畑を走り回ったエドとディアナは、
水辺で休憩していた。



解説)
続きます。
Posted at 19:47 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 26, 2026

馬の話 そのろく

a1

サラたちはお城に戻って、
オウルと面会している。


a2

ふむ。君はエドという名前なのか。
この国は魔族のシモーヌ様が
生み出してくださった常春の国。
暮らしているのはフィギアや置物に
宿っていた精霊たちで、
みんな君と同じような身の上だよ。
では早速みんなに紹介しよう。
ミネルバ君。

はい、では広間の方に。


a3

広間にフクロウの置物たちが
集まっていた。
オウルはエドを紹介している。

ここにいるフクロウたちはみんな、
同じ倉庫に並べて置かれているのを、
シモーヌ様が見つけてくださって、
この世界に送られてきたんだが、
それ以前の境遇は様々。
誰かこれまでに
馬のフィギアを見たものはいるかな。

馬のブロンズ像なら見たことがあります。

民芸品のチャグチャグうまっこならあります。


a4

紹介が終わり、
サラたちはお城の一画の
眺めのいい部屋に案内された。

この部屋を自由に使っていいって言われたのね。

みなさん親切ですね。


a5

話していると、
ミネルバがやってきた。

シモーヌ様がいらっしゃいましたよ。


a6

シモーヌはみすずの家から、
ディアナを連れてきていた。


a7

シモーヌは、
ディアナをマークとエドに紹介している。

お二人は姉妹なんですか。
お顔がそっくりですね。
とマークが言っている。

ちょっと訳があってね。
ディアナは鹿のフィギアの精霊なの。
とシモーヌが言った。


a8

エドはシモーヌに
質問されている。

エドさん、あなた、広場で話した時、
また人を乗せて走りたいって言ってたわね。
ということは、以前にも、
精霊としてその姿になったことがあるっていうこと?

はい。そうなんです。
ずっと昔のことなんですが、
私が馬のフィギアとして骨董品のお店で売られていたとき、
フィギアの中に精霊の私が宿っているのを見つけて、
母親にせがんで買ってくれた幼い女の子がいたんです。
その女の子は私に名前をつけて、
牧草地まで運んで行って、この姿に変えてくれて
深夜に、私に乗って一緒に走り回って遊んでくれたんです。

ふーん。そうなの。
それからどうしたの。

やがて女の子は乗馬遊びに飽きちゃって、
私は子供部屋の棚の隅に置かれたままになりました。

よくあるパターンね。
それからどうしたの?

それから随分時間が経って、
女の子は大人になって外出が多くなりました。
ある日突然、彼女が帰ってきて、
その直後に、家具を残して一家は引っ越して行きました。
その家にはその子と母親が暮らしていたんですが、
母子ともども蒸発したみたいに消えて、
その後、残された空き家に盗みに入った盗賊が、
馬のフィギアである私を見つけて盗み出し、
盗品であることを隠してオークションにかけたんです。

それでそのフィギアを落札した
ジャンさんの手に渡ったというわけなんですね。
とマークが言った。

そうなんです。

本当の話なんでしょうけど、
フィギアに精霊が宿っているのを見抜いて、
変身させて遊んだなんて、
そんな呪力を持つ魔族の子供がいたなんて、
ちょっと信じられない。
とシモーヌが言った。

ずっと話を聴いていたサラが言った。
私何となく心当たりがある。
その女の子の名前はヴィヴィアンでしょう。
それでその子のお母さんの名前はカーミラじゃない?

そ、そうです。


a9

え、どうしてわかったの?

幼い頃からそんな魔力を持っていたなんて、
ヴィヴィアン以外考えられない。
飽きっぽいのも彼女の特徴。
それとね。三年前に彼女はロンドンのカジノで
問題を起こして、地元のマフィア組織に追われていたの。
それで、お母さんのカーミラと一緒に、
別居していた魔術劇場のハリーさんのところに、
緊急避難してきたのよ。
そのまま今でも同居してるけど。

追われていたので、家具類を残したまま、
慌ただしく家を出払ったというわけね。

深夜に牧草地で遊んだって言ったでしょう。
彼女には半分ヴァンパイアの血が入っていて、
子供の頃は、日光が苦手だったって聞いたことがある。
その家ってトランシルヴァニアにあったんでしょう。

はい。

やっぱりね。
あ、ヴィヴィアンなら今、
幽霊船のエクレア号に乗ってるはず。
近いうちに再会できるわよ。
ただ、向こうが覚えてるかな?

なんか問題の多そうな人なのね。
でもエドの探してた人が見つかったのは
よかったわ。


a10

エドはディアナと
野原を走りに行くことになった。
フクロウたちが
挨拶している。



解説)続きます。
Posted at 19:30 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 25, 2026

馬の話 そのご

a1

よく見ると、
エドは怪鳥に追われていた。


a2

サラたちの姿に気がついたエドは
駆け寄ってきた。
怪鳥が追いかけてくる。


a3

サラは、
大きな声で呼びかけた。

アーキスさん。
この馬は侵入者じゃないのよ。
シモーヌさんが新しくこの世界に送ってきた
馬のフィギアの精霊で、エドっていうの。


a4

なんだと。そうだったのか。
てっきり侵入してきた夢食いかと思ったよ。
ふむ、あんたは俺がヴィヴィアンと契約を結んだ時、
そばにいたな。
シモーヌさんのことも知ってるなんて、
魔族の仲間なのか。

私はサラで、隣にいるのはマーク。
魔族じゃないけど、みんな友達よ。
私たちはエドに会いにきたの。
エドは新しい住人なのよ。

新しい住人か。まあ、よろしくな。
俺は巡回に戻るよ。


a5

アーキスはそういうと
去っていった。


a6

この世界に送ってもらって
嬉しくて平原を走り回っていたら、
あの怪鳥が追いかけてきたんです。

あれはアーキスって言って、
凶暴な夢くいのモンスターだけど、
この常春の世界が気に入ったらしく、
ヴィヴィアンと契約して
この世界に住まわせてもらう代わりに、
巡回パトロールをしてるの。
今ではガードマンみたいなものね。


a7

そのとき、突然エドが前足を上げていなないた。

今度は何なの?


a8

巨大なカマキリが近づいてきたのだった。


a9

これはこれはサラさん。
また観光ですか。
とカマキリは言った。

あ、紹介するわ。
こちらはマークで、
この馬はエド。
あなたと同じフィギアの精霊で、
エドはこの世界の新しいお仲間よ。

そうでしたか。
それはどうぞよろしく。
あ、それからお花畑を走る時は、
前方に注意してくださいね。
時々私が寝てますから。


a10

いったんお城に戻ってフクロウたちにも
挨拶した方がいいわよ。
あなたのことは話題になっているみたいだし。

分かりました。
そうしましょう。

ところで、あなたパニくると、
馬の声になるのね。

なぜかそうなんです。



解説)
続きます。
24日土曜日の更新が25日にずれ込んだので、
いつも夜の8時過ぎ頃にしている本日分の更新は、
お休みします。
Posted at 01:32 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 23, 2026

馬の話 そのよん

a1

サラとマークは、鏡の扉を抜けて、
常春の精霊の国のお城の一室に現れた。

随分立派な部屋ですねえ。


a2

話声を聞きつけて執事のミネルバがやってきた。

これはこれはサラさん。
去年の9月以来のお越しですね。
また観光においでですか。

おひさしぶり。
今回はちょっとすることがあって。
こちらはマークさん。
これは肉まんのお土産よ。
国王代理のオウルさんは起きてる?

珍しく起きていらっしゃいます。
さっそくご案内しましょう。


a3

応接間に案内されると、
オウルがソファに座っていた。

これはこれはサラさん。
お元気でしたか。


a4

サラはマークを紹介して、
つい最近、この世界に馬が
やってこなかったかと尋ねた。


a5

はいはい。
報告を受けたばかりですよ。
それで昼寝を起こされたんです。
なんでもお花畑のあたりを
元気よく走り回っているとか。
あれはまたシモーヌ様が、
送り込まれたフィギアの精霊なんでしょうか。

そうなのよ。
さっそく会いに行ってみるわ。


a6

オウルとミネルバに見送られて、
二人はお城を後にした。


a7

随分、立派なお城と庭園ですね。
この世界をシモーヌさんが魔法で作ったんですか。

そうみたいね。
私たちの現実世界からいえば、
幻なんでしょうけど、
私たちの現実世界も人間の脳が
脳同士だけで分かり合えるように
生み出した幻想みたいなものだから、
同じようなものかもしれないわね。

難しいこと言いますね。


a8

おお桜が満開ですね。

ここは常春の世界なの。


a9

前に来たから覚えてる。
お花畑はこの辺りよ。


a10

遠くで馬のいななく声がした。

あ、あそこにエドが。


解説)
続きます。
Posted at 20:05 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 22, 2026

馬の話 そのさん

a1

シモーヌさん、その魔法はここではまずいわ。
とルビーが言っている。


a2

あ、ごめんなさい。
いつもは慎重に場所を選ぶんだけど、
なぜかついその気になっちゃって。

今、観光客はいないみたいだし、
ルビーに注意されても、
ヴィヴィアンはいつも平気で魔法を使うから、
住民はもう慣れっこ。
そんなに気にすることないわよ。
とサラが言った。


a3

じゃあエド、
とりあえずあなたを
常春の国に送ってあげましょう。


a4

シモーヌが呪文を唱えると、
薄い煙がたちのぼり、
エドは元のフィギアの姿に戻ったように見えた。


a5

このフィギアは。

精霊の元の体だから大事にしてね。
壊したりすると、精霊が戻れなくなるから。

なるほど、
精霊が抜け出しても元の器は残る。
兵士たちのフィギアと同じなんですね。


a6

私はパリのアンティークのお店に戻る。
貝殻を金庫に保管して、お店の仕事を終えたら、
またみすずの家に行って、
ディアナたちに鹿せんべいを渡してから、
常春の国に行ってみるつもり。
それでサラ、
もしよかったら。

先に常春の国に行って
エドの話を聞いてあげてほしい、
っていうんでしょう。

よくわかったわね。

なぜかそんな普通の展開になる気がしたの。
いいわよ。
マークさんもいらっしゃる?

はい。お供します。
馬の姿でも、同じサイズのフィギアの
精霊仲間だと思うと、他人事とは思えない。
とマークは言った。


a7

シモーヌが立ち去った後、
関係者はマンゴー亭で話し合っている。

ジャンさん。そのエドっていう馬のフィギアの
元の持ち主のことはわかる?

いえ、オークションで入手したので。
でも主催者に聞けば何かわかるかな。
今度会ったら聞いてみますよ。
とジャンが言った。

お願いね。

それからサラはルビーに、
船の旅やマーレのいた島の話などを
かいつまんで伝えた。

ハリーさんにも話しておきたかったけど。

わかったわ。
アイスやヴィヴィアンは元気なのね。
ハリーに会ったら伝えとく。


a8

サラはバー・デジャの門番をしている
ヨシフにも話しかけている。

あなたたちとクックドゥーとは、
魔術劇場で寝泊まりしてるんでしょう。

はい、そういえば最近見かけませんが。
家事をしてくれているデュアンが
気にしてました。

あの人、海の世界で航海してるの。
しばらく戻ってこないかも。

そーなんですね。
みんなにも伝えておきます。


a9

サラとマークは、
お土産の肉まんを買い込むと広場を去っていった。

サラたち、常春の国に行ったんですか。
いいなあ。

佳奈は長期休暇取ったばかりでしょ。
と言われている。



解説)
続きます。
Posted at 20:06 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 21, 2026

馬の話 そのに

a1

サラはジャンたちにシモーヌを紹介して、
一緒に肉まんを食べることにした。
シモーヌが骨董品の売買をしているというので、
フィギアの話題で盛り上がっている。

このお馬さん、1/6のスケールで、
けっこう精密に出来てるのね。

兵士のフィギアとセットで売られているのも
あるんですよ。


a2

そういえばマークさんは、
フィギアの兵士の精霊なんでしょう。
以前にいたフィギアの世界には軍馬もいたの?

ほとんど覚えていないですが、
戦場だったので、当然いたと思いますよ。


a3

この馬はちょっと歩き出しそうな
ポーズをしているのね。

それは骨董のオークションで手に入れたものです。
かなり年季が入ってますが、
微妙なポーズが面白いでしょう。

あら。この馬のフィギアには、
精霊が宿っているわ。
とシモーヌが言った。


a4

え、やっぱりそうなんですか。
とジャンが言った。

普段、倉庫の陳列棚に置いてあるんですが、
時々移動してることがあったんです。
僕のコレクションしている兵士のフィギアには、
そういう精霊を宿したのが多くて、
彼らは異世界の村で暮らしていましたが、
色々な出来事の末に、
ハリーさんやヴィヴィアンさんが
魔法でサイズを変えてくれて、
今では、何人かはこちらの世界に移住して、
人間と同じように郊外で暮らしています。

ジョー軍曹やエルザや、
ギルダやロンメル将軍たちね。
とサラが言った。

僕も住む世界は違いますが、
別世界から来たフィギアの精霊らしくて、
彼らと同じ身の上のようです。
今でもどうも釈然としませんが。
とマークが言った。


a5

この馬は、以前乗り手と一緒にいたらしい。
またその人を乗せて走りたいって言ってるわ。

シモーヌさんは魔族で、
これまで沢山のフィギアや置物に宿った
精霊たちを見つけては、
別世界を作ってそこに送って
自由にしてあげているの。
私その常春の国に遊びに行ったから知ってる。
とサラが言った。

そーなんですか。
だったら、ぜひその馬の願いを叶えてあげてください。
他の兵士フィギアの精霊たちも喜ぶでしょう。
とジャンが言った。

なにか始まるのかな。
とレイとアンナが興味津々で立ち聞きしている。


a6

ここでやっちゃうの?

善は急げでしょ。

シモーヌさんも、
ヴィヴィアンと同じようなことをいうのね。


a7

シモーヌが呪文を唱えると、
薄い煙がたちのぼり、
広場に忽然と馬が現れた。


a8

ベーカリーから
佳奈やルビーや舞が何事が起きたかと
やってきた。

今、煙の中から出てきたよね。

魔法なんでしょ。


a9

ありがとうございます。
私はエドワードと言います。
エドと呼んでください。
と馬は話した。


a10

う~まがしゃべる。
そ~んなパカな🎵
と大道芸人が歌っている。

古すぎる歌ね。
聞かなかったことにしよう。
とサラは思っている。



解説)
続きます。
Posted at 21:13 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 20, 2026

馬の話

a1

帰っちゃうと寂しくなりますね。

帰るって言っても、鏡の扉を使えば
いつでも来られるんだから、
全然感動の別れっていう感じじゃないけどね。
などとシノとクックドゥーが話している。
奥でもサラたちが話していた。

シモーヌはフミコと一緒に?

しばらく帰ってないし、
マーレからもらった祖母の貝殻を、
フランスのお店に保管しに戻るつもり。
サラは?

私は今度のことを
魔術劇場のハリーさんに報告しに行く。
クックドゥーが航海に出たことも、
知らせないと。

じゃあ途中まで一緒に行きましょう。
私、広場のマンゴー亭に
注文していたものがあるの。
ついでに肉まんでも食べましょう。


a2

二人はサラたちの部屋に
戻ってきた。

お帰りなさい。
と言われている。


a3

サラは、お土産のたこ焼きと
夢の見られる貝殻を持っている。

帰ってきて早々だけど、
ちょっと広場まで行ってくる。


a4

これは美味しそうなたこ焼きだね。

あ、サラ、今日は風があって寒いから、
暖かくしていったほうがいいわよ。


a5

さっそく二人は広場に出かけた。


a6

今年の干支はうま。
丙午か。


a7

マンゴー亭には先客がいた。


a8

ジャンとマークが、
馬のフィギアを並べて話し込んでいる。
ジャンがコレクションのフィギアを
マークに見せるために持ってきたようだ。


a9

注文していたもの出来てますか。

はい。これです。


a10

何なのそれ?

特別に鹿せんべいを焼いてもらったの。
ディアナとピリカへのお土産よ。
味見してみる?



解説)
続きます。
Posted at 20:07 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 19, 2026

新たな船出

a1

おはよう。
昨晩はちょっと
飲みすぎちゃったみたい。


a2

ダリオさんおはよ。

潮風が気持ちいいですよ。

みんな早起きなのね。


a3

昨夜は楽しかったわ。
みんなこれからどうするのかしら。

フミコはみすずの家に戻るって言ってたよ。
砂漠の家でラルゴとシェルが留守番してるから、
セリーヌたちはたぶんそこに帰る。
私は、まだ何も決めてないけど、
ヴィヴィアン次第ね。
彼女のお目付け役のつもりなの。
とアイスが言った。

本当は一緒に冒険がしたいんでしょ。
クックドゥーはどうするのかしら。

船長なら向こうのテーブルにいるわよ。


a4

クックドゥーとセリーヌは
海図を広げていた。

記憶だと、この海域の無人島に
クリスタル真珠があるんだ。

探しにいくんですか?

ずっとハリーさんたちにお世話になってたからね。
魔術劇場の皆さんにプレゼントしたいんだ。

クックドゥーさん、ちょっと。
とサラが声をかけた。


a5

やあサラ、何かな。

どうやら海に戻る気になったみたいね。

そうなんだ。
みんな帰っちゃうみたいだけど。
サラも行っちゃうの?

ええ。それで思いついたんだけど、
あなたの船旅のお仲間を誘ってくるわ。

そういうとサラは
鏡の扉に向かった。


a6

しばらくして、
サラは船に戻ってきた。
サラが連れてきたのは、
ジョー軍曹とエルザだった。

やあキャップテン。
去年のハロウィンでは
その海賊コートをお借りできて助かりました。
海賊は憧れだったんですよ。
とジョー軍曹が言った。

無人島で宝探しをするそうね。
ジョー軍曹は元上官。今では
仲のいい友達なので、お話を伺って、
私も寄せてもらいました。
とエルザが言った。

おお、
君たちでしたか。
やはり持つべきものは友人だなあ。


a7

クックドゥーは、
軍曹たちに船を案内している。

潮風が気持ちいいわね。

おや、なんの音だろう。


a8

エクレア号のマストに
帆がスルスルと張られ、
錨が巻き上げられて、
船は島の浅瀬から離れていった。


a9

船は目的地に進路をとったようで、
島が次第に遠ざかっていく。

海図の必要ないんじゃない?
とサラが言っている。



解説)
続きます。
Posted at 20:13 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 18, 2026

マーレとの会話

a1

夕暮れになり、
サラとクックドゥーは
沈む夕日を見ていた。

サラはクックドゥーに
マーレのことを知っているかどうか
尋ねた。

姿は見たことないですが、
島に貝殻を拾いに行くたびに、
誰かがいるという雰囲気は、
いつも感じていました。


a2

そこにマーレがやってきた。

あ、きてくれたんですね。

約束したからね。
クックドゥー、久しぶりね。
とはいえ、こうして直接会うのは初めてだけど。


a3

私はあなたが初めて島に来た時から
覚えているわ。
あなたが夢見る貝殻の虜になって、
やがて航海中に嵐で死んでしまって、
骸骨になって蘇ってからのことは、
トンピリビから聞いているの。

そーなんでしたか。

あなたの愛したこの船。このエクレア号も
あなたと運命を共にしたけれど、
あなたは改心して夢の航海を諦めたでしょ。
集めた夢見る貝殻もサラに譲ってしまった。

そーなんですよ。
海の思い出は封印したんです。

それで乗り手がいなくなったエクレア号は、
あなたと一緒に航海したいという願いを抱いて
貝の見る夢の海を彷徨っていたのよ。

そーなんですか。
それは知らなかったなあ。

生前の世界に執着したあなたが
貝の夢に人を誘う死霊になって蘇ったように、
エクレア号も意思をもつ夢食いのような存在になったの。

それでこの船の中で不思議なことが起こるのね。
あ、マーレさん。
そろそろ船室に入りませんか。
みんながお話を聞きたがっています。
とサラが言った。


a4

食堂にみんなが集まっていた。

大ダコのくれた足を調理したんですよ。
たこわさもタコの握り寿司もたこ焼きもあります。

素敵な歓迎をありがとう。
それではみなさん
質問をどうぞ。
とマーレが言った。


a5

私たちは、忘れられた夢の世界から、
このエクレア号に乗って、
船の進むままにこの島に辿り着いたんですが、
ここも忘れられた夢の世界の一部なんですか?
それとも隣り合った別世界で、
どこか途中で境界を越えてきたんですか。
とシノが尋ねた。

忘れられた夢の世界って
あなたたちが呼んでいるのは、
シモーヌさんのお婆さまが見ていた夢の世界。
お婆さまは病で亡くなられたけれど、
最後まで見ていたその夢の世界に魔法をかけて、
消えないようにしたの。
その世界の中でお婆さまは今も生きているとも言えるわ。
この島はお婆さまの故郷で、最後に見た夢の一部分。
そういう意味では二つの世界に境界はないとも言えるけれど、
遥かな海で隔てられている。
お婆さまの夢の中でもその深さが違う世界なの。
別世界って言ってもいいくらいにね。


祖母は、私と鹿のフィギアの精霊のディアナを
その忘れられた夢の世界の森に招いたんです。
私たちはそこで楽しい時間を過ごした。
ディアナだけその世界に取り残されてしまったけれど。
祖母が私にオウム貝の貝殻を渡したかったのなら、
なぜその時、夢の中で渡してくれなかったのかしら。
とシモーヌが尋ねた。

お婆さまはもう亡くなる間際で、
夢の中であなたたちに語りかける力を
持っていらっしゃらなかったのよ。
ディアナだけが夢に取り残されたのもそのせいね。
お婆さまは、それで貝殻のことを私に託されたの。


a6

お婆さまがマーレさんに指輪を託された時、
お婆さまはもう亡くなられていたのよね?
だとすれば、ここは一体。
とフミコが言った。

ここはお婆さまの故郷の島。
お婆さまにとっては夢の中だけど、
かって魔族の住む都があった実在の世界なの。
この島には古代の魔族たちのかけた
深い魔法がかかっている。
亡くなった魔族の魂はここに帰ってくるのよ。
フミコさん。
あなたも古代魔族の生き残りとか。
魔族が土地にかける魔法のことはご存知でしょう。

その影響で、グリーンマンや
マービーみたいな魔法生物が生まれるのよね。
とアイスが言った。

もしかして、あなたもそのお仲間?
古代の魔族がこの島にかけた魔法によって生まれた
魔法生物なの?
とヴィヴィアンが尋ねた。


a7

私のことはなんといえばいいかしら。
古代魔族がこの島に移り住んで都を開く、
もっとっずっと前からこの島にいるわ。

土地の精霊みたいなもの?
それとも、バルやバーンやスーラみたいな
元素の精霊?

いろんな精霊を知ってるのね。
もし私が精霊だとしたら、たぶん海や貝の精霊ね。
自分のことはよくわからないんだけど、
オウム貝の貝殻のベッドで眠り、
アンモナイトの貝殻で夢を見ているの。

アンモナイトの夢って、
どんな夢なんですか?
とシノが尋ねた。

ジュラ紀や白亜紀の思い出の夢よ。
恐竜たちも出てくる。


a8

質問攻めが一段落して
歓迎の宴も終わり、
アイスたちは甲板で休憩している。

ここに住んでいた魔族が、
魔法で貝殻に夢見る力を与えたって
噂があるらしいんですが本当なんですか?

また質問?
そうね。本当は少し違う。
もともとこの島の貝殻は夢見る力を持っていたのよ。
ここは精霊の宿った貝殻たちの墓所だったの。
島に来た魔族がそれを見つけて、
ここが特別な土地であることを知り、
この島に住むことを決めたの。
シモーヌのお婆さまのように、
事情があって島を離れた魔族は
故郷を偲ぶためにそんな貝殻を持っていった。
やがて島の魔族の都は滅び、長い時がたち、
離散した魔族が持っていた夢を見られる貝殻は、
人間の手に渡ることもあって、
手に入れれば、ひと財産築けると考える船乗りもいた。
だから何人もの冒険者が島のある場所を探しまくり、
運よく見つけた船乗りが、魔族の遺跡と関連づけて、
そんな噂を広めたんでしょうね。

クックドゥーもそんな冒険者の一人だった。
彼の場合は、貝の夢の依存症になっちゃったけど。


a9

クックドゥーは
これからどうするの?
また魔術劇場に帰って平穏に暮らす?

なんでもご存知なんですね。
海の世界のことは諦めたつもりだったんですが、
エクレア号に戻ると懐かしくて。

船が船長を失って途方に暮れて
夢の海を漂っていたので、
シモーヌさんを呼ぶのを手伝ってもらったの。
今は操舵する乗組員がいなくても自力で航海できる
立派な幽霊船になったのよ。

苦労をかけたんですね。
だったら乗組員を勧誘しなくても
一緒に航海ができそうだ。
また宝探しをしようかなあ。


a10

エクレア号はクックドゥーの言葉に応えるように、
一斉に船のあちこちに灯りを点した。



解説)
続きます。
Posted at 19:08 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 17, 2026

思わぬ出会い そのに

a1

サラたちは水辺で休憩している。

冷たくて気持ちがいいわ。
とフミコが言っている。

サラはアイスに、
水盤から現れたマーレから、
シモーヌが祖母の形見の貝殻を
渡されたことを話した。

お婆さまの望みだったそうよ。

なるほどねえ。
それが船がこの島に呼び寄せられた
理由だったんだ。

でもアイスがこの泉の中で
鏡の扉を見つけたのは、
別のことよね。

どこまでが偶然なんだろうね。


a2

マーレとマービーは
仲良くなったようだ。
マービーは小さな滝に打たれて
懸命に尾鰭を振っている。

楽しいわ。
こうしてると立ってるみたいでしょ。
私、こういうの初めてなの。

そういうのを
鯉の滝登りっていうのよ。


a3

しばらく時が経った。

あ、そろそろ戻る。
また遊びにくるね。

マービーは
みんなに手を振ると
水中に没していった。


a4

マーレはサラたちに
顔を向けていった。

そこの銀髪の方、
アイスさんっていうのね。
泉の中に隠されていた古い魔族の
鏡の扉を見つけるなんて素晴らしいわ。
マービーは水没した地下都市で暮らす魔法生物。
あなたのおかげでいいお友達になれた。


a5

さてそろそろ私も戻るわ。
お婆さまとの約束も果たせたし。

あのー、山ほど質問したいことが
あるんですけど。
とサラが言った。

ふーん。
いいわよ。
じゃあ日暮にでも船に伺うわ。

そういうと、
マーレの姿は水中に没していった。


a6

サラたちも船に戻ることにした。


a7

船の近くの砂浜に
大きな亀のような動物がいるのを
サラが見つけた。

これはなあに?

クリプトドンっていうらしい。
新生代の生き物で、アルマジロの仲間ですって。
今朝、砂浜で魚を獲ってる時にも見かけて、
セリーヌが教えてくれたの。
砂漠にも居たって言ってたわ。
とアイスが言った。

砂漠にもいた古代の生き物か。ということは、
この島にも恐竜がいるのかしら。


a8

船に戻ると甲板にシノたちがいた。
たこ焼きを食べているようだ。

お帰りなさい。
今出来立てよ。
とセリーヌが言っている。


a9

程なく、
ヴィヴィアンが島の視察から戻ってきた。


a10

ヴィヴィアンは、アイスとサラから
遺跡で起きた出来事を聞いている。

島の上を飛んでゆっくり回ってきたけど、
特に何も見つからなかった。
その間に面白そうなことが起こっていたのね。
フミコと、向こうにいる
シモーヌさんも島に来てたなんて。

あなたとは初対面だけど、
噂は色々聞いてるわ。
とヴィヴィアンはシモーヌに声をかけるように言った。

私も。ヴィヴィアンさんのことは色々と。
ご両親にもお会いしたんですよ。
とシモーヌが言った。

そうらしいわね。
魔族の仲間と知り合うのは嬉しいけど、
そのマーレっていう女性は、何者なの?
古代に魔族の都があった島の住人なら、
やはり魔族の末裔っていうことかしら。

わからない。
夕暮れ時に船に来てくれるっていうから、
その時に尋ねてみましょう。

このたこ焼き美味しいわね。



解説)
続きます。
Posted at 20:03 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 16, 2026

思わぬ出会い

b1

驚かせちゃったかしら。
ご丁寧な挨拶をありがとう。
礼儀正しい魔族の方ね。
私の名はマーレ。


b2

あなたたちのことは
トンピリビから聞いています。
あなたがシモーヌさんね。
顔立ちがお婆さまによくにてらっしゃるわ。
そうそう。
あなたにお渡しするものがあるの。


b3

そういうとマーレの姿は水中に没し、
程なく貝殻を二つ手にして浮上してきた。


b4

このオウム貝の貝殻は
シモーヌさんのお婆さまから預かっていたもの。
孫のシモーヌがいつかここに来たら、
渡して欲しいと頼まれたのよ。

祖母がそんなことを。

お婆さまはこの貝殻をあなたに譲るつもりでいたの。
でも病で倒れてそのことが果たせなかった。
そのことが心残りだと言って、
最後に見た夢の中で、私に託して逝かれたのよ。
孫のシモーヌには、自分がそうしてきたように、
時々、この貝の夢を見て故郷を偲んで欲しいって。

祖母がそんなことを。


b5

これで約束が果たせたわ。
あ、あなたがサラね。
これはあなたが、
昨日ここに戻してくれた貝殻。
あなたの優しい気持ちはよくわかったけれど、
この貝殻はもうあなたのもの。
また手元に置いて、時々は潮騒の音を聞いてあげて。

いいんですか?
トンピリビは、これで貝が安らかに眠れるって、
言ってましたけど。

それは嘘じゃないけど、忘れられた永遠の眠りよ。
人間に潮騒を聞いてもらえることで貝の思い出も蘇る。
この貝も、心の優しいあなたに、
そうして欲しいって希んでいるの。

そ、そうなんですか。
じゃあ喜んで頂戴して大事にします。
ところで質問してもいいですか?

何なりとどうぞ。

マーレさんって、
ちゃんと両足があるんですね。
さっきすごく気になったんですけど。

そこなの?
あの大きなオウム貝は
私のベッドのようなもの。

その時、泉の方で、
水しぶきが上がる音がした。

あ、アイス、
戻ってきたんだ。


b6

一行が降りていくと、
泉には見知らぬ女性の姿があった。

あれは誰?


b7

女性はもの珍しそうに
周囲を見回している。


b8

やがてアイスも水中から
浮かんできて顔を見せた。

やあ。
つい話し込んじゃって遅くなっちゃた。
この人はマービーって言うんだ。

と言っている。

マービーも
どうぞよろしくと言っている。


b9

アイスはサラたちに説明している。

やはり泉の底の方の岩陰に、
常設タイプの鏡の扉があったのよ。
そこを抜けると、
フミコの住んでいたアフリカの遺跡の
今では水没している地下都市の中の
民家の屋内につながっていたの。
そこで以前調査した時知り合ったマービーに再会して、
久しぶりなんで話し込んじゃってね。

水の中なんでしょ。

レプティリアンたちが使う
空気のある部屋があるのよ。
あれ、あそこにいるのは?
とアイスが尋ねた。


あの人はマーレさん。
素性はよくわからないけど
この島の住人みたいで魔族か精霊みたいな感じがする。
夢見る貝のこともよく知ってるみたいだったわ。

マービーとマーレは
何やら話しているようだった。



解説)
続きます。
Posted at 20:25 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 15, 2026

遺跡にいく

a1

4人はさっそく遺跡に向かった。


a2

ここがそうよ。
石造りのアーチに囲まれた、
小さな泉があるの。

ふーん。
確かにあの石組みは、
古代の魔族の建築様式ね。


a3

フミコは挨拶の呪文を唱えている。
応えるように不意に風が吹き、
木々の梢がさわさわと葉ずれの音を立てた。


a4

こんな絶海の孤島みたいなところで、
文明が栄えてたなんて不思議な気がする。

魔族たちは便利な道具を
使いこなしていたからね。

あ、鏡の扉のことね。
あれがあれば確かにどこにでも行けたはず。

古代の都には、魔族でなくても使えるように、
特定の場所に行ける常設式の扉があったの。
当時、アフリカで栄えていた
私たちの都とも繋がっていたかもしれない。
でも戦争の時、レプティリアンたちによって、
見つかり次第徹底的に破壊されてしまった。

あら、アイスどうしたの?


a5

今の話を聞いていて、
ちょっとこの泉が気になってね。
彼らに見つからないように扉を設置するなら、
どこにするかなって。
確かレプティリアンたちは
水が苦手だったはず。


a6

ちょっと潜って確かめてみるわ。

さすがアイス。
気をつけてね。


a7

アイスなかなか戻ってこないね。

あのうえはどうなっているの。
とシモーヌが言った。

あ、説明し忘れてた。
この泉の水源となってる
湧き水が出てくる水盤があるのよ。


a8

3人は石段を登って行った。

ここって祭壇の跡なの?


a9

フミコはまた
挨拶の呪文を唱えている。


a10

すると、
水の中から大きなオウム貝が浮上し、
貝の中から女性の姿が現れた。

その女性はフミコたちに
顔を向けた。



解説)
続きます。
Posted at 20:08 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 14, 2026

島の話など

a1

アイスはみすずの家にやってきた。

アイス、今年は初めてね。
おめでとう。
フミコ?
ミミコと部屋にいるわよ。


a2

魔族の都の話?
ちょうどシモーヌが遊びに来てるから、
そっちで話しましょう。


a3

アイスさん、去年はお世話になりました。
今年もどうぞよろしく。
とシモーヌが言った。

常春の国を一巡り散歩してから、
お城で別れたんでしたね。
フクロウたちは元気ですか?

みんな元気よ。
歓迎会はやめてって言ったのに、
フクロウたちに引き止められて
結局お城で年末年始を過ごしちゃった。
ひと月ぶりにここに来たの。


a4

ディアナも話を聞きにやってきた。

それで魔族の都の話って?

アイスは、ヴィヴィアンと二人で、
北の海辺で見つけた海賊船を調べていたら、
船がかってに動き始め、
小島にたどり着いたことを話した。

そこは海の夢が見られる貝殻の採れる島で、
何度も訪れたことのある船長の話によると、
昔、魔族の都があったという噂があるんですって。
確かに島にはそれらしき遺跡があるの。
そんな古代の都のこと知ってる?

大昔には、
魔族は世界のあちこちで繁栄していたから、
そういう島もいくつかあったわ。
でもレプティリアンたちの戦争に巻き込まれて、
その時にほとんど滅びたのよ。
とフミコが言った。

今、海の夢が見られる貝殻って言ったでしょ。
とシモーヌが言った。

ええ。


a5

私の祖母も、そういう貝殻を持っていたわ。
気分が沈んでいるとき潮騒を聞いて眠るって言ってた。
それを聞くと、故郷の夢が見られるっていうのよ。

その貝殻はどうしたの?

小さなオウム貝の貝殻
探したけれど遺品の中には見つからなかったの。

ふーん。それでなんとなく謎が解けてきたわ。
と話を聞いていたアイスが言った。

え、どういうこと?

あの島は、多分あなたのお婆さまの故郷。
お婆さまは、あの島に暮らしていた魔族の末裔だったのよ。
この忘れられた夢の世界が、
お婆さまが亡くなる間際に見た夢の世界だとすれば、
その夢に思い出の故郷が繋がっているのもわかる。

どうして船がそこに向ったのかな?

きっと何かわけがあるはずね。
シモーヌ。あなたも一緒に行ってみましょうよ。


a6

キッチンに出向いて、アイスはヤッピーから
サラに頼まれた醤油を借りている。

これですね。

ありがと。
また補充するから、
半分分けてね。


a7

3人で島に向かうことなった。

この世界には、まだまだ
謎が多いわね。

海があることも
知らなかったですし。

とみすずとディアナが言っている。


a8

3人が鏡の扉を抜けると
そこは船室だった。

早かったわね。

そちらこそ。
忘れずにお醤油持ってきてくれた?
とサラが言っている。


a9

サラはシモーヌとフミコを
みんなに紹介している。

ヴィヴィアンはまだ島の調査から
戻ってないけど、これで船にいる全員よ。
キャップテン・クックドゥーや
シモーヌさんとは、初対面の人もいるわね。

クックドゥーって
お料理が得意そうなお名前ですね。
とシモーヌが言っている。



解説)
続きます。
Posted at 20:10 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 13, 2026

朝の出来事

a1

船で朝食が始まった。


a2

結局捌いたのは一種類だけか。
食べられるのかなあ。

私はバナナとイチゴで充分。
アイス味見してみてよ。
とサラが言っている。


a3

その時、
何かがぶつかる音がして、
船が揺れた。

ダリオ、どうしたの?

それがまたあのタコが。


a4

タコが船に迫っている。

あ、ごめん。
引き寄せの呪文を解くのを忘れてた。
とヴィヴィアンが言っている。


a5

ヴィヴイアンは呪文を唱えている。
その上、何か会話しているようだ。


a6

タコは去っていった。

どういうことだったの。

タコは自分の体が思い通りにならず、
船に引き寄せられていくので
パニックになっていたわ。
解放してあげたら喜んでいた。
お礼に足を一本くれるって。


a7

セリーヌは鉈で
タコの置いて行った
足を切ろうとしている。

足を一本くれるなんて
大サービスだね。

タコの足って
また生えてくるのよ。

タコわさにしましょうか。

たこ焼きがいいなあ。


a8

さっき思いついたんだけど、
フミコを呼んでこようと思うの。
とアイスが言っている。

魔族の都のことならきっと詳しいし、
この島のことも知ってるかもしれない。

それも一案ね。
私は空から島を一巡りしてみる。
山の向こう側も見てくるわ。
とヴィヴィアンが言った。

私は家に帰って
広場でわさびを買ってくる。
あ、お醤油はみすずのところにあるから、
アイスに頼むわね。
とサラが言っている。


a9

どうも調子が狂うわねえ。
と言いながら、
ヴィヴィアンは飛んでいった。



解説)
続きます。
Posted at 20:13 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 12, 2026

朝食の準備

a1

おはよう。

今日もいい天気ね。


a2

ダリオさんおはよ。
アイスたちは?

朝食用に魚を獲るって
出かけましたよ。


a3

二人は様子を見にいくことにした。

あ、浜辺の方にいるかも。
ここから砂浜が続いているのよ。


a4

波がきれいね。


a5

やがて波打ち際に、
アイスとセリーヌの姿が見えた。


a6

随分獲れたのね。

変わった魚類ばかりだけどね。
食べられるのかな。

ヴィヴィアンと
クックドゥーは?

岩場の方に行ったみたいだよ。


a7

ヴィヴィアンは
魔法で魚類を引き寄せていた。

便利な魔法ですなー。

最近覚えたの。
私のパワーは増している。


a8

見慣れない魚類が集まってくる。

とても食べられそうもないわね。


a9

ヴィヴィアンさん。
あのタコが。

引き寄せられてきたのね。
もう船に戻りましょう。



解説)
昨日は画像テキストは制作してあったものの、
アップするのを完璧に忘れていて、
パスしてしまいました。
Posted at 20:01 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 10, 2026

遺跡のことなど

b1

一行はそれぞれ
海景を満喫している。


b2

海を見ていて思いついたんだけど、
この貝、さっきの水盤に戻そうと思うの。

海の夢が見られる貴重な巻貝なんでしょ。
とアイスが言った。

そうなんだけど、
貝の見せてくれる夢は、
きっと貝の思い出の世界なのよ。
ということは、もともとこの貝は、
この島で生きていたんじゃない?
故郷に帰してあげようと思ったの。

そうかもしれないけど、
そうじゃないかもしれない。
でも思いついたのなら実行すべきね。
とヴィヴィアンが言った。


b3

サラは水盤まで戻っていって、
巻貝を水盤の中にそっと戻した。


b4

するとトンピリビが飛んできて、
石段の上に止まった。

良いことをしましたね。
これで巻貝も安らかに眠れると思います。

あら、あなた人の言葉が話せるの?

モノマネ鳥は仮の姿で、
私は精霊なんですよ。
この島でクックドゥーと出会って以来、
ずっと彼に付きそっていますが。

あの木の上で、
ずっと私たちの行動を見てたのね。
それに、前に私の見た夢にも出てきたでしょう。

そうですね。
この島は、確かにあの巻貝の故郷。
私の故郷でもあるんです。

今ここは夢の中じゃないのよね。
でもどうしてこんなことに。

この島のことなら、
クックドゥーに聞くといいですよ。


b5

クックドゥーか。
そういえば彼は、
島影を見ても特に驚かなかったわね。

ダリオと二人で船で留守番するって言って
上陸も辞退したわね。


b6

とりあえず一行は
船に戻ることにした。

ヴィヴィアンは空が飛べていいなあ。
とシノが言っている。


b7

船に戻ると、
夕暮れになっていた。

お帰りなさい。
もう夕食の支度ができてますよ。
とダリオが言っている。


b8

みんなで夕食のテーブルを囲んでいる。
アイスがリュックに詰めてきた食材で、
調理された料理が並んでいる。

それでさあ。
クックドゥー。
あなたがこの島のことを知ってるって、
トンピリビが言ってたわよ。

あ、そうでしたか。
実はそうなんですよ。

島に上陸しなかったのにも
訳があるんでしょう。

実はそうなんですよ。
私がこの島を見つけたのは遥か昔、
まだ私が生きていてバリバリの
海賊船の船長をやっていた頃のことです。
海の夢が見られる貝を拾える島があるという、
船乗りたちの噂を聞いて立ち寄ったのですが、
確かにその通りで、
私はその夢の虜になりました。

それで溺死してからもその夢の中に、
生者を船員として勧誘しようとしていた。

そうなんですよ。
私にとっては自分の運命を狂わせてしまった、
あまり思い出したくない島だったんです。
でも生前何度も通いましたから、
このエクレア号がその島に向かっていると知っても、
驚きはありませんでした。
この船に魂があれば、そこに行くだろうなと。



b9

アイスとヴィヴィアンがこの船を発見して、
久しぶりに乗員を乗せた船は喜んで
本能的にこの島に向かったというわけね。
とサラが言った。

そういう比喩が正しいかわかりませんが、
こいつはそういう奴なんですよ。
ちなみにエクレアというのは、
フランス語で稲妻という意味です。
かっこいいでしょう。


b10

でもエクレア号が、
どうして忘れられた夢の世界の岸辺に
停泊していたのかしら。
その船は嵐で沈没したんでしょう。

夢の中では不滅なんですよ。
貝のみる夢の中では私と一緒にいて、
募集して契約した船員たちと一緒に
宝探しの航海を続けるんです。
というつもりでしたが、
ヴィヴィアンさんに諭されて悔い改めたんです。

そうだったわね。

私はあの遺跡が気になるわ。
島に古代文明があったっていう名残でしょ。
何度も島に来たのなら、クックドゥーさん、
何かご存知ないの?
とシノが言った。

大昔に魔族の都があったっていう
話は聞いたことがあります。
その魔族が島の巻貝に魔法をかけて
故郷を夢見る力を与えたっていうんです。
確かめようのない噂話ですが。
とクックドゥーが言った。

元は魔族の住んでいた島か。
島全体に魔法がかけられている
可能性はあるわね。

それで私たちが招かれたとか。

まさか。
だったら住人がいるの?

とりあえず
何か手掛かりがないか、
明日からゆっくり探索してみましょう。



解説)
続きます。
Posted at 21:02 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 09, 2026

島に行く

a1

サラはみんなに集まってもらって
話をしている。

ここは私が夢で見たことがある世界よ。
キャップテン・クックドゥーから頂いた巻貝を、
耳に当てて眠って見た夢の景色にそっくりなの。


a2

サラは部屋から持参した巻貝を
みんなに見せている。

それでその夢の中では、
どんなことが起きたの?

森の斜面を登って行って、
山の中腹で遺跡を見つけて、
そこの水盤の中から、
別の巻貝を拾ってくる夢だった。
目が覚めると、
その巻貝を握りしめていたの。

変わった夢だね。

その巻貝もやはり、耳に当てて眠ると
潮騒の音に誘われて夢を見られる貝で、
モモコに貸したこともあったのよ。
モモコは別の夢を見たみたいだけど。

さっそくその遺跡に
行って見ましょう。
とセリーヌが言った。


a3

一行は森の中の斜面の細道を
登っていく。


a4

程なく泉のある遺跡に到着した。

何も変わっていないわ。
とサラが言っている。


a5

この水はどこから湧いてるの?

その上に水盤があって、
そこから湧き出ているはず。

変わった風景ね。
あれは何?
とシノが言っている。


a6

あれはトンピリビじゃない?
クックドゥーの飼ってるオウムよ。

船から飛んできたんだね。


a7

あったあった。
ここから水が湧いているの。


a8

懐かしいわ。


a9

ここは日陰で涼むのに最適ね。

どんな人たちが作ったんだろう。
あ、夢の中だから考えても無駄か。
あっちにもアーチが見えるね。
とアイスが言った。


a10

3人はアーチの方に歩いて行った。
シノとセリーヌが出迎えている。

アーチの上には用水路があって、
水道橋になってるのかしら。
古代文明があったっていう雰囲気ね。
夢だけど。
とシノが言っている。



解説)
続きます。
Posted at 20:01 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 08, 2026

海の世界で そのに

a1

シノは水平線を見ていた。


a2

なにか発見したようだ。

あれは陸地よ。
みんな来て見て。


a3

水平線にくっきりと
陸地が見えた。


a4

見たところあの陸地は島のようね。
船はあそこに向かってるみたいよ。

目的地っていうことかしら。


a5

ちょっと様子を見てくるわ。

ヴィヴィアンは翼をひろげ、
島に向かって飛び立って行った。


a6

やがてエクレア号は
島の浅瀬に停止した。
碇が降ろされ、不思議な力で
するすると帆が巻き上げられていく。


a7

一行が上陸すると、
浜辺にはヴィヴィアンが待っていた。

どんな様子だった?

ざっと上空から見ただけだけど、
そんなに大きな島じゃない。
森に覆われているみたいね。


a8

この辺り透明度が高いね。

私、この景色見たことがある気がする。
とサラが言った。

え。
それはないんじゃない?

夢で見たのよ。
貝殻の潮騒の音に誘われた夢の世界で。


a9

きれいな潮溜まりがあるよ。
フナムシもいるみたい。
とシノが言っている。

サラはこの景色にも
見覚えがあった。

あの夢と同じ世界だわ。
だとすれば、この岩場の先には、
森があって遺跡に続く道があるはず。



解説)
続きます。
Posted at 20:14 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 07, 2026

海の世界で

b1

タコはエクレア号に
よじ登ってきた。


b2

船は左右に揺れている。

シベールは
銃を構えている。


b3

私に任せて。

ヴィヴィアンが前に進み出て
両手を広げて呪文を唱え始めた。


b4

タコはかっと目を見開いて、
ヴィヴィアンを見つめた。


b5

やがて、タコはずるずると
甲板から身を引くと、
海中に没して行った。

ヴィヴィアン。
何か話してたの?

船が珍しくて様子を見にきたみたい。
敵意がないことが伝わったみたいで、
帰って行ったわ。

十分ありすぎたんで、
引き下がったんじゃないの?

それはどうかしら。


b6

シノはまた何か見つけたようだ。
あれ、あそこに。

今度は何?


b7

魚の群れが海面から飛び上がり、
すれすれに滑空していく。

綺麗だねー。


b8

サラはお土産に持参した
バナナとイチゴを食べている。

セリーヌさんは
勉強熱心ね。
それ恐竜図鑑でしょ。

よくご存知ですね。
レイチェルさんから
お借りしたんですよ。

古代の魚類も載ってるの?

載ってるけど、
さっきの魚は見つからないですね。


b9

シノは船首で水平線を見ている。



解説)
続きます。
Posted at 20:05 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 06, 2026

海の世界へ

a1

アイスとサラは
エクレア号にやってきた。


a2

新年おめでとう。
年末年始に変わったことなかった?

特に何もないですよ。
陸地も見えず、天気も穏やかで
至って平穏です。


a3

サラは海景を眺めている。


a4

甲板を歩いていくと、
シノとセリーヌに出会った。

あ、サラ、また会えたね。
とシノが言っている。

サラはセリーヌを紹介してもらった。


a5

アイスはヴィヴィアンたちと話していた。
さっそくお土産の片口鰯を肴に
ワインを飲んでいる。

この海でも魚が獲れるかな。

どうだろうね。
船がどんどん進んでいくので、
試したことないけど。


a6

そこにサラがやってきた。

ヴィヴィアンに船長さん。
あけおめ。
あ、もう飲み始めてるのね。
と言っている。


a7

シノは何かが近づいてるのを
発見した。

あれはなんだろ。
みんな来て見て。


a8

あれはタコ足よ。


a9

それは巨大なタコだった、



解説)
続きます。
Posted at 20:06 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 05, 2026

仕事始めなど

a1

カルタ取りが終わり
みんなは寛いでいる。


a2

たまきが一番か。
賞品は大きいみかんだよ。


a3

羨ましいなあ。

ほんとにそう思ってる?


a4

喫茶ペンギンが営業を始めていた。


a5

洗濯したら
新品みたいになったわ。

リズはメイド服がお似合いね。


a6

ミルフィーユは
また外の席に来ていた。

あったかくしてきた、
と言っている。


a7

アイスは鏡の扉のある
サラたちの部屋に来ていた。

また出かけるのね。

そうなの。
あ、おいしそうな
片口いわしが。


a8

この干物は年末に大量に買ったので、
まだ随分あるのよ。

その貝殻は?

ああ、これは一昨年クックドゥーから頂いたの。
耳に当てて眠ると、潮騒の音に誘われて、
海の夢が見られるのよ。
この前アイスが海の話をしてたから
懐かしくなって出してきたの。

ふーん、だったら
サラも船に行ってみない?


a9

サラは一緒に行くことにして
さっそくセーターを脱いでいる。

これ甘辛くて美味しいね。
ワインにも合いそう。

だったらお土産に
持っていきましょう。



解説)
続きます。
Posted at 20:22 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 04, 2026

お正月の風景 そのに

a1

ジェニーたちの部屋では
カルタ取りが続いていた。

読み札は残り少なくなっている。


a2

「犬も歩けば棒に当たる」


a3

カルタ取りは熾烈さを増していた。


a4

モモコ大丈夫?


a5

今の私が早かったでしょ。

これ以上は危険だから
そろそろやめましょうか。


a6

広場でも凧上げが続いていた。


a7

リズが佳奈に声をかけた。

佳奈、休暇楽しんでるみたいね。
明日からバイト再開よ。

あっという間ね。
リズはアキバで買ったあの服着て
お店に出るの?

いえいえ。メイド服よ。
休暇中に洗濯したから
そろそろ乾く頃なの。


a8

ベランダでは、
マヤと今井舞が話していた。

その黒い服、メイド服ね。


a9

ペンギンでバイトしてるリズが
いつも着てる服よ。
店内は喫煙者が多いからって、
洗濯したみたい。

今時そんな喫茶店があるのね。


a10

ベーカリー前で
アイスとルビーが話している。

また出かけるの?

忘れられた夢の世界の船のことが気になってね。

船にはヴィヴィアンがいるんでしょう。
心配ないんじゃない?

だからかえって心配なのよ。
あの人魔法で何するかわからないから。

結局一緒に冒険したいわけね。



解説)
続きます。
Posted at 19:26 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 03, 2026

お正月の風景

a1

広場では凧上げが
始まっていた。


a2

凧は新春の風を受けて
はためいている。


a3

はるなと佳奈が
あやつっているようだ。


a4

お正月の風物詩ね。


a5

凧たこあがれ~🎵


a6

ジェニーたちの部屋では、
カルタ取りが始まっていた。


a7

みんな真剣な面持ちで
絵札を見つめている。


a8

読み上げているのはジェニーだ。

「よそ見する子は、」


a9

「よくころぶ」

たまきが猛然と
身を乗り出して札を取った。


a10

そんな諺あったっけ。

これ新種のかるたなのよ。



解説)
続きます。
Posted at 20:10 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 02, 2026

コンテストの結果発表など

a1

ジェニーたちの部屋では、
みかんを食べていた。


a2

お正月だから、
久しぶりにカルタでもやろうよ。
とモモコが言っている。


a3

ナオミたちが帰ってきたらね。

あら、二人でどこに出かけたの?

近所のお稲荷さんまで
初詣だって。


a4

ナオミと文学青年は
初詣を終えて広場に来ていた。


a5

ナオミははるなたちと
挨拶している。


a6

子供達は、文学青年から
お年玉をもらっている。


a7

12月のコスプレコンテストの
優勝者発表のアナウンスが始まった。

みなさん。
先月のコンテストの優勝者の発表をします。
厳正中立な審査の結果、
優勝したのは、白いフード付きの
うわっぱりを着た中野佳奈さんです。


a8

佳奈やったね。


a9

佳奈は、偶然近くにいた人々の
万雷の拍手と喝采を受けて
トロフィを授与されている。

おめでとう。

ありがとうございます。
でもどうして私が。

あなた優勝したことがないって
嘆いていたでしょ。


a10

ルビー先輩の推しだったのね。
やっぱり持つべきものは先輩だなあ。

そういえば、
この中で優勝したことがないのは
私だけになっちゃったか。
とはるなは思っている。



解説)
続きます。
Posted at 20:09 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 01, 2026

年の初め

a1

あけましておめでとう。


a2

二人で頑張って
おせちつくったのね。

ナオミ、その片口鰯。

これおつまみの味がするよ。

まずはお屠蘇を。
などと言っている。


a3

そこにあるのはお年玉?

広場によく来る
子供達にあげるんだ。

ああ、すずちゃんと圭ちゃんね。

たまきその盃大きすぎない?
などと言っている。


a4

サラたちの部屋でも、新年の挨拶が
交わされていた。

あけおめ。
今年もよろしくね。


a5

この黒いおせちの重箱新しくない?

最近ガチャで買ったのよ。


a6

広場にも新年の日差しが
降り注いでいた。


a7

佳奈とはるなは、
狐の駒井姉妹と挨拶している。

おめでとうございます。


a8

それって晴着なんですか?

これは巫女の装束よ。
お正月は奉仕活動で結構忙しいの。
皆さんもお稲荷さんに
初詣に来てね。


a9

アイスとソローも挨拶している。

郊外まで行く人力車、
まだやってるの?

紅葉シーズンも終わって、
随分暇になりました。


a10

いよいよ新年ですね。
月が変わって12月のコンテストの発表は?

今日は元旦だし、
明日にしましょう。

先月は新規の参加者がいなかったから、
また地元の人から
選ぶことにになりそうですね。



解説)
続きます。
Posted at 20:01 in n/a | WriteBacks (0) | Edit
February 2026
Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
Search

Categories
Archives
Syndicate this site (XML)

Powered by
blosxom 2.0
and
modified by
blosxom starter kit

新規投稿