Nov 11, 2006

「炎上」と「薪尽き」

「私が ぜんぶ焼かれる
足の先から 髪の毛まで この体すべて
骨のその芯までも 心も魂も
私が ぜんぶ焼かれる
         


いま すべてが焼かれていく
棺の中で目を閉ざし
私は燃え上がり
まっすぐ上昇する」

「あおむけにまっすぐにねて
厚い鉄の扉がひらいて
係員が一礼して
ゆっくり中に入って行く
日本人はみんなジャンヌダルクだ
さよならわたしはどこへいくのか」

上は森山恵さんの「炎上」の一部、下は有働の「薪尽き」の全部である。昨日、頂いた詩集『夢の手ざわり』(2005年、ふらんす堂)を読んでいてこの作品に出会った。想像力の近親性に驚く。発展の仕方は違うが。森山さんは魂の上昇を幻視するが、私は焼き釜の中でうろうろしている。思うに森山さんの作品は純粋に想像力の生み出したもの、わたくしのほうは、長兄の火葬というじっさいの経験から出たもので、まだ、事実の厳しさにうろたえている状態から抜けきれず、想像力が高まって行けないのだ。優劣ではなくて、コンセプトの違いだと思う。<薪尽き>という言葉はさる上人の入滅の記録から借りてきたもの。
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