Mar 28, 2008

谷口謙詩集『惨禍』

最近送られてくる詩集の中ではきわだって分厚い。茶色を基本にしたベースに石あるいはコンクリートの壁の地肌を思わせる部分を配した装丁がある思いを喚起する(装丁直井和夫)。それを言葉で言うのは難しいが、あえて言えば、精神の継続性と言えばいいのか。自分のやってきたことから逃げない、物静かさ。この1冊に向き合うと、何か鬼気迫るものがあると感じられるのは、その気がここに満ちているからに違いない。内容はいつもと変わらぬ、警察医として死体検案書を書くにいたった人、ひとりひとりの無駄のない簡素な記録。要するに、異常な死を迎えた人の死体の記録。たとえば頭が取れ、足が切断されたぐちゃぐちゃな死体に向き合う。80歳を超えて、最終行に初めての経験と記されている。医者の中でも特に特殊な仕事を日々成し遂げていく人の、個人的な感情の極端に切り捨てられた、そしてその記録性が、一種のリズムとも、文体ともなっている、ほかに類を見ない詩。谷口さんとはもう長いお付合いである。先生、良い詩集です。先生もきっと達成感を感じられていらっしゃるのではないでしょうか?読むほうも、そうです。これだけの人々の死の上に立った言葉に、何か信仰に似たようなものさえ(信仰に無縁なものにとっても)感じます。
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Mar 24, 2008

ポエトリー・ボイス・サーキット198 『雪柳さん』を読切る

4月11日(金)に1回めと同じ東京ユマニテで第3詩集『雪柳さん』を読みます。皆さまのご参加をお願いします:
天童大人プロデュース Poetry Voice Circuit 198 ―目の言葉から耳のコトバへ― 有働薫 第3詩集『雪柳さん』(ふらんす堂刊) ~コトバと ゆきやなぎと 怒涛と~ 時:4月11日(金)午後6時30分開場 7時開演 所:ギャルリー東京ユマニテ(GTH) ℡03-3562-1305 〒104-0031東京都中央区京橋2‐8‐18 昭和ビルB1 地下鉄銀座線京橋駅⑥番出口徒歩1分  明治屋斜め向い昭和ビル地下1階or東京駅八重洲口から徒歩8分 入場料:予約 大人2500円 学生(学生証提示)1500円     当日 大人2800円 学生(学生証提示)1800円 予約は直接会場に電話03-3562-1305 or メールhumanite@js8.so-net.ne.jp あるいはプロデュースの北十字舎 電話03-5982-1834 or Fax03-5982-1797 へお申し込みください。 (写真) 「trans」成瀬功
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Mar 20, 2008

『ウラン体操』を読んだ夕べ

18日に広尾の画廊「華」で『ウラン体操』1冊を読切った。版元のふらんす堂社長山岡さんが聴きに来てくださり、スナップがふらんす堂のホームページ内のブログ編集日記 http://fragie.exblog.jp/ にアップされているので、よろしかったらたずねてみてください。編集日記の3月18日の欄にあります。これで心置きなく2冊の初期詩集に封印をほどこすことができる。ちゃんと弔いをしてやれず、死に切れずにうごめいていた言葉たち。さあ、安らかに眠りなさい。と、いまやしんから声をかけることができる。助けてくださった方々に心から感謝します。声は、コトバは、発する・受けるが両方同格です。フランスの詩人たちの間では、詩を聞く力のある人は、詩を書く人以上に尊敬されています。詩を受取る力がいかに大切か。そのちからをみがく機会が与えられて生き返った思いがしています。
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Mar 17, 2008

成瀬山

町田市と横浜市の境に位置するこの地域。なんでも小田急玉川学園前駅からこの地域をつなぐ道路の道幅の中心から片側は町田市、もう半分は横浜市に入るのだそうだ。東京都の地図の南側の縁に盲腸のような突起があって、これがこの地域。天気予報などは神奈川を見たほうが当たりやすい。家から10分ほどの場所に「成瀬山」という小さな山林がある。この林の中に入ると、周囲が新しい住宅の裏側に囲まれている。本当に残り少ない天然の緑地なのだ。ここの丘の上のどんぐりの林の中で、去年の暮れから発声練習をしてきた。午後になると、犬を散歩させるひとがときどき入るので、ひとに会わない午前中の晴れた日にきっかり1時間。天童さんの意見では「有働さんはまだ30分」なので、それを倍の時間声が持つようにトレーニング。今日もこれから行く。
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Mar 11, 2008

猫トイレ

この冬は久しぶりに冬らしい寒さで、廊下やキッチンのリノリユウムの床がすばらしく冷たかった。冬の初めに小さいほうの猫が風邪を引いて、目やにと鼻をジュクジュクさせて見るだけでかわいそう。前足を握ってみると、氷のように冷たい。病院に連れて行こうかと思っているうちに、自力で治した。その後は、年寄りのお姉ちゃんと交代でトイレを使う、その頻度が3倍ほどアップ。毎朝掃除が欠かせなく、サボっていると、お尻がぬれた砂に触るのが嫌いらしく(人間だってもちろん)、周りの乾いたマットの上にお漏らしされたりするので、極力トイレの管理が不可欠な冬でした。現状も同じだが、失敗は少なくなってきた。
ほんとによくトイレと付き合った冬だった。
それでJR成瀬駅のトイレに入ったとき、掃除の行き届いているのにびっくりした。こんな気持ちの良い公衆トイレを使わせてもらったのは久しぶりだな、と、誰に感謝すればいいのか。「地上5センチの恋心」という映画を友人と見たばっかりで、そのヒロインの気持ち、年齢からして、「恋心」のところを「幸せ」に書き直して胸に暖めている。

  大試験トイレのきれいな駅である  かおる

句会で取ってくださった方々に感謝!
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Mar 05, 2008

カポエイラ式腹筋

床に伸びて頭の後ろに両手を組んで上半身を持ち上げる、この運動を繰り返すというのが、古典的腹筋運動で、冬の間はこれを続けてきた。が、どうもつまらないし、すぐに飽きてしまう。早く回数だけこなしてやめたいという気持ちばかり先に立つ。
先日からは新しい腹筋方法を見つけた。それが「カポエイラ」で、立ったままできるのがまず気持ちよい。マルチニックあたりのサトウキビ農園の労働者たちが労働の合間にやる踊りの一部なのだそうだ。ルーツは、農園主の白人たちの暴力に対する防衛法として考え出された身のこなしだというからおどろき。腹筋鍛錬の部分は、片足を後ろに引いてから、その足を思い切り前に蹴り出す。蹴りだした足をからだに巻きつけるように回すからこのとき腹部がぎゅっとねじれる。これが腹部の筋肉運動になる。左足10回、右足10回蹴りだせば、1日のメニューは終了。この手早さもいい。足を前に蹴るときに同じ側の腕を顔にかざして顔を保護する。殴られるときに本能的にとる防御の姿勢。踊りはこの動作を含んでからだをぐるぐる回すとか飛び上がるとか、激しく機敏な身ごなしで、それはちゃんと指導を受けなければ無理。この際は必要なところだけ一つまみ自己流にいただいておく。
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