Nov 30, 2010

第28回現代詩花椿賞の贈賞式がありました

11月26日(金)夕方6時から、東京銀座中央通りのラウンジファロ資生堂で式と記念パーティーがありました。前田新造資生堂社長の挨拶のあと、選考委員座長の平田俊子さんから選考経過報告、選考委員の八木忠栄さんから有働の詩についてのスピーチがありました。どちらもシビヤな批評の混じる印象に残る内容でした。藤井貞和さん、阿部日奈子さんの選評と合わせて、「花椿」12月号に掲載されていますのでごらんになってください。4人の選考委員の任期は4年で交代するとのことで、来年から高貝弘也氏が八木忠栄氏に代わられるとのことです。
平田さん、八木さんのお話の内容はのちほどここでも紹介させて頂きたいと思います。
今はここに、原稿が用意され、式のプログラムにも白石かずこさんの祝辞のあとに予定されていて読まれなかった鈴木志郎康さんのお言葉と、有働のお礼の言葉を写したいと思います:

 有働薫さん 第28回現代詩花椿賞受賞おめでとうございます。 本当によかったですね。五十年前の早稲田大学のフランス文学専攻の同窓生として、また『雪柳さん』からの詩集の読者としてとても嬉しいです。この受賞でこれまでに書いてきた詩にも光が当たって輝いてくるように思えます。五十年前の有働さんはわたしには気が強くちょっと反抗的なきりっとした少女という印象でした。今度の詩集『幻影の足』の「豊坂」という詩の、坂道をローラースケートで滑り降りていく少女がそのまま大学生になったという印象でした。その少女が一途に詩を書き続けてきたわけですね。『幻影の足』を読んで、有働さんの「幻影の足」は詩を目指した少女の一途な心なのだと思いました。  二年前に、詩集『雪柳さん』を読んだ時に、詩を書くことで生命感を取り戻して、その言葉で生活を支えている人の存在を感じたのですが、その後の詩集の『SuryaスーリャSurya』や『ジャンヌの涙』を読んで、口幅ったい言い方ですが、有働さんは詩人として成長したな、と思いました。詩の言葉がご自分の行動や感性や幻想な どを自在に語るようになり、とりわけジャンヌ・ダルクに寄せる思いから「処女の純粋無垢な光」の永遠性を語る言葉を獲得したと思いました。今度の詩集『幻影の足』は、そのいろいろな言葉のあり方が実を結んだのですね。現在、詩を書く言葉が個人性をなかなか越えられませんが、有働さんの詩の言葉には、そこを越えていくように感じられるところがあって、これから書かれる詩が楽しみです。
鈴木 志郎康

受賞のことば  2010年11月26日   有働薫
 私にとりまして生涯最大のビッグイベントをお与えくださいました資生堂社長前田新造さま、選考委員のみなさま、『花椿』編集室のみなさま、詩集を編集出版してくださった思潮社の方々、長年にわたって支えてくださった先輩、友人、家族の皆様、そして今夜お集まりくださった心あるみなさまがたに心から感謝を申し上げます。もう23年の昔になりますが、48歳で第1詩集を出版していらい6冊の詩集を発表してまいりまして、今年ようやく、詩を書くものの憧れである現代詩花椿賞を与えられ、今、うれしい気持ちと、不安な気持ちが入り混じっております。この1週間はこの大きな賞に値する才能ある詩人なのだと、自己暗示をかけて過ごしました。先日早稲田大学仏文科のクラス会があり、皆さん年齢を重ねてはいるものの、はればれとした表情でした。後日、手術後のご回復期のためお見えにならなかった同窓の鈴木志郎康氏をお世話役の幾代さんとお訪ねしました。ご経過もよく、静かにお過ごしでした。本日のために身に余るお言葉をいただくことができ、セルビアの授賞式からお帰りになったばかりの白石さんにもあわせて心から感謝いたします。同窓会をきっかけに世代というものを強く意識しました。終戦の年に小学1年、戦後の混乱期でしたが子どもにとっては外側からの拘束のゆるい、はからずも自由な時代でした。父母の労苦に庇護されて、何がしたいかを希望を持って問うことができ、自己の精神を肥やすことができました。今回選考委員の皆様が私より若い年齢でいらっしゃることに驚きましたが、私どもの世代の恵まれかたを、いままできちんと伝えてきたかが気にかかります。考えを口に出さない気質はなかなか抜けませんが、腹からの本音の声を伝える勇気を持つことこそ皆様のご好意に報いる、自分がするべき唯一のことではないかと思います。70代はよい年代だと聞きます、誠心、詩作にはげみたいと思います。ありがとうございました。
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