May 14, 2008
La Voix des poètes 詩人の声 217
有働薫 Kaoru Udo第4詩集『スーリヤ』(思潮社刊)を声に
2008年6月13日(金)19時開演
於Star Poets Gallery(渋谷)
「才気に日常を見すえる確かな眼がブレーキとして働いている」と、前作『雪柳さん』(ふらんす堂刊)に評をいただき、大切な指針としてきました。4冊目の詩集『スーリヤ』では、最も空白化した現実の上に精一杯の幻視の花を咲かせてみました。1時間の詩の旅をご一緒していただける機会を得て、とてもどきどきしています。
May 04, 2008
町田市民文学館の企画展「愛と別れの詩」
4月15日から6月8日まで、町田市民文学館ことばらんどで、現代詩の企画展「愛と別れの詩」を開催中です。この企画のイベントの1つとして、5月30日(金)午後6時から7時まで自作詩の朗読をします。テーマは「わたしの愛と別れ、そして詩」で、これまでに出版した5冊の詩集の中から、愛をテーマにした詩2篇、別れの詩2篇、そして詩への傾倒として「物語と予感」をテーマに4篇を、少しおしゃべりを添えながら読む予定です。入場は無料で、申し込みはことばらんど℡042-739-3420です。展示のほうも町田市ゆかりの詩人たちの資料を集めて、若い学芸員さんたちの熱気が感じられ、充実しています。他に5月9日は松田幸雄氏、5月24日は島岡シン氏が出演されます。Apr 24, 2008
小沢信男『裸の大将一代記 山下清の見た夢』
引き込まれて読んだ。山下清もさることながら、小沢さんの語り口のリズムに魅せられた。わたしは両親が地方出身だから、東京生まれといっても、ことに下町にはなじみが薄い。周りには下町育ちの知り合いも多いが、対し方がなんとなくぎこちなくなってしまう。小沢さんは長い間余白句会での先生でいらした。あこがれの、でももうひとつ近ずきにくい先生だった。この本が以前単行本で出たとき、欲しかったが、あきらめていた。それを、小沢さんから直接、それも恐れ多くも献辞入りで(小沢さんの字体の懐かしさも香り出てきて)いただいて、からだの底からうれしさが沁みてきた。先生、ほんとにありがとうございます。一気に読んだ。いちばん興味を引かれたのは、式場博士と山下清との丁々発止。インテリ代表ヴァーサス放浪の野生児。お互いの言い分がかみ合うわけがないのを、博士が驚くべき包容力で包み込んでいる。博士が山下清という巨大爆弾に向かって突っ込んで行った感じがする。自分が粉々になる危険を感じて避けるにちがいないこういう事態を、あえて(なぜ?)生き切ったこの人のすごさに感服した。巨人だと思う。このワールドに接することができて本当にうれしい。そして小沢さんご自身のこともすごくわかって、それがまたなんとも魅力がある。先生是非、次を書いてください。楽しみにしています。
Apr 13, 2008
ヘルペスでした
3月18日の昼間、庭先でころんで、唇を切った。右の肩もしたたかに地面に打ちつけて、唇のほうは腫れ上がらずにすんだ。『ウラン体操』を読む当日だったので、ただただ、外から打ち身や傷が見えないかを心配した。2週間たって、右の腕から肩にかけて、鈍痛が増していき、わきの下に赤い疱疹が並んだ。いっこうに引く気配がないので、駅前の玉川クリニックを受診した。老先生が「ヘルペスですね」と、ニヤリとした。その理由は別の話。結果的には、4月11日の『雪柳さん』まで持ち越し、まだ完治していない。筋肉の奥が、ズーンといやな痛さ。これで、いちばんの困惑は、意欲がすっかり削げ落ちてしまうこと。一刻も早く背中を布団にぴったりつけて、じっとしていたい。それだけが生きる希望のような落ち込み方をすること。机に向かおうとすると、吐き気のような嫌悪を覚える。 しばらく死んだ振りをしていよう。Apr 04, 2008
スタラクタイツ・スタラグマイツ
4月11日(金)にギャルリー・東京ユマニテで読む『雪柳さん』の中の1篇、「スタラクタイツ・スタラグマイツ」について、最近起こったあることを書いてみよう。遅まきながら平野啓一郎の1998年に発表されたデビュー小説「日蝕」を読んで、その内的な動機が「スタラクタイツ・スタラグマイツ」に酷似しているのに衝撃を受けた。1975年生まれの若い作家の文学の動機と自分のかつての詩のイメージに共通性があるというのは別に取り立てたことではないと思うが、鍾乳洞内の出来事というイメージの共通性に驚いたのだ。23歳の若い作家がイメージしたものの具体性と展開の強烈性には至っていないが、わたしの場合は「ペレアスとメリザンド」のイメージから派生した、少し形成性をぼかした仕上げになっており、それは、それ以上の想像力が及ばなかったせいもあるが、芸術的志向の点での何らかの共通性を感じてしまったのだ。いま、思いついて矢川澄子さんのくださったはがきを探し出した。きちんとした明確な字体で、「散文詩風なnがいちばん好きで、盗みたいくらいです」とあり、nはスタラグマイツ…である。矢川さんからいただいた唯一の葉書である。Mar 28, 2008
谷口謙詩集『惨禍』
最近送られてくる詩集の中ではきわだって分厚い。茶色を基本にしたベースに石あるいはコンクリートの壁の地肌を思わせる部分を配した装丁がある思いを喚起する(装丁直井和夫)。それを言葉で言うのは難しいが、あえて言えば、精神の継続性と言えばいいのか。自分のやってきたことから逃げない、物静かさ。この1冊に向き合うと、何か鬼気迫るものがあると感じられるのは、その気がここに満ちているからに違いない。内容はいつもと変わらぬ、警察医として死体検案書を書くにいたった人、ひとりひとりの無駄のない簡素な記録。要するに、異常な死を迎えた人の死体の記録。たとえば頭が取れ、足が切断されたぐちゃぐちゃな死体に向き合う。80歳を超えて、最終行に初めての経験と記されている。医者の中でも特に特殊な仕事を日々成し遂げていく人の、個人的な感情の極端に切り捨てられた、そしてその記録性が、一種のリズムとも、文体ともなっている、ほかに類を見ない詩。谷口さんとはもう長いお付合いである。先生、良い詩集です。先生もきっと達成感を感じられていらっしゃるのではないでしょうか?読むほうも、そうです。これだけの人々の死の上に立った言葉に、何か信仰に似たようなものさえ(信仰に無縁なものにとっても)感じます。Mar 24, 2008
ポエトリー・ボイス・サーキット198 『雪柳さん』を読切る
4月11日(金)に1回めと同じ東京ユマニテで第3詩集『雪柳さん』を読みます。皆さまのご参加をお願いします:天童大人プロデュース Poetry Voice Circuit 198 ―目の言葉から耳のコトバへ― 有働薫 第3詩集『雪柳さん』(ふらんす堂刊) ~コトバと ゆきやなぎと 怒涛と~ 時:4月11日(金)午後6時30分開場 7時開演 所:ギャルリー東京ユマニテ(GTH) ℡03-3562-1305 〒104-0031東京都中央区京橋2‐8‐18 昭和ビルB1 地下鉄銀座線京橋駅⑥番出口徒歩1分 明治屋斜め向い昭和ビル地下1階or東京駅八重洲口から徒歩8分 入場料:予約 大人2500円 学生(学生証提示)1500円 当日 大人2800円 学生(学生証提示)1800円 予約は直接会場に電話03-3562-1305 or メールhumanite@js8.so-net.ne.jp あるいはプロデュースの北十字舎 電話03-5982-1834 or Fax03-5982-1797 へお申し込みください。 (写真) 「trans」成瀬功
Mar 20, 2008
『ウラン体操』を読んだ夕べ
18日に広尾の画廊「華」で『ウラン体操』1冊を読切った。版元のふらんす堂社長山岡さんが聴きに来てくださり、スナップがふらんす堂のホームページ内のブログ編集日記 http://fragie.exblog.jp/ にアップされているので、よろしかったらたずねてみてください。編集日記の3月18日の欄にあります。これで心置きなく2冊の初期詩集に封印をほどこすことができる。ちゃんと弔いをしてやれず、死に切れずにうごめいていた言葉たち。さあ、安らかに眠りなさい。と、いまやしんから声をかけることができる。助けてくださった方々に心から感謝します。声は、コトバは、発する・受けるが両方同格です。フランスの詩人たちの間では、詩を聞く力のある人は、詩を書く人以上に尊敬されています。詩を受取る力がいかに大切か。そのちからをみがく機会が与えられて生き返った思いがしています。Mar 17, 2008
成瀬山
町田市と横浜市の境に位置するこの地域。なんでも小田急玉川学園前駅からこの地域をつなぐ道路の道幅の中心から片側は町田市、もう半分は横浜市に入るのだそうだ。東京都の地図の南側の縁に盲腸のような突起があって、これがこの地域。天気予報などは神奈川を見たほうが当たりやすい。家から10分ほどの場所に「成瀬山」という小さな山林がある。この林の中に入ると、周囲が新しい住宅の裏側に囲まれている。本当に残り少ない天然の緑地なのだ。ここの丘の上のどんぐりの林の中で、去年の暮れから発声練習をしてきた。午後になると、犬を散歩させるひとがときどき入るので、ひとに会わない午前中の晴れた日にきっかり1時間。天童さんの意見では「有働さんはまだ30分」なので、それを倍の時間声が持つようにトレーニング。今日もこれから行く。Mar 11, 2008
猫トイレ
この冬は久しぶりに冬らしい寒さで、廊下やキッチンのリノリユウムの床がすばらしく冷たかった。冬の初めに小さいほうの猫が風邪を引いて、目やにと鼻をジュクジュクさせて見るだけでかわいそう。前足を握ってみると、氷のように冷たい。病院に連れて行こうかと思っているうちに、自力で治した。その後は、年寄りのお姉ちゃんと交代でトイレを使う、その頻度が3倍ほどアップ。毎朝掃除が欠かせなく、サボっていると、お尻がぬれた砂に触るのが嫌いらしく(人間だってもちろん)、周りの乾いたマットの上にお漏らしされたりするので、極力トイレの管理が不可欠な冬でした。現状も同じだが、失敗は少なくなってきた。ほんとによくトイレと付き合った冬だった。
それでJR成瀬駅のトイレに入ったとき、掃除の行き届いているのにびっくりした。こんな気持ちの良い公衆トイレを使わせてもらったのは久しぶりだな、と、誰に感謝すればいいのか。「地上5センチの恋心」という映画を友人と見たばっかりで、そのヒロインの気持ち、年齢からして、「恋心」のところを「幸せ」に書き直して胸に暖めている。
大試験トイレのきれいな駅である かおる
句会で取ってくださった方々に感謝!
Mar 05, 2008
カポエイラ式腹筋
床に伸びて頭の後ろに両手を組んで上半身を持ち上げる、この運動を繰り返すというのが、古典的腹筋運動で、冬の間はこれを続けてきた。が、どうもつまらないし、すぐに飽きてしまう。早く回数だけこなしてやめたいという気持ちばかり先に立つ。先日からは新しい腹筋方法を見つけた。それが「カポエイラ」で、立ったままできるのがまず気持ちよい。マルチニックあたりのサトウキビ農園の労働者たちが労働の合間にやる踊りの一部なのだそうだ。ルーツは、農園主の白人たちの暴力に対する防衛法として考え出された身のこなしだというからおどろき。腹筋鍛錬の部分は、片足を後ろに引いてから、その足を思い切り前に蹴り出す。蹴りだした足をからだに巻きつけるように回すからこのとき腹部がぎゅっとねじれる。これが腹部の筋肉運動になる。左足10回、右足10回蹴りだせば、1日のメニューは終了。この手早さもいい。足を前に蹴るときに同じ側の腕を顔にかざして顔を保護する。殴られるときに本能的にとる防御の姿勢。踊りはこの動作を含んでからだをぐるぐる回すとか飛び上がるとか、激しく機敏な身ごなしで、それはちゃんと指導を受けなければ無理。この際は必要なところだけ一つまみ自己流にいただいておく。
Feb 26, 2008
「スガンさんの山羊」
を町田図書館のパソコンで検索したら、10冊近くタイトルが出ていた。そのうち、岩波文庫の『風車小屋だより』と、新潮社の『世界名作選』を借りて来た。ほかに、「スガンさんの山羊」だけを独立させた子供向けのきれいな絵本を数冊図書館の机で読んで帰った。 桜田佐(たすく)という人のが定訳で、いいと思う。「スガンさんのやぎ」この「やぎ」に点がふってある。訳によって「子山羊」になっていたり「雌山羊」になっていたりする。子供のとき読んだ記憶では「仔山羊」だったように思う。「ヤギ」というカタカナもある。どれでもかまわないだろう。ドーデーのこの短編は、まさしく、ブランケットと名の付いたメスのヤギのあの出っ張ったガラスのような目、真っ白なあごひげやねじったハンカチのようなしっぽがありありと浮かんでくる。草のにおい。澄んだ山の空。すがすがしい自然を味わうことができる。子供たちの間では、あんまり人気がないそうだ。たぶん、悲しい結末が子供の心を傷つけるのだろうと言っている人がいる。たしかに楽しい夢物語ではない。だが何か、人の心の奥底にあるある感情をよびさます。今回戯曲「アルルの女」を読んでいて「スガンさんの山羊」のエピソードに触れると、もういちど読んでみたくてたまらなくなった。フランス文学には児童文学がない。おとぎ話からいきなり恋愛小説に行ってしまう。とは岸田国士の言だそうだが、たしかに「シンデレラ」や「ロバの皮姫」のつぎに思いつくのは「最後の授業」や「レミゼラブル」、「マノンレスコー」かもしれない。「ロランの歌」や「トリスタンとイソルデ」もある。そんななかでも山羊という子供時代に親しい生き物の実在感をこれほどありありと届けてくれる「スガンさんの山羊」は大好きだ。この雌山羊が自分のような気がしてきて、しばしぼおっとしてしまう。
Feb 22, 2008
本をたくさん読んだ
正津勉『小説尾形亀之助』は去年の年末に読んだ。加藤道夫の戯曲『なよたけ』を読み、ドーデー『アルルの女』を読み、「スガンさんの子山羊」を思い出して『風車小屋だより』を再読し、町田図書館に予約していた『陰日向に咲く』がきたので読み、山本有三編『世界名作選2』のワイルド「幸福の王子」に涙をながし、いま『小説鉄腕アトム』を読んでいる。絵より文字のほうがやはり自分に合っているなと思いつつ。でもそれをどう扱おうかという新たな気持ち。その間に詩集の拾い読み。木島始さんを偲んだ詩が印象に残った。読書という飛翔。冬の晴れ渡った空を風を受けて揺られている。楽しい。無類の充実感。「スガンさんの子山羊」が気にかかる。「すぐ食べられてしまうほうがよかったのに」という白痴のコトバが意識にこびりついている。Feb 12, 2008
2回目は3月18日(火)です!
天童大人プロデュース Poetry Voice Circuit 186―目の言葉から耳のコトバへ―
有働薫 第2詩集『ウラン体操』(ふらんす堂刊)
時:3月18日(火)午後6時30分開場 7時開演
所:ギャラリー華 ℡03-3442-4584
〒106-0047東京都港区南麻布5‐1‐5
地下鉄日比谷線広尾駅③番出口 西麻布方面徒歩5分信号3つ目電話BOX奥
入場料:予約 大人2500円 学生(学生証提示)1500円
当日 大人2800円 学生(学生証提示)1800円
予約は下記のいずれかでお申し込み下さい。
会場電話:03-3442-4584
メール:gallery-hana@nifty.com
北十字舎:電話03-5982-1834
Fax03-5982-1797
Feb 01, 2008
二月
1週間ほどやめていた腹筋を再開。すでにもう腰周りがゆるんでいるようだ。poetry circuit 私の2回目は3月18日広尾のギャラリー華で、第2詩集『ウラン体操』の全読に決まりました。詳しいデータはいずれこの場にアップしますので、よろしくお願いします。
思い切りが悪いけど、先日の「読切る」で、『冬の集積』は本当に成仏させることができたのだろうか? とふと頭をよぎる。 ほとんど批評というものが、当時からなかったので、最後のお線香のつもりで、今はもうないが同人誌「本陣」(1990)の広告欄のコピーを写して、ハナムケにしたい:
『冬の集積』――作品の浸透力のある視力と、その繊細な感受性に感嘆する。――藤原定
先夜はお寒い中を、仏文の先輩で、三浦のご住職がお聞きくださったのでした。ナムアミダブツ。