Aug 02, 2014

カール・ベームの交響曲39番K543

きっかけは何だったろうか。
YouTube サーフィンをしていて、フランスの若いソプラノジュリー・フッシュのハ短調ミサ曲の「聖霊によりて」をローレル指揮で聴いてからだったらしい。柔らかな初々しさに魅せられて、繰り返し、いやになるほど聴いた。それからつかまったらしい。ちょうど榎本櫻湖さんから、主宰する雑誌に詩を書かないかと誘われていたので、「聖霊によりて」というタイトルで書き始めた。それから、水かさの増した川に運ばれるように流されて…だが呼吸が止まるようなことはなかったのが不幸中の幸いだった。 いまは、39番交響曲のアダジオのびっくりするように叙情的なメロディーラインに涙が止まらないほど、病気中、というわけ。書店で中公新書のランドン版「モーツァルト」を見つけて、読みふけっている。その中で慰めてくれるフレーズに出会ったのがよかった。
《モーツァルトの音楽はいかなる人間によっても到達することのできなかった西洋文明の頂点を示す》
私の病いもちゃんと原因があったわけだ。物心付いてこの方、遥か見晴かしていた明かりの光源をようやく見つけた、南極探検家が苦難の果てに極点にたどり着いたような。わたしはいまゲラ待ち中の詩集のメイン作品を今日また書き直した。
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