Jul 21, 2006

映画「母たちの村」

岩波ホールでウスマン・センベーヌ監督の「母たちの村」を見た。西アフリカ、セネガルの風景と人びとの衣装が美しい。背景も芝居の書割のような鮮やかさで、あまりに美しすぎてやや現実感が乏しく思われる。だが、描かれているテーマはショッキング。ありえないショックではなく、自分の問題にも近いと感じる恐ろしさのショック。要約すれば、映画の終わりの文字データに重なって流れる歌の「それは書かれていない」に尽きるだろう。物事の肝心なところは「書かれない」。われわれの家庭でものが言われないことに共通する。言うものは罰せられる。発言を禁じているのはしきたり。裏にあるのは隠微な暴力。この物語でいちばんひきつけられたのは、主人公の第2夫人の性生活だ。性の快感を幼いときに奪われているから、夫婦生活は労働のような汗をかく行為で、牛や馬がくびきに付けられて働かされるのに似ている。それを受け入れて暮らしている。だが、たった一人の娘の身の上からはそんな残酷な状況をとりさろうとする。タイトルの「母たち」の意味はそこにある。わたしはうちの2匹の猫の避妊手術のことが頭から去らなかった。
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