Aug 12, 2008

ジャン・ベッケル『画家と庭師とカンパーニュ』

渋谷の文化村ルシネマの朝一番の回を見ようと出かけたら、もうロビーにあふれる人が並んでいてびっくりした。観客席はほとんどが中高年の女性で満員。ネットのホームページを見ると、8月2日のオープニング以来、平日でも満員が続いているという。大人向きの、落ち着いたよい映画だった。高等遊民風のパリの画家と国鉄保線要員退職者の小学校の同級生の、ボスと庭師という関係での再会。これが、国鉄退職者の最後の夏であり、この再会がマンネリ化していた画家の新しい芸術上の転機となるという、大人の男性同士の夢のようなひと夏。パリとニースを結ぶ、どこか、ラングル高原あたりの田舎の自然の中での夏。ハーブとか、菜園の野菜とか、スローライフのキャンペーンも同時に張っての上映が、退屈した東京の中高年層を動員し続けている。主演のふたりの男優、ダニエル・オートウイユはよく見慣れた性格俳優だし、庭師役のほうも、まなざしのやわらかい、いい味の、ジャン=ピエール・ダルッサンという私には未知の俳優で、監督のジャン・ベッケルはジャック・ベッケルの息子で、1938年5月生まれというから、わたしは同級生だ。強いメッセージからは自由な、同時代を分け持つ感覚が快い、ほっとする、夏の涼風に、しばし34℃の猛暑を忘れた時間だった。
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