Apr 07, 2006

サンテックス『星の王子さま』

池澤夏樹新訳「星の王子さま」 サン=テグジュペリの「星の王子さま」が集英社から美しい布装本で出された。岩波少年文庫の内藤濯訳以来の再読ブームだそうで、他の訳者の版も、倉橋由美子訳、そのほかが出ているが、たまたま夏樹訳の単行本が手に入った。訳は一言で言ってすばらしい。簡潔明快で品位がある。原文も美しく、学生時代にLPでコメディー・フランセーズの俳優たちが朗読しているのを愛聴した経験がある。そのときから耳についていたのが“Je suis résponsable de ma rose.”というフレーズだが、何ゆえrésponsable なのかは説明しかねていた。それを今回の新訳で明確にすることができて、つかえが取れたようにすっきりした。砂漠で出会った狐がおれを飼い慣らしてくれと王子に頼む。王子は承諾するが、飼い慣らしたものには、いつだってきみは責任がある。きみは自分の星のきみのばらに責任がある。たくさんある薔薇の中で、1本、自分のばら、わがままで、はかない花を、自分が一生懸命世話したがゆえに、責任がある、ほっておいてはいけない、そうわかって自分の星に帰っていく小さな星の王子。およそ8日間砂漠で井戸を探してともにすごした「わたし」との絆を、忘れないための詩的小説。この場合、詩的とは、説明不要という意味。
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